乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第2章:第2節

少し警戒心を持ちましょう

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翌日目を覚ました私は体を起こし、うんと背筋を伸ばす。


「っ!?イタタタ………」


背筋を伸ばした時、寝打ち所が悪かったのか肩の骨に捻られたような痛みを感じた。


(寝打ち所が悪かったみたい…………)



私は肩に手を置いて、痛みを和らげようとグリグリと押して首の筋を伸ばす。


(葵君がいるから慎重に行動しなければ……)


ベットから降りて、着替えを済ませる。髪を一つに纏めて眼鏡を装備した私は机の上に置いた臭い消しを使った。


(今何時かな?)


そう思った私はベットへ戻って枕元に置いたスマホにタッチする。時間は早朝5時でいつも通りであったが、スマホには七海君のメールが表記されていた。


私は直ぐに七海君のメールを見る。


『分かりました。お二人に伝えておきます。』


『日程なんですが、凪君と香月先輩と三人で話し合った結果、夏休み入ってからでいいという訳で七月の下旬あたりに行くことになりました。』


七海君が送られてきたであろう時刻は午後七時半と午後九時の二通で、メール文に関しては、七海君らしさは出てはいないものの、ちゃんと言葉にはなっていた。


(さて、どうしようかな……)


私は腕を組んで悩み始める。なんせ、七海君にはメールではあるが……親戚の家に泊まると言っている。嘘ではあるが……この時間帯はまだ門は開いてないだろうし、もう少し時間を経ってからの方が良いと思ったからだ。


(ただ、葵君がそれを承知してくれるかどうかなんだよね……)


今は早朝五時でまだ早いからもう二~三時間は居れるけれども、流石にこれ以上此処に居るわけにはいかないのではと私は考える。午後までに部屋を一歩も出ないというのはご迷惑をかけるだろうと思ったからだ。葵君を考慮しての事である。



(今日は学校お休みだからグッスリ眠ってるはずだし…)


 そう言って私は壁越しにある葵君の部屋に顔を向ける。


ヴァンパイアは基本夜行性であるため、昼間は寝ているのだが、栖蘭学園は夜間の学校では無いのでヴァンパイア達にとって、とてもきつい時間帯だ。


(ヴァンパイア達が住んでる世界とこっちでは、寝る時間帯が違うみたいだし…………)



前世の記憶では、ヴァンパイアの住む世界は空は血のように紅く染まっていて太陽がなく、月が明かり代わりとなって街を照らしている。完全な闇に近かった。



ただ、攻略対象達がヴァンパイアの世界に帰ってきた時の反応のほとんどが浮かない顔をしていて、何か思い出したくない表情だった事を思い出す。



(どっちにしろ、ヴァンパイアの世界に帰省するのは間違いないよね……)



夏休みに突入する頃には、ほとんどの攻略対象達はヴァンパイア世界へ帰省して、そこに一時的暮らすのだ。そして八月の中旬には攻略対象全員学生寮へと戻ってきている。



(人間は昼夜逆転生活したら体にガタくるからな……そのまま放って置くと病気にもなるみたいだしね。ヴァンパイアはどうなのかは知らないけど。)


私はそう考えながら、スマホを手にしてアラームをセットをする。


(まだ早いからもう二~三時間寝ようっと…………)




「………二度寝の仕方によっては、悪くなってしまう事をご存知でしょうか?」




そう思い私は、眼鏡を外してベットへと入ろうとしたらふと声がしたのでサッと振り返り、警戒態勢に入った。ベットの上に乗っていたシーツが振り返った際にシーツを手から放り投げてバサリと床に落ちる。




「おはようございます、藤野先輩」
「……葵君、何故部屋にいるんですか?」
「朝食が出来たので、藤野先輩を起こしに行こうと呼びに参りました。」


先程までは誰もいなかったはずなのに今、私の前には平然とする葵君が立っていた。恐らくヴァンパイアの能力を使ったに違いない。



「……そうですか、朝食ですか。」


私は警戒態勢を崩して、枕元に置いた眼鏡を装備した。



「藤野先輩、直ぐに警戒態勢を崩すのは感心しません」
 


葵君は眼鏡越しで鋭い目を光らせ、眼鏡をクイッと上げる。


「……今日はたまたま、僕でしたのでいいですが、他の人ならば藤野先輩……貴方を襲うに違いないでしょう。」
「えっ?僕が襲われる?」
「勿論です!」


私は何故か、葵君に説教を食らっていた。訝しげな顔つきで私は葵君を見る。


「何故僕が襲われるのですか?逆ならば納得しますが……」
「藤野先輩の性格上により、逆はありえません。そしてもう少し、男に対して警戒心を持って下さい!」
「男に、ですか?」


私は訝しげな顔つきのまま首を傾げると葵君はそんな私を見て、ハァーとため息を突かれる。


「……この話は朝食を食べながらにしますので、リビングに来て下さい。」


そう言って葵君はドアまで歩み寄り、部屋を出て行く。


(それはつまり、男色の人にも警戒しろってことだろうか……)


確かに、そういう人がいないとは言い切れない。表には出さないだけで心の中は男が好きという人がもしかしたらいるかもしれないから。


私はそう思い、ベットから降りて葵君がいるリビングへと部屋を出た。






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