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6.向かうべき未来
満州講和宣言
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1942年(昭和17年)3月10日
新京(長春)・大同広場前――
雪がまだ残る広場に、各国報道陣と数千人の満州国民が集まっていた。
そこに設営された特設壇上には、日の丸と五族共和の旗が並んで掲げられ、中心には蒼月レイの姿があった。
彼はマイクの前に立つと、深く一礼し、語りはじめた。
「皆さん、こんにちは。蒼月レイです」
言葉はゆっくりと、だが確実に、全方向へと響いた。
「今から三年前、私は初めて“満州”という国を地図で見ました。
それは、日本の生命線であり、また数千万の人々が暮らす“生きた国”でもありました」
「しかし、満州は“誰の国なのか”という問いには、答えが出ていませんでした。
日本のものなのか、満州族のものなのか、中国人のものなのか、モンゴル人、朝鮮人のものなのか――
それとも、“誰のものでもない”のか」
「私は考えました。そして、こう結論づけました。
この国は、“ここに住む人すべてのもの”であるべきだ、と」
静寂。
「だから今、日本と関東軍は――この国を“共に治める”という選択をしました」
会場にどよめきが走る。
「“満州共栄憲章”が制定されます。
これは、武力ではなく、協議と議会によって物事を決めていく仕組みです。
我々は“征服者”から“共存者”へと変わります」
「その上で、ここに宣言します」
彼は宣言文の写しを高く掲げた。
「本日をもって、日本国および関東軍は、満州国を“日本の属領”ではなく、
日本主導の協議共同体として再構築することを宣言する。
軍政は段階的に縮小され、議会が主権を担う。
教育、言語、信仰の自由を保証し、いかなる民族も差別されない」
レイはそこで一呼吸置いた。
「ただし――誤解しないでください。
これは日本が責任を放棄するという意味ではありません」
「むしろ逆です。
日本は、“力によらず秩序を維持する責任”を背負うという決意を示すものです。
だからこそ、協議の場には日本代表も常に参加し、
“共栄の設計者”として、皆と共に未来を築いていきます」
「この道は困難です。ですが、私は信じています。
“殺さなくても統治はできる”
それを証明できたとき、日本はただの軍事国家ではなく、
文明を導く国家として歴史に刻まれるはずです」
⸻
拍手はなかった。
誰もが言葉を失い、ただ少年の瞳を見つめていた。
その目は、誰よりも遠くを見据えていた。
⸻
数時間後――
東京、首相官邸。
近衛文麿は報道を見終え、閣僚に言った。
「……あの少年は、とうとう“国の骨格”にまで手を入れた。
関東軍を説得し、満州の統治構造を変えさせた上で、民衆に希望を示した。
これを止められる者は、もはやいないだろう」
⸻
そして世界中に発信された“満州講和宣言”は、各国を揺るがした。
特に大きく反応したのは――中国・重慶政府だった。
彼らはレイの講和案を“欺瞞”と見なすか、“交渉の扉”と見るか。
次章では、その対応が明らかになる。
新京(長春)・大同広場前――
雪がまだ残る広場に、各国報道陣と数千人の満州国民が集まっていた。
そこに設営された特設壇上には、日の丸と五族共和の旗が並んで掲げられ、中心には蒼月レイの姿があった。
彼はマイクの前に立つと、深く一礼し、語りはじめた。
「皆さん、こんにちは。蒼月レイです」
言葉はゆっくりと、だが確実に、全方向へと響いた。
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それは、日本の生命線であり、また数千万の人々が暮らす“生きた国”でもありました」
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日本のものなのか、満州族のものなのか、中国人のものなのか、モンゴル人、朝鮮人のものなのか――
それとも、“誰のものでもない”のか」
「私は考えました。そして、こう結論づけました。
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静寂。
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会場にどよめきが走る。
「“満州共栄憲章”が制定されます。
これは、武力ではなく、協議と議会によって物事を決めていく仕組みです。
我々は“征服者”から“共存者”へと変わります」
「その上で、ここに宣言します」
彼は宣言文の写しを高く掲げた。
「本日をもって、日本国および関東軍は、満州国を“日本の属領”ではなく、
日本主導の協議共同体として再構築することを宣言する。
軍政は段階的に縮小され、議会が主権を担う。
教育、言語、信仰の自由を保証し、いかなる民族も差別されない」
レイはそこで一呼吸置いた。
「ただし――誤解しないでください。
これは日本が責任を放棄するという意味ではありません」
「むしろ逆です。
日本は、“力によらず秩序を維持する責任”を背負うという決意を示すものです。
だからこそ、協議の場には日本代表も常に参加し、
“共栄の設計者”として、皆と共に未来を築いていきます」
「この道は困難です。ですが、私は信じています。
“殺さなくても統治はできる”
それを証明できたとき、日本はただの軍事国家ではなく、
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⸻
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これを止められる者は、もはやいないだろう」
⸻
そして世界中に発信された“満州講和宣言”は、各国を揺るがした。
特に大きく反応したのは――中国・重慶政府だった。
彼らはレイの講和案を“欺瞞”と見なすか、“交渉の扉”と見るか。
次章では、その対応が明らかになる。
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