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僕だけの調教師
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彼――僕の専属調教師になった青年の名前は、結城聖弥(ゆうき せいや)と言った。
初めて名前を聞いた時、少し意外だった。冷たい灰色の瞳や鋭い横顔から想像していたより、ずっと柔らかい音の名前だったから。
けれどその名前を呼ぶたびに、僕の身体は小さく震えた。
聖弥さんは、もう僕のすべてを管理する人。ここでは絶対に逆らえない存在だった。
◇ ◇ ◇
専属指導が始まった最初の日、僕は簡素な個室に呼び出された。
四方を黒いカーテンで覆われ、中央に革張りの椅子が一つだけ置かれた空間。息が詰まるほど静かで、緊張で手が冷たくなる。
「……失礼します……」
小さく声を出して部屋に入ると、奥で書類を読んでいた聖弥さんが顔を上げた。
「来たか。玲」
その視線だけで心臓が強く跳ねる。怖いはずなのに、どこか安心してしまう自分がまた嫌だった。
「脱げ」
短く告げられ、僕はびくりと体を震わせた。
「……ここで、ですか……?」
「ここはお前の調教室だ。恥ずかしいのは当然だが、その羞恥も含めて今日からお前は管理される。それが嫌なら出て行け。ただし出て行った先は廃棄場だがな」
その声は決して大きくないのに、ぐっと胸の奥を掴まれるような冷たさがあった。
「……いえ……」
僕は俯いて、小さく頷く。
そしてゆっくりと制服のボタンを外し、足元に置いた。やがて下着も脚に引っ掛けて外し、完全に裸になる。
(また……見られてる……)
全身がぞわりと粟立つ。羞恥で身体の奥がじんと熱い。
「いい子だ。ほら、そこへ」
聖弥さんが革張りの椅子を指さした。
「足を広げて座れ」
「……はい……」
僕は恐る恐る座り、言われた通りに脚を開く。冷たい革の感触が下腹に伝わり、どうしようもなく落ち着かなくなる。
「両手を後ろに組め」
「っ……はい……」
背もたれのない椅子だったので、腕を後ろに組むと自然と胸が張り出し、さらに秘所が無防備に晒された。
(いやだ……見ないで……)
そう思うのに、聖弥さんの視線がそこに留まっているのが分かる。恥ずかしくて目を閉じそうになるのを必死で堪えた。
◇ ◇ ◇
「玲、お前は自分が何を求められているか分かっているか?」
「……聖弥さんに従順でいること……」
「そうだ。だが従順というのは単に命令を聞くだけではない。お前自身が羞恥や恐怖を自覚し、それを乗り越えて俺に全てを明け渡すことだ」
聖弥さんは机の上から何かを取った。細いスティックのような器具。先端には冷たい金属球がついていた。
「これは快感を測るための道具だ。安心しろ、痛くはない。だが嘘はつけなくなる。身体が感じた分だけ正確に数値が出るからな」
「……っ……」
器具を脚の付け根に軽く当てられただけで、ビクリと身体が跳ねた。
「怖いか?」
「……はい……」
小さく答えると、聖弥さんは微かに笑った。その笑みが優しさなのか残酷さなのか、僕には分からなかった。
◇ ◇ ◇
「じゃあ始めるぞ」
器具がそっと秘所に触れる。冷たさに息が詰まる。
そのまま金属球が少しだけ押し込まれ、内部に微かな電流のようなものが走った。
「ひ……あ……!」
小さな声が勝手に零れた。顔が一気に熱くなる。
「ほう、反応がいいな。数値も悪くない」
「……やだ……そんなの……」
涙声になると、聖弥さんは顎を掴んでこちらを向かせた。
「嫌か? だがここにいる以上、お前は俺に管理されるんだ。お前がどれだけ感じてしまうのか、きちんと確かめなければならない」
「っ……」
目を合わせた瞬間、胸がぎゅっと締め付けられる。怖いのに、離れたくなかった。
◇ ◇ ◇
器具がゆっくり動くたび、下腹がずんと疼く。僕は思わず脚に力を入れて閉じようとした。
