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僕の喜び
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「玲、今日は客が来る。」
夕方、聖弥さんからそう告げられた瞬間、僕の背中に冷たい汗が流れた。
(……客……?)
「お前には、その客にお茶を出してもらう。もちろん、そのままの姿でな。」
「……はい……」
反射的に返事をしていた。でも、心臓がドクンと跳ねて、呼吸が浅くなる。
“そのまま”――つまり、裸のまま。
今やこの部屋での全裸生活は当たり前になりつつあった。
けれど、それを他人に晒すというのは、また別の次元の羞恥だった。
「表情が曇ったな。」
「……い、いえ……大丈夫です……」
「嘘は下手だな。だが構わない。これは“お前にしかできない任務”だ。」
(僕にしか……)
その一言だけで、身体がほんの少し、軽くなった気がした。
◇ ◇ ◇
来客は、聖弥さんと同じく調教師見習いの中でも上位に入る男性だった。
年齢は二十代後半。細身の体格に眼鏡、理知的で冷ややかな雰囲気をまとっていた。
僕はリビングの隅で跪き、緊張でかすかに震えながら、指先に注意を集中させていた。
(どの角度で盆を持てば、最も見苦しくないか……)
(脚はどこまで開いていい? 視線は下げすぎず、でも、見返しはしない……)
羞恥と理性がせめぎ合う中、頭の中は“聖弥さんに喜んでもらう”ことだけでいっぱいだった。
「……では、玲。客人に茶を運べ。」
「……はい、聖弥さん。」
僕は深く一礼して、静かに立ち上がる。
その瞬間、部屋の空気が変わった。
脚の内側を風が撫でる感覚。胸元、尻、太もも、すべてが晒されている。
だけど僕は、一歩ずつ、ゆっくりと茶を運んだ。
(失敗しない。誇りを持って……)
相手の前に盆を差し出し、跪いて差し出す。
「お茶をお持ちしました。どうぞお召し上がりください。」
声が震えないよう、必死だった。
◇ ◇ ◇
「……面白い。」
客人は、冷ややかに笑った。
「ずいぶんと従順に育てたな、結城。」
「当然だ。俺の手で仕込んだんだからな。」
聖弥さんがそう答えるのを聞いて、全身がじわっと熱くなった。
まるで商品を誇るような会話。それなのに、嬉しくて泣きそうになる。
「立て、玲。」
「はい。」
裸のまま立ち上がる。客人の目線が全身を這うのがわかる。
「恥ずかしいか?」
「……はい。でも……ご主人様の役に立てて、光栄です。」
自分でも驚くほど、自然にその言葉が出た。
(羞恥があることが、むしろ“喜び”になっている……)
◇ ◇ ◇
来客が帰ったあと、僕は床に膝をついたまま、じっと聖弥さんの前に座っていた。
「玲。」
「……はい。」
「今日のお前は、良かった。」
その一言が、全てだった。
「俺の喜びが、お前の喜びだろう?」
「……はい。僕の存在は、すべて聖弥さんのためにあります。」
「じゃあ、その証を今夜――もう一度、身体に刻んでやる。」
僕は深く頷いた。
羞恥も、痛みも、悦びも――すべてがこの人のためならば、意味を持つ。
夕方、聖弥さんからそう告げられた瞬間、僕の背中に冷たい汗が流れた。
(……客……?)
「お前には、その客にお茶を出してもらう。もちろん、そのままの姿でな。」
「……はい……」
反射的に返事をしていた。でも、心臓がドクンと跳ねて、呼吸が浅くなる。
“そのまま”――つまり、裸のまま。
今やこの部屋での全裸生活は当たり前になりつつあった。
けれど、それを他人に晒すというのは、また別の次元の羞恥だった。
「表情が曇ったな。」
「……い、いえ……大丈夫です……」
「嘘は下手だな。だが構わない。これは“お前にしかできない任務”だ。」
(僕にしか……)
その一言だけで、身体がほんの少し、軽くなった気がした。
◇ ◇ ◇
来客は、聖弥さんと同じく調教師見習いの中でも上位に入る男性だった。
年齢は二十代後半。細身の体格に眼鏡、理知的で冷ややかな雰囲気をまとっていた。
僕はリビングの隅で跪き、緊張でかすかに震えながら、指先に注意を集中させていた。
(どの角度で盆を持てば、最も見苦しくないか……)
(脚はどこまで開いていい? 視線は下げすぎず、でも、見返しはしない……)
羞恥と理性がせめぎ合う中、頭の中は“聖弥さんに喜んでもらう”ことだけでいっぱいだった。
「……では、玲。客人に茶を運べ。」
「……はい、聖弥さん。」
僕は深く一礼して、静かに立ち上がる。
その瞬間、部屋の空気が変わった。
脚の内側を風が撫でる感覚。胸元、尻、太もも、すべてが晒されている。
だけど僕は、一歩ずつ、ゆっくりと茶を運んだ。
(失敗しない。誇りを持って……)
相手の前に盆を差し出し、跪いて差し出す。
「お茶をお持ちしました。どうぞお召し上がりください。」
声が震えないよう、必死だった。
◇ ◇ ◇
「……面白い。」
客人は、冷ややかに笑った。
「ずいぶんと従順に育てたな、結城。」
「当然だ。俺の手で仕込んだんだからな。」
聖弥さんがそう答えるのを聞いて、全身がじわっと熱くなった。
まるで商品を誇るような会話。それなのに、嬉しくて泣きそうになる。
「立て、玲。」
「はい。」
裸のまま立ち上がる。客人の目線が全身を這うのがわかる。
「恥ずかしいか?」
「……はい。でも……ご主人様の役に立てて、光栄です。」
自分でも驚くほど、自然にその言葉が出た。
(羞恥があることが、むしろ“喜び”になっている……)
◇ ◇ ◇
来客が帰ったあと、僕は床に膝をついたまま、じっと聖弥さんの前に座っていた。
「玲。」
「……はい。」
「今日のお前は、良かった。」
その一言が、全てだった。
「俺の喜びが、お前の喜びだろう?」
「……はい。僕の存在は、すべて聖弥さんのためにあります。」
「じゃあ、その証を今夜――もう一度、身体に刻んでやる。」
僕は深く頷いた。
羞恥も、痛みも、悦びも――すべてがこの人のためならば、意味を持つ。
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