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④心の奥に触れて
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行為の余韻がまだ身体の奥に残る中、沙耶はゆっくりと蓮の上から降りた。
「今日はよく頑張ったわね、蓮」
そう言いながら沙耶は、首輪に繋がれたリードを軽く引っ張る。
それだけで蓮の身体はぴくんと震え、もう何度目かも分からない熱が下腹に灯った。
「……はい……」
甘く答えながらも、蓮はなんとなく沙耶の表情を探った。
いつもなら勝ち誇ったように冷たく微笑んでいるのに、今夜の沙耶の目はどこか曇って見えた。
(……どうしたんだろう)
沙耶はベッドサイドのランプに背を向けて立ち、窓の外の夜景を眺めている。
高層階から見下ろす東京の街は無数の光を放っていたが、その光景がなぜか、沙耶の孤独を際立たせて見えた。
「沙耶さん……?」
呼びかけると、沙耶は小さく肩を揺らし、ゆっくり振り向いた。
そして――無理に作ったような笑顔を見せる。
「何?」
「なんだか……寂しそうに見えました」
言った瞬間、怒られるかと思って身を縮めた。
けれど沙耶は黙って蓮を見つめ、やがて諦めたようにため息をついた。
「……蓮って、本当に変な子ね。そんなところまで気づくなんて」
沙耶はゆっくりベッドに戻り、蓮の隣に腰を下ろした。
そして、リードをそっと手放した。
「私はね、ずっとこうやって誰かを支配してきた。そうしなければ、自分が壊れてしまいそうだったから」
沙耶の細い指が、自分の首元を撫でる。
そこにはうっすらと赤い線が残っていた。首輪をつけられた犬ではなく、逆に沙耶が何かに縛られてきた痕のように見えた。
「私だって、誰かに求められたかったのよ。心の奥から。だけど……誰も私のことなんて、本当には愛してくれなかった」
その言葉に、蓮の胸がぎゅっと痛くなった。
女王様でいる彼女しか知らなかったけれど、今こうして少しだけ弱さを見せる沙耶が、どうしようもなく愛おしいと思った。
「……沙耶さん」
そっと手を伸ばし、沙耶の頬に触れた。
沙耶は一瞬驚いた顔をしたが、拒絶はしなかった。
「俺、沙耶さんが女王様でも、弱いところがあっても……全部好きです。……沙耶さんが欲しいんです」
思い切って言葉にすると、胸の奥がすうっと軽くなった。
「……ふふ、バカね。そんなこと言われたら……」
沙耶は小さく笑ったが、その瞳には涙が光っていた。
蓮はもう堪えきれず、そっと沙耶を抱きしめた。
「ダメよ……私、あなたを犬にしたのよ? 壊れるまで苛めたのよ?」
「……だから俺なんです。俺じゃなきゃダメなんです」
抱き寄せた沙耶の身体は、思っていたよりずっと小さくて、華奢だった。
「蓮……」
耳元で名前を囁かれた瞬間、再び身体が疼いた。
沙耶の手がゆっくり蓮の頬から首に滑り、また首輪を軽く引いた。
「……やっぱり、可愛い。私の犬」
でもその声は、もう前のような冷たいものではなかった。
寂しさと、愛しさと、少しの戸惑いが混ざり合っている。
「沙耶さん……俺、また……」
すでに膨らみ始めた自分を見て、沙耶は少し呆れたように笑い、すぐに艶やかな目を細めた。
「ふふ……可愛い。じゃあ、今度は私がたっぷり愛してあげる」
沙耶はゆっくりと蓮に跨り、そのまま唇を重ねた。
舌を絡め、唾液を分け合いながら何度も口付ける。
腰が擦れ合うたび、熱いものが下腹を突き上げた。
「は……あっ……沙耶さん……」
「いっぱい感じて……私の中で……」
沙耶が身体を沈めると、じゅわりと熱いそこに包まれ、声にならない声が漏れた。
「ん……っ……」
深く繋がったまま、何度もキスを重ねる。
さっきまでのような責めるような動きではなく、沙耶はただ静かに腰を揺らした。
「蓮……好きよ……私の犬……でもそれ以上に……」
掠れるような声でそう言われ、胸がいっぱいになった。
「あ……俺も……沙耶さんが……」
最後まで言い切る前に、もう限界がきてしまった。
沙耶の中で何度も脈打ち、全てを委ねて果てる。
沙耶も小さく声を上げ、蓮の肩に顔を埋めて震えた。
「もう……離れないでね」
沙耶が呟く。