「駄目だ、玲。開いてろ」
「……無理……もう……」
「じゃあ、力づくでだな」
聖弥さんが合図すると、後ろから黒服の補佐官が来て僕の両膝を革ベルトで固定した。脚を閉じられなくなった途端、恐怖で喉がひゅっと鳴る。
「ほら、よく見ろ」
聖弥さんが僕の顎を掴んで視線を下げさせた。そこには、いやらしく晒された僕自身と、その根元に押し当てられた器具があった。
「お前がどれだけ従順か、どれだけ感じやすいか、ここが全部証明するんだ」
「……っ……」
もう顔から火が出そうだった。それでも視線を逸らさなかった。逸らしたら駄目だと思った。
聖弥さんに褒めてもらいたい。見ていて欲しい。
◇ ◇ ◇
やがて器具が止まった。データを確認している聖弥さんの横顔を、僕はじっと見つめていた。
「……悪くない。いや、むしろ優秀だな」
「……僕……優秀ですか……?」
言った瞬間、自分で驚いた。こんな状況で、褒められることを求めているなんて。
聖弥さんは顎を外して髪を撫でた。その手のひらがとても熱く感じられて、涙がまた出そうになった。
「優秀だよ、玲。お前はとても素直だ。俺に管理されるために生まれてきたような身体だ」
「……よかった……僕……」
ぐしゃぐしゃの顔で笑ったら、聖弥さんは珍しく小さく微笑んだ。それがたまらなく嬉しかった。
◇ ◇ ◇
調教が終わり、脚の拘束を外されると、僕は力が抜けてその場に座り込んでしまった。
「ほら、立てるか?」
「……大丈夫です……」
言いながらも膝が笑って立ち上がれない。聖弥さんが溜息をついて、その腕で僕の身体を抱え起こした。
「お前はこれから、もっと深く俺に調教される。それが嫌なら、今のうちに拒絶しろ。もう二度と引き返せなくなるからな」
「……嫌じゃ、ないです……」
泣きながら、でもはっきりとそう言った。
「僕……聖弥さんにちゃんと調教されたいです……」
自分でも信じられない言葉だった。だけど本音だった。
聖弥さんは僕の頬をそっと撫で、それから小さく呟いた。
「――いい子だ」
その一言に胸が焼けるほど熱くなり、涙が止まらなかった。
初めて名前を聞いた時、少し意外だった。冷たい灰色の瞳や鋭い横顔から想像していたより、ずっと柔らかい音の名前だったから。
けれどその名前を呼ぶたびに、僕の身体は小さく震えた。
聖弥さんは、もう僕のすべてを管理する人。ここでは絶対に逆らえない存在だった。
◇ ◇ ◇
専属指導が始まった最初の日、僕は簡素な個室に呼び出された。
四方を黒いカーテンで覆われ、中央に革張りの椅子が一つだけ置かれた空間。息が詰まるほど静かで、緊張で手が冷たくなる。
「……失礼します……」
小さく声を出して部屋に入ると、奥で書類を読んでいた聖弥さんが顔を上げた。
「来たか。玲」
その視線だけで心臓が強く跳ねる。怖いはずなのに、どこか安心してしまう自分がまた嫌だった。
「脱げ」
短く告げられ、僕はびくりと体を震わせた。
「……ここで、ですか……?」
「ここはお前の調教室だ。恥ずかしいのは当然だが、その羞恥も含めて今日からお前は管理される。それが嫌なら出て行け。ただし出て行った先は廃棄場だがな」
その声は決して大きくないのに、ぐっと胸の奥を掴まれるような冷たさがあった。
「……いえ……」
僕は俯いて、小さく頷く。
そしてゆっくりと制服のボタンを外し、足元に置いた。やがて下着も脚に引っ掛けて外し、完全に裸になる。
(また……見られてる……)
全身がぞわりと粟立つ。羞恥で身体の奥がじんと熱い。
「いい子だ。ほら、そこへ」
聖弥さんが革張りの椅子を指さした。
「足を広げて座れ」
「……はい……」
僕は恐る恐る座り、言われた通りに脚を開く。冷たい革の感触が下腹に伝わり、どうしようもなく落ち着かなくなる。
「両手を後ろに組め」
「っ……はい……」
背もたれのない椅子だったので、腕を後ろに組むと自然と胸が張り出し、さらに秘所が無防備に晒された。
