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しおりを挟む「フランツ!」
その場に倒れ込んだ彼を起こそうと近付くと、剣を仕舞ったアルベルトが手を掴んできた。
「…その男と話すなと、二人になるなとも言ったはずだ」
「ち、違います!これは、その…」
「手を握られていただろう!ふざけるな!!」
「旦那様、ですからこれは……それより、フランツを早く起こさないと!」
アルベルトの手を振り払い、フランツの身体を見る。確かに刺されたはずなのに、血は出ていない。つまり柄の部分で腹を押したのだろう。
カトリーナは決して、フランツを心配していたわけではない。フランツに何かあったとき、アルベルトが被害を被ることを案じたのだ。
けれどその行動は裏目に出た。アルベルトの怒りという火に油を注ぐことになってしまったのだ。
「やめろ、カトリーナ!そいつに触るな!」
「人を呼んでください、早く何処かへ寝かせないと…!」
「っ…そんなに、その男が大切か!来い!」
「旦那様!?」
アルベルトは引き摺るようにしてカトリーナを連れていき、馬車へと詰め込んだ。
「旦那様、まだ夜会の主催者の方に挨拶を済ませていないのに…!」
「…もういい。もう、いい」
「旦那様…?」
全てを諦めるような眼差しに、ようやくカトリーナは気が付いた。アルベルトがここまで冷えた表情を出すのは初めてだ。
「お前を信用した、俺がバカだった。愛してもらおうなどと考えた俺がバカだったんだ。まさか逃げようとしているなんて思いもしなかった」
「え?」
逃げるとは何のことだろうか。何から逃げるというのだ。
「初めからお前の外出も許さなければよかった」
「だ、旦那様?」
「もうお前の言葉を信用しない。夜会にも二度と連れていきはしない。お前の視界に入るのは俺だけでいい」
「ど、どうしてそんなことを仰るのですか」
「どうして?お前を愛しているからだろう。まさかお前が二度も裏切ろうとしていたとは、気が付かなかった。悪い子にはお仕置きが必要だな。躾直さないと」
何やら物騒なことをブツブツと呟くアルベルトに、カトリーナはそれ以上は何も言えなかった。
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