乙サポ ー乙女ゲームで主人公をサポートする男装女子に転生したー

紅千智

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第2章:第5節

予想外な………

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放課後____


私は一人で図書室を訪れて、座ってる横には机の上に山積みの本が目に入る。


「ハァー…………」


そのうちの一冊を取ってページをめくるが、本の内容がほとんど入ってこず頭を抱えて、ため息を吐く。


「藤野先輩、なんか………元気、ないですね。」
「…七海君」


図書委員である七海君が私の近くで本の整理をしながら、頬を突いて憂鬱にしかめた顔をする私に気遣いながら声をかける。


「対したことではありませんが、少し憂鬱な気分です。」
「憂鬱、ですか…………」


私はページをめくりながら、先程の席替えのことを思い出す。


帰りのホームルームにて席替えの場所を決めたのだが、私の席はミナトの隣になってしまい、明日から隣で二人の言い合いを聞くのかと思うと頭を抱える。


(でも、ミナトの隣か…………)


憂鬱に思いながらもミナトの隣になれたことで、私の心は弾んでいた。


「………………」


ふと七海君がボーッとした表情で私の顔を見据える。


私の顔に何か付いているのだろうか?そう思った私は七海君に尋ねた。


「七海君、僕の顔に何か付いてますか?」
「えっ!?そ、そんなこと、ない、ですよ!ただ……」
「……ただ?」
「そ、その………先輩の表情が、憂鬱にしては、なんか……柔か、だったので……!」


七海君、顔が真っ赤なんだけど風邪でも引いているのでは……?私の目の前にいる七海君が口元に手を抑えて、うわずいた声で顔を赤く染まっていく。


「七海君?顔が真っ赤になっていますよ。」


そう言って私は席を立ち、七海君の所に歩み寄る。そして顔を近づけてゴツンと互いのおデコをくっつく。ヴァンパイアハンター仲間が高熱を出した時に今のようにおデコをくっついて熱を計っていたので、こういう行動は慣れている。


「せ、せせ、先輩!!!?」


七海君は私の行動に驚いたのか、アワワと口をパクパク動かして顔をますます紅潮させる。


「うーん……熱は、ないようですね。」


私は七海君から離れて一定の距離を置いて、顎に手を置いて首を傾げた。


「僕、体温が、高いんです!三十七度でも、丈夫な体、ですので!」


そう言って七海君は動揺しながらも私に真っ直ぐ見据えて答えた。


「そろそろ話は終わったのかな?」


ふと私と七海君以外の声が耳に入る。声がする方に向けると本を手に持つレオン君が、爽やかな表情で私と七海君の顔を交互に見比べていた。


「さ、西園寺君!?」


七海君はレオン君に顔を向けて、さらに動揺をしていた。いつからそこにいたの?と言いたげな表情をして…………


「僕、藤野先輩と七海君の話が終わるまでずっと待っていたんだけど余りにも長いから声をかけようとしたんだ。そしたら藤野先輩が余りにも大胆な行動をするから思わず硬直しちゃったよ。」


大胆な行動?私はレオン君が何を言っているのか分からず、訝しげな顔で首を傾げた。


「……でも、おデコをくっついていただけだったから少しホッとしたかな。」


そう言ってレオン君は、手に持っていた本を顔の横に掲げると七海君はハッとなって、図書カウンターへと向かっていく。恐らく、レオン君が持ってる本は、借りたい本だと七海君は気付いたからに違いない。


「藤野先輩その行動、気をつけた方がいいですよ。僕から見る位置からは、男同士があたかもキスしてるように見えますから」


図書カウンターへと向かうレオン君は私の横に通る際に、私の耳元に優しい声で囁く。


(わ、私…レオン君に囁かれた!予想外な展開!!)


カウンターへ向かうレオン君の背中を見送る私の心の中は、興奮気味状態に陥る。


(しかもレオン君に注意されちゃった!誤解されることなく、ちゃんと見てるんだな……)


心の中で私は先程のレオン君の声を脳内でリフレインするが、ハッとなってあることに気付く。


(スマホのボイスレコーダー、オンにしてない……!!)


私はやらかしたような表情をして頭を抱えた。


(いくら予想外な展開とはいえ、レオン君推しの私が本人の声をレコーダーするのを忘れるなんて……!)


今更思っても既に遅し。私はガックリと肩を落として首を項垂れる。


(こうなるんだったらスマホのボイスレコーダーをオンにするべきだった……!ああ、私のバカ!!)


私はレオン君の囁き声に聞けて嬉しい反面、スマホのボイスレコーダーをオンにしなかった後悔の二つの感情が混ざり合っていた。



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