(いやだ……見ないで……)
そう思うのに、聖弥さんの視線がそこに留まっているのが分かる。恥ずかしくて目を閉じそうになるのを必死で堪えた。
◇ ◇ ◇
「玲、お前は自分が何を求められているか分かっているか?」
「……聖弥さんに従順でいること……」
「そうだ。だが従順というのは単に命令を聞くだけではない。お前自身が羞恥や恐怖を自覚し、それを乗り越えて俺に全てを明け渡すことだ」
聖弥さんは机の上から何かを取った。細いスティックのような器具。先端には冷たい金属球がついていた。
「これは快感を測るための道具だ。安心しろ、痛くはない。だが嘘はつけなくなる。身体が感じた分だけ正確に数値が出るからな」
「……っ……」
器具を脚の付け根に軽く当てられただけで、ビクリと身体が跳ねた。
「怖いか?」
「……はい……」
小さく答えると、聖弥さんは微かに笑った。その笑みが優しさなのか残酷さなのか、僕には分からなかった。
◇ ◇ ◇
「じゃあ始めるぞ」
器具がそっと秘所に触れる。冷たさに息が詰まる。
そのまま金属球が少しだけ押し込まれ、内部に微かな電流のようなものが走った。
「ひ……あ……!」
小さな声が勝手に零れた。顔が一気に熱くなる。
「ほう、反応がいいな。数値も悪くない」
「……やだ……そんなの……」
涙声になると、聖弥さんは顎を掴んでこちらを向かせた。
「嫌か? だがここにいる以上、お前は俺に管理されるんだ。お前がどれだけ感じてしまうのか、きちんと確かめなければならない」
「っ……」
目を合わせた瞬間、胸がぎゅっと締め付けられる。怖いのに、離れたくなかった。
◇ ◇ ◇
器具がゆっくり動くたび、下腹がずんと疼く。僕は思わず脚に力を入れて閉じようとした。
「駄目だ、玲。開いてろ」
「……無理……もう……」
「じゃあ、力づくでだな」
聖弥さんが合図すると、後ろから黒服の補佐官が来て僕の両膝を革ベルトで固定した。脚を閉じられなくなった途端、恐怖で喉がひゅっと鳴る。
「ほら、よく見ろ」
聖弥さんが僕の顎を掴んで視線を下げさせた。そこには、いやらしく晒された僕自身と、その根元に押し当てられた器具があった。
「お前がどれだけ従順か、どれだけ感じやすいか、ここが全部証明するんだ」
「……っ……」
もう顔から火が出そうだった。それでも視線を逸らさなかった。逸らしたら駄目だと思った。
聖弥さんに褒めてもらいたい。見ていて欲しい。
◇ ◇ ◇
やがて器具が止まった。データを確認している聖弥さんの横顔を、僕はじっと見つめていた。
「……悪くない。いや、むしろ優秀だな」
「……僕……優秀ですか……?」
言った瞬間、自分で驚いた。こんな状況で、褒められることを求めているなんて。
聖弥さんは顎を外して髪を撫でた。その手のひらがとても熱く感じられて、涙がまた出そうになった。
「優秀だよ、玲。お前はとても素直だ。俺に管理されるために生まれてきたような身体だ」
「……よかった……僕……」
ぐしゃぐしゃの顔で笑ったら、聖弥さんは珍しく小さく微笑んだ。それがたまらなく嬉しかった。
◇ ◇ ◇
調教が終わり、脚の拘束を外されると、僕は力が抜けてその場に座り込んでしまった。
「ほら、立てるか?」
「……大丈夫です……」
言いながらも膝が笑って立ち上がれない。聖弥さんが溜息をついて、その腕で僕の身体を抱え起こした。
「お前はこれから、もっと深く俺に調教される。それが嫌なら、今のうちに拒絶しろ。もう二度と引き返せなくなるからな」
「……嫌じゃ、ないです……」
泣きながら、でもはっきりとそう言った。
「僕……聖弥さんにちゃんと調教されたいです……」
自分でも信じられない言葉だった。だけど本音だった。
聖弥さんは僕の頬をそっと撫で、それから小さく呟いた。
「――いい子だ」
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