乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第2章:第2節

予想外の人物に遭遇しました。

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葵君と朝食を食べて数時間後、私は学生寮の外に出て隣町のデパートにて、本屋を物色していた。


何故私がデパート内の本屋にいるのかというと、昨日自分の部屋に戻った際に歯ブラシセットの他に翌日分の着替えと貴重品を、大きめのトードバックの中に入れて、事前の準備をしてから508号室へお泊まりをしたのである。



私は今デパート内の本屋で、面白そうな小説はないか探している最中である。私がいるコーナーは主に女性が読むティーンズ向けの小説で、ちょっと過激な表現が入っている。うぶな方や初めて読む方にはキツイかもしれない。



(うーん…………なんか違うなー)


その内の一冊を手にするものの、後ろに記載されてるあらすじや折り目がつかないように少し試し読みをして首を傾げながら元に戻す。


それを繰り返して私は、その中の一冊をカゴの中に入れて別のジャンルの本棚へと移動する。




「藤野さん、こんにちは」


別の本棚へ移動中に向こうから、七海総合病院の院長で七海君の父親でもある風雅さんと偶然遭遇して、風雅さんから挨拶を一礼される。



「こ、こんにちは…………」



まさか隣町のデパート内の本屋にて、会わないだろうと思ってた人に会うとは思わなかった私は、戸惑いながらも風雅さんに挨拶を交わした。



「今戸惑っているようだね。わたしがここに来ることがそんなに予想外かい?」
「まぁ少し…………驚いてます」



私は風雅さんに正直に首を縦に頷く。


一ヶ月前に私は凪を庇ってボウガンの矢に塗られていた毒によって重症を負い、入院先である七海総合病院にて風雅さんと出会うのだが、実は風雅さんには他人の心が読める能力が備わっていて………



(あの時は、流石の私も驚いたよ……)



風雅さんの能力を披露された時には、流石の私も驚きを隠せなかった。だってゲーム上では披露されなかった能力であり、七海の父としか表記されなかったから当然、あの時の入院先で風雅さんとは初対面である。



「わたしもね、こういうゆったりとしてる場所で、はねを伸ばしているんだよ。ずっと病院勤めしてるし肩も凝るからね。」




風雅さんが穏やかな表情で私を見る。風雅さんの服装は入院時に清潔感を放つ白衣を纏ってキチッとした服装と違い、カジュアルな服装でありながら袖まくりなどで色気やラフ感を出していた。


「風雅さん今日は、休暇ですか?」


私は風雅さんに何気ない一言を問いかける。すると風雅さんは口元に手を添えて少し苦笑いを見せる。


「休暇、ではないね。夜間から仕事入ってるから。ところで………」


そう言って風雅さんは私に向けて柔らかな目をする。


「藤野さんは学校で、何かあったのかい?」
「………えっ!?」


風雅さんに核心を突かれそうになり、私は一瞬ビクリと体を反応する。いや、風雅さんのことだから恐らく私の心を読んでいるから、既に核心を突かれてるのと同じであるはず。


「わたしは他人の心が読めるから本当は聞く必要ないんだけど、君の口から直接聞きたくてね。」
「え、えっと………!?」


風雅さんは悪戯っぽい笑みで問いかけられたので、私はなんて言おうかと頭の中にて慎重に言葉を選びながら考える。


「フフッ、よほど混乱してるようだ。」


風雅さんは少しあたふたする私を見て、笑いを溢す。


「ここだと言いづらいだろうから、場所変えようか。」
「そ、そうですね………」


私はひとまずホッと安堵して、手に持ってるカゴを見て私は風雅さんに顔を向ける。


「その前にレジ行ってきます」
「いってらっしゃい、わたしはここで待ってるよ」


私は一旦レジのところに行き、カゴの中にある一冊を提示する。そして会計を済ませた私は風雅さんがいるところに向かう。


「お待たせしました。」
「大丈夫だよ藤野さん。夜間まで時間あるし、レストランでならゆっくりと話せるからそこにしよう。」



そう言って風雅さんは私に手を差し伸べる。それはまるで君をエスコートをするよ、と言ってるみたいで………



「おっと、わたしに見惚れてはいけないよ?わたしには愛する妻がいるから」
「………いえ惚れていないですし、風雅さんは論外ですので安心して下さい」
「アハハ、冗談だよ!」


私は真顔で否定すると風雅さんは、苦笑いを溢して風雅さんの手を取った。



「………どうやら遺伝子は受け継いでいるようだ。」



私の手を触れた風雅さんはボソリと呟き、顔つきは一瞬だけど真剣そのもので何かを遠く見る目をしていて………


(風雅、さん…………?)



「それじゃ、レストラン街に移動しようかね。」



けれど何もなかったかのように直ぐに穏やかな表情に戻っていく。


(どういうことなんだろう……遺伝子?受け継いでる?)


私は風雅さんの言った言葉を気になっていたが、今言うべきではないと感じていた。何故なら先程の風雅さんの顔つきがあまりにも真剣そのもので、その中に追い詰められたような表情も含まれていたから。


(いつか、話してくれる日がくるに違いない………)



私は風雅さんの横顔を見ると風雅さんは私の心を読んだのか、ゴメンねと言ってるように表情が悲しいそうだった。


そして私は風雅さんがその言葉の意味を話すまでずっと待とうと風雅さんを気遣い、心の中でそう思った。






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