61 / 126
第2章:第3節
夏休みの課題は先か、後か?
しおりを挟む
七月下旬____
今日は終業式であるため、教室には歓喜の声や気だるい声がガヤガヤと飛び交っていた。
(いよいよ明日から夏休みか………)
私は顔を窓の外に向けて、机に肘をつきながら眺める。
(なんか知らないけど、イベントらしきものが見当たらないんだよね…………)
私は今までの出来事を振り返る。ここに来ておよそ二カ月経つが、イベントが発生していないのは流石の私も不審に抱いていた。仮にイベントを見過ごしたとしても、何らかの拍子があるはずだと思ったのだが…………
(由奈と攻略対象達の反応が気のせいか、ゲームとは違う気がする………)
転校初日で凪は由奈を見て張り合っていたし、一カ月弱前のデパート帰りにはミナトは由奈を見た時の反応が不機嫌顔のままで………
(うーんでも、由奈に対しての他のキャラの反応見てないから何とも言えないな………)
「おーい、皆席につけよ!」
私が考えながらふとそう思っていた時、神楽先生が教室に入ってきて、ホームルームが始まる。
そして数分後にホームルームが終わり、終業式の準備が整えるまで皆自分の席に待っていた。
(気のせい、かな…………)
私はもう一度、窓の外の景色を眺める。外の景色は快晴の空で所々に住宅街やビルが遠くから見える。学校の門には人々が通り過ぎていき、雀達が空に羽ばたいていた。
※※※※※※※※※※
数時間後、終業式を終えた私達は学生寮へと向かう。
「明日から夏休みだね~」
凪は嬉しそうにニコニコと笑みを浮かべて、こちらに喋りかける。
「まぁその分、課題もありますけど…………」
私は眼鏡をクイッと上げて、眉にシワを寄せる。
「今年の課題、去年より多くねぇか?」
「確かにそうかも。去年よりは多いよね~」
二人はこう言っているが、私はどちらかと言えばこれが普通だと思ったりする。なんせ、私達三年組は大学・専門学校の受験や就活の時期であるからだ。
「お二人は去年、どう過ごされていたんですか?」
私は両端にいる二人に投げかけた。その時の私はまだ海外にいたので聞くのは当然のこと。
前世の時、私は先に課題を済ませてから夏休みを満喫していた。正確に言えば、七月中にドリルなどの簡単なものを先に終わらせて、自由研究や読書感想文に関しては時間掛かるため八月に回して、頭を捻らせながら少しずつ課題を終わらせていた。
因みに課題をやり終えたものは学生鞄の中に入れていた。始業式での忘れ物防止のため。
「……俺は、苦手な読書感想文のみ始業式の前日に終わらせてたな。」
「それ以外は?」
「あ?んなもん、読書感想文以外全て、七月中徹夜して終わらせたに決まってんだろ。」
「えっ…………自由研究も、ですか?」
「当然だ!!」
ミナトはドヤ顔で私を見る。どうやらミナトは私と同じく、苦手科目以外の課題を先に終わらせるタイプのようだ。ミナトは頭は良いので同然ではあるが、七月中に読書感想文以外全て終わらせたと言う言葉に流石の私も唖然とする。
「香月君って、性格悪いのに頭と顔立ちは良いから女子達からモテてたよね~。今もモテてるけど。」
「……俺を見てキャーキャー騒ぐ女は論外だ。注意しても、また騒ぎやがるからな!」
ひょこりと覗き込むように私の体越しでミナトをちょっかい出す。ミナトは不機嫌顔になり、眉にシワを寄せる。
「えーそうかな?僕に寄ってくる女の子はとても素直だよ。………僕が注意すれば、言うこと聞いてくれるし、ね?」
「…………」
凪のその言葉に私とミナトはヤンデレ状態の凪を頭の中に思い浮かぶ。そりゃ、あの状態を見せられたら女子達も流石に騒ぐのはやめるだろう。普通に言っても、絶対騒ぐことに変わりはない。
「凪は去年、どう過ごされていたんですか?」
「僕?」
私は凪に顔を向けて、改めて同じ質問をする。すると凪はそうだなぁ、と顎に手を添えて真剣に考え混み始めた。
「僕ね、色んなところに行ったよ~。海水浴で七ちゃんと泳いだり、山登ってそこから見る景色を眺めてさ。とても満喫した夏休みだったよ~」
「それで去年、課題はどうされていたんですか?」
私の問いかけに凪はピタッと硬直して顔を強張る。
「えっ、うん……去年はね、課題はなんとか、終わらせたよ?」
さっきまで楽しそうに話していた凪は、打って変わって喋り方がぎごちなくなった。凪の表情は真っ青で目線が横に向いていて、私達に目を合わせない。
(あっ、これは……)
私は落ち着きない凪を見て察知した。凪は後からやるタイプだと……
「僕はまず、旅行まで簡単なものを終わらせてからにしますよ。後々、面倒なことには巻き込みたく無いですから」
そう言ってるうちに私達は学生寮に辿り着く。
「ま、当然だな。俺もそういうのはゴメンだぜ!」
ミナトも私の言葉に同調するように話を乗っかる。
「そ、そうだね~。課題は少しでも、終わらせた方がいいよね~」
凪は平然と喋ろうとしているが完全に裏声になっていて、動揺を隠せていない。
学生寮の門をくぐり抜けて、学生寮に入った私達はそれぞれの部屋へ戻って行く。
「桃野は絶対、後でやるタイプだな……」
「そうですね……」
507号室に戻って来た私達は、玄関からリビングの間に繋がる通路で先程の凪の反応を浮かび、そう呟いた。
今日は終業式であるため、教室には歓喜の声や気だるい声がガヤガヤと飛び交っていた。
(いよいよ明日から夏休みか………)
私は顔を窓の外に向けて、机に肘をつきながら眺める。
(なんか知らないけど、イベントらしきものが見当たらないんだよね…………)