蓮はそっと彼女を抱きしめ直し、熱い胸の奥で誓った。
(絶対に離さない。沙耶さんの全部を、俺だけのものにする)
「今日はよく頑張ったわね、蓮」
そう言いながら沙耶は、首輪に繋がれたリードを軽く引っ張る。
それだけで蓮の身体はぴくんと震え、もう何度目かも分からない熱が下腹に灯った。
「……はい……」
甘く答えながらも、蓮はなんとなく沙耶の表情を探った。
いつもなら勝ち誇ったように冷たく微笑んでいるのに、今夜の沙耶の目はどこか曇って見えた。
(……どうしたんだろう)
沙耶はベッドサイドのランプに背を向けて立ち、窓の外の夜景を眺めている。
高層階から見下ろす東京の街は無数の光を放っていたが、その光景がなぜか、沙耶の孤独を際立たせて見えた。
「沙耶さん……?」
呼びかけると、沙耶は小さく肩を揺らし、ゆっくり振り向いた。
そして――無理に作ったような笑顔を見せる。
「何?」
「なんだか……寂しそうに見えました」
言った瞬間、怒られるかと思って身を縮めた。
けれど沙耶は黙って蓮を見つめ、やがて諦めたようにため息をついた。
「……蓮って、本当に変な子ね。そんなところまで気づくなんて」
沙耶はゆっくりベッドに戻り、蓮の隣に腰を下ろした。
そして、リードをそっと手放した。
「私はね、ずっとこうやって誰かを支配してきた。そうしなければ、自分が壊れてしまいそうだったから」
沙耶の細い指が、自分の首元を撫でる。
そこにはうっすらと赤い線が残っていた。首輪をつけられた犬ではなく、逆に沙耶が何かに縛られてきた痕のように見えた。
「私だって、誰かに求められたかったのよ。心の奥から。だけど……誰も私のことなんて、本当には愛してくれなかった」
その言葉に、蓮の胸がぎゅっと痛くなった。
女王様でいる彼女しか知らなかったけれど、今こうして少しだけ弱さを見せる沙耶が、どうしようもなく愛おしいと思った。
「……沙耶さん」
そっと手を伸ばし、沙耶の頬に触れた。
沙耶は一瞬驚いた顔をしたが、拒絶はしなかった。
「俺、沙耶さんが女王様でも、弱いところがあっても……全部好きです。……沙耶さんが欲しいんです」
思い切って言葉にすると、胸の奥がすうっと軽くなった。
「……ふふ、バカね。そんなこと言われたら……」
沙耶は小さく笑ったが、その瞳には涙が光っていた。
蓮はもう堪えきれず、そっと沙耶を抱きしめた。
「ダメよ……私、あなたを犬にしたのよ? 壊れるまで苛めたのよ?」
「……だから俺なんです。俺じゃなきゃダメなんです」
抱き寄せた沙耶の身体は、思っていたよりずっと小さくて、華奢だった。
「蓮……」
耳元で名前を囁かれた瞬間、再び身体が疼いた。
沙耶の手がゆっくり蓮の頬から首に滑り、また首輪を軽く引いた。
「……やっぱり、可愛い。私の犬」
でもその声は、もう前のような冷たいものではなかった。
寂しさと、愛しさと、少しの戸惑いが混ざり合っている。
「沙耶さん……俺、また……」
すでに膨らみ始めた自分を見て、沙耶は少し呆れたように笑い、すぐに艶やかな目を細めた。
「ふふ……可愛い。じゃあ、今度は私がたっぷり愛してあげる」
沙耶はゆっくりと蓮に跨り、そのまま唇を重ねた。
舌を絡め、唾液を分け合いながら何度も口付ける。
腰が擦れ合うたび、熱いものが下腹を突き上げた。
「は……あっ……沙耶さん……」
「いっぱい感じて……私の中で……」
沙耶が身体を沈めると、じゅわりと熱いそこに包まれ、声にならない声が漏れた。
「ん……っ……」
深く繋がったまま、何度もキスを重ねる。
さっきまでのような責めるような動きではなく、沙耶はただ静かに腰を揺らした。
「蓮……好きよ……私の犬……でもそれ以上に……」
掠れるような声でそう言われ、胸がいっぱいになった。
「あ……俺も……沙耶さんが……」
最後まで言い切る前に、もう限界がきてしまった。
沙耶の中で何度も脈打ち、全てを委ねて果てる。
沙耶も小さく声を上げ、蓮の肩に顔を埋めて震えた。
「もう……離れないでね」
沙耶が呟く。
蓮はそっと彼女を抱きしめ直し、熱い胸の奥で誓った。
(絶対に離さない。沙耶さんの全部を、俺だけのものにする)
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