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本好きの美少女

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僕は今、待っていた。目の前にいる喋る事が苦手な、精神病患者、宮咲さんと話すために......


「......あの...キリ良い......ところ...まで、読んだ」

「あ!じゃあ紹介していい?」
「...うん」

「こちら、灰羽奏汰くん。そして、灰羽さんの担当看護師の北条静華さん」

「......宮咲...るな...」

「よろしくねー!るなちゃん」
「うん......」

「あ...灰羽奏汰です」

僕は初めて宮咲さんの顔を見る。
そして僕は驚いた。こんなにも綺麗な容姿をしているなんて。

スラッとしている身体に、白い肌。サラサラで綺麗な白髪に、整った顔。まるで精巧に作られたお人形さんのよう。

「あ......!...それ...ミシェルシリーズ......」

あ、本持ったままだった...これがミシェルシリーズなんだ。宮咲さんがずっと見ちゃうのも分かる。面白いもん。

「そうだね」
「本......好き?」

「好きだよ。このミシェルシリーズは今知ったけどね」

「......じゃあ...ここにある面白い本......教える...よ?......あと......そのミシェルシリーズの本......途中のやつ...だよ」

「あれ?るなちゃんってこんなに喋る子だっけ?」

「いーや。普段は私以外全然喋らないよ」

「じゃあなんで奏汰くんだけ...」

「それはねぇ......」

「......なるほど。るなちゃんは奏汰くんの優しさに既に気づいちゃってるわけね」
「そういう事よ」

「それで......この本が...灰羽さんが持ってた......1番最初の本......これから...読んでみて」

「分かった、ありがとう!あと奏汰でいいよ」

「じゃあ......私も......るな.........で...いいよ...」

「そうそう、るなちゃん。その灰羽さんに言いたい事があるんだって?」

「え......」

「え、そうなの?」

言いたい事ってなんだろう?さっき初めて会ったんだけどな。

「そっ...それは......」

「神崎さん!それって...」
「そう。ずっと気にしてたみたい」
「あら~謙虚ね!」

「あっ......その......心配してくれて......ありが...と...」

「......心配?」

何かしたっけ......何も思い当たる事が無いんだけど。

「朝ご飯......アレルギー......で...心配してくれた」

「間違えて普通のパンだったっていう事は知ってるよ?僕のと入れ替わっちゃったんだよね」

「うん......」

「うんまあ、要するにね灰羽さん」
「あ、はい」

「朝ご飯、るなちゃんのと入れ替わって、るなちゃんはそれに気づいて、無事替えてもらってたんだけど、部屋に戻る時に聞こえちゃったんだよね」

「え?何がです?」
「るなちゃんを心配する奏汰くんの声が」
「あっ」
(そんな事よりアレルギーの子は!?)

「思い出した?」
「はい」

「それでるなちゃんはお礼を言いたかったの」

「そうだったんですか」

「...だから......ありがと...」

奏汰は笑みを浮かべた。そして...

「どういたしまして」

奏汰がそう言うと、るなちゃんは少し笑顔になった。

その姿はまるで天使の子のよう。
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