私は今までの出来事を振り返る。ここに来ておよそ二カ月経つが、イベントが発生していないのは流石の私も不審に抱いていた。仮にイベントを見過ごしたとしても、何らかの拍子があるはずだと思ったのだが…………
(由奈と攻略対象達の反応が気のせいか、ゲームとは違う気がする………)
転校初日で凪は由奈を見て張り合っていたし、一カ月弱前のデパート帰りにはミナトは由奈を見た時の反応が不機嫌顔のままで………
(うーんでも、由奈に対しての他のキャラの反応見てないから何とも言えないな………)
「おーい、皆席につけよ!」
私が考えながらふとそう思っていた時、神楽先生が教室に入ってきて、ホームルームが始まる。
そして数分後にホームルームが終わり、終業式の準備が整えるまで皆自分の席に待っていた。
(気のせい、かな…………)
私はもう一度、窓の外の景色を眺める。外の景色は快晴の空で所々に住宅街やビルが遠くから見える。学校の門には人々が通り過ぎていき、雀達が空に羽ばたいていた。
※※※※※※※※※※
数時間後、終業式を終えた私達は学生寮へと向かう。
「明日から夏休みだね~」
凪は嬉しそうにニコニコと笑みを浮かべて、こちらに喋りかける。
「まぁその分、課題もありますけど…………」
私は眼鏡をクイッと上げて、眉にシワを寄せる。
「今年の課題、去年より多くねぇか?」
「確かにそうかも。去年よりは多いよね~」
二人はこう言っているが、私はどちらかと言えばこれが普通だと思ったりする。なんせ、私達三年組は大学・専門学校の受験や就活の時期であるからだ。
「お二人は去年、どう過ごされていたんですか?」
私は両端にいる二人に投げかけた。その時の私はまだ海外にいたので聞くのは当然のこと。
前世の時、私は先に課題を済ませてから夏休みを満喫していた。正確に言えば、七月中にドリルなどの簡単なものを先に終わらせて、自由研究や読書感想文に関しては時間掛かるため八月に回して、頭を捻らせながら少しずつ課題を終わらせていた。
因みに課題をやり終えたものは学生鞄の中に入れていた。始業式での忘れ物防止のため。
「……俺は、苦手な読書感想文のみ始業式の前日に終わらせてたな。」
「それ以外は?」
「あ?んなもん、読書感想文以外全て、七月中徹夜して終わらせたに決まってんだろ。」
「えっ…………自由研究も、ですか?」
「当然だ!!」
ミナトはドヤ顔で私を見る。どうやらミナトは私と同じく、苦手科目以外の課題を先に終わらせるタイプのようだ。ミナトは頭は良いので同然ではあるが、七月中に読書感想文以外全て終わらせたと言う言葉に流石の私も唖然とする。
「香月君って、性格悪いのに頭と顔立ちは良いから女子達からモテてたよね~。今もモテてるけど。」
「……俺を見てキャーキャー騒ぐ女は論外だ。注意しても、また騒ぎやがるからな!」
ひょこりと覗き込むように私の体越しでミナトをちょっかい出す。ミナトは不機嫌顔になり、眉にシワを寄せる。
「えーそうかな?僕に寄ってくる女の子はとても素直だよ。………僕が注意すれば、言うこと聞いてくれるし、ね?」
「…………」
凪のその言葉に私とミナトはヤンデレ状態の凪を頭の中に思い浮かぶ。そりゃ、あの状態を見せられたら女子達も流石に騒ぐのはやめるだろう。普通に言っても、絶対騒ぐことに変わりはない。
「凪は去年、どう過ごされていたんですか?」
「僕?」
私は凪に顔を向けて、改めて同じ質問をする。すると凪はそうだなぁ、と顎に手を添えて真剣に考え混み始めた。
「僕ね、色んなところに行ったよ~。海水浴で七ちゃんと泳いだり、山登ってそこから見る景色を眺めてさ。とても満喫した夏休みだったよ~」
「それで去年、課題はどうされていたんですか?」
私の問いかけに凪はピタッと硬直して顔を強張る。
「えっ、うん……去年はね、課題はなんとか、終わらせたよ?」
さっきまで楽しそうに話していた凪は、打って変わって喋り方がぎごちなくなった。凪の表情は真っ青で目線が横に向いていて、私達に目を合わせない。
(あっ、これは……)
私は落ち着きない凪を見て察知した。凪は後からやるタイプだと……
「僕はまず、旅行まで簡単なものを終わらせてからにしますよ。後々、面倒なことには巻き込みたく無いですから」
そう言ってるうちに私達は学生寮に辿り着く。
「ま、当然だな。俺もそういうのはゴメンだぜ!」
ミナトも私の言葉に同調するように話を乗っかる。
「そ、そうだね~。課題は少しでも、終わらせた方がいいよね~」
凪は平然と喋ろうとしているが完全に裏声になっていて、動揺を隠せていない。
学生寮の門をくぐり抜けて、学生寮に入った私達はそれぞれの部屋へ戻って行く。
「桃野は絶対、後でやるタイプだな……」
「そうですね……」
507号室に戻って来た私達は、玄関からリビングの間に繋がる通路で先程の凪の反応を浮かび、そう呟いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女性が少ない世界に転移しちゃったぁ!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比40:1の世界に転移した主人公
人のようで人ではなかった主人公が様々な人と触れ合い交流し、人になる話
温かい目で読んでいただけたら嬉しいですm(__)m
※わかりにくい話かもです
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる