日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ

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25.新世界の鼓動

E.R.S.P.始動

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――1943年4月・東京帝国議事堂

「……これが、“戦後”に咲かせる花の種だ」

蒼月レイは、満場の議員たちを前に、一枚の文書を高く掲げた。
『欧州復興支援構想草案 ―E.R.S.P.―』

ざわりと空気が揺れた。
戦争はまだ終わっていない。ドイツは抵抗を続け、ベルリンも陥落していない。
だがこの少年は、すでに“その先”を見据えていた。

「ヨーロッパは必ず復活します。文化も技術も人材も死んでいない。
今は焦土でも、必ず蘇る。ならば――私たちが先に手を差し伸べるのです」

議場がどよめいた。

「莫大な支出になるぞ!」
「そんな余裕が今の日本にあるのか?」

一斉に飛ぶ声。それをレイは、静かに手を挙げて制した。

「誤解しないでください。これは“慈善”ではありません。投資です」

壇上に置かれた地図に、レイは指を滑らせた。
ドイツ、フランス、イタリア、ベルギー……今、荒廃している都市の名が次々と口にされる。

「再建の初動は最も困難です。だが、そこにこそ機会がある。
我々が資金・技術・制度を提供すれば、インフラ整備も、企業活動も、日本と手を取り合って進むはず。
それは将来、日本にとって圧倒的な“経済的利得”をもたらします」

資料には、復興支援対象地域と、将来的な通商見通しが精緻に示されていた。
「輸出入バランスの調整」「教育支援と技術交流」「復興特区における日欧合弁企業の設立」など、細部にまで及ぶ戦略的設計。

「私たちが植える種は、やがて“信頼”という花を咲かせ、世界の経済地図を書き換える果実になるでしょう」

それは、強烈なビジョンだった。



数日後、帝国新聞は一面で報じた。

《欧州復興支援構想、国内外に波紋。賛否両論の声》

政財界では、慎重派と推進派で議論が過熱していた。
アメリカは沈黙を保ったが、英仏の亡命政府筋からは「早期の支援はありがたい」との非公式な接触が届いていた。



「批判は承知の上だ」

執務室でレイは、桜に語った。
「でも、未来は待っていても来ない。迎えに行くものなんだ」

彼の眼差しは、すでに数十年先を見据えていた。

「そして、その未来に咲く花は、僕たちがいま――焦土に蒔いた種から始まる」



その夜。
彼の執務机には、整えられた文書の一つがそっと置かれていた。

『ERSP実行計画書:第壱草案』

それは、世界がまだ終わっていないうちに――
新しい時代が、静かに胎動を始めた瞬間だった。
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