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はじまり
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しおりを挟むこんな子、入学前のオリエンテーションのときには居なかった。
入学式を終えた瑞波は教室に居た。
名前の指定された席に座ると、先どの少女はなんという偶然か前の席に着いていた。
机に記された名前を盗み見る。
花島深苑。
みその、と読むのだろうか。
どことなく奥ゆかしさを感じる彼女にはよく似合う名前だと思った。
「か…、花島さん?」
呼べば、読んでいた小説だろうか、単行本を閉じて、少女は振り返った。
「はい?呼びました?…あれ?あなた…」
少女も気づいたのか、目を丸くする。
「朝、会ったよね。なんだか、不思議だよね。よろしくね」
「よろしくおねがいします。あの…、霧島…さん?」
「霧島瑞波。瑞波でいいよ」
「そう、瑞波。私も、深苑でいいよ。よろしく」
そう言って、深苑は小さな唇をゆるめて、微笑んだ。
寄宿舎への説明を受けながら、寮母の後を新入生の列が伸びていた。
寄宿舎は、学校と扉一つ隔てたところに続いていた。
薄明かりの中、重めの紅い絨毯の廊下には、聖母像が生徒たちを見下ろす格好で立っている。
その足元に灯された赤い蝋燭が、静かに揺れていた。
生徒たちは緊張しているのか、会話をするものは少なく、寮母の後に続いた。
「深苑」
小声で、瑞波は前を行く深苑を呼んだ。
「呼んだ?」
小さく微笑をこぼして、首を傾げるように深苑は振り返る。
小さく頷き、瑞波は続けた。
「深苑、入学前のオリエンテーションの時、いた?私、覚えて無くて」
「あ、そのことで私も、話があったの」
「話し?」
深苑は頷くと、口を開きかけた。
「わたし…」
寮母に続く列が、立ち止まったのはそのときだった。
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