僕と看護師さんのゆるい入院生活

まどうふ

文字の大きさ
21 / 69

友達の証

しおりを挟む
 現在、隣の建物でもある央光おうこう医療大学から3年生が見学に来ていた。少し問題もあったが神崎かんざきさんの協力のおかげで何とか全員が教室に集まった。

 そして理事長が今回実技試験の採点及び指南役として推薦した、神崎かんざきさんと静華しずかさんの自己紹介が終わると皮肉を込めた質問が理事長に投げかけられる。

「本当に大丈夫なんですか?  実技試験の採点者が普通の看護師って、採点ミスで単位落としたくないですよー」

 そんな中、文句のある生徒に理事長が放ったある一言で実習室が大騒ぎになった。

 自分を高く評価し相手を貶す......なってないな。


「何度も言うが大丈夫だ。何故ならこの2人は三年連続十二光じゅうにこうに入った天才だからだ」

 よし、これはしれっと──

『ええぇー!!』

 やっぱこうなったか。
 こうなるか。
 こうなっちゃうよね。

「はーい静かにしろ」
 理事長はそう言いながら手を叩く。

 まだ少しザワついているがこれからの行動を指するには十分なくらいだ。

「この後は自由に行動し見学する予定だが、くれぐれも迷惑はかけないように。それと11時にここ集合だからな、忘れんなよー」

『はーい』
「それじゃあ解散!」

 理事長がそう言った瞬間生徒達は一斉に立ち上がり、勢いよく教室から出ていく。


「そういえばなんで先生方は喋らなかったんですか?」

「理事長先生のほうが生徒達はよく聞くの」
「悲しい現実ですね」
『...はい』



 一方その頃、奏汰とるなちゃんはというと──

「るなちゃんはゲームってするの?」
「ちょっと......なら」
「じゃあ今までで1番面白かった本は?」
「今ま...でで......1番...」

 るなちゃんは深く考え込む。

「ミシェル......の...旅路...もいい......けど......」
「けど?」

「本...読む......きっかけ...に...なった......
『恋のファンファーレ』...かな」

「恋のファンファーレ?」
「...うん」

 恋のファンファーレかぁ、聞いたことないな。

「それってどういう内容なの?」

「うん......簡単......に...言え......ば......恋愛...青春もの。各々...の...目標......を...部活動を...通し......て...叶え...て......いく......物...語」

 ...ん?  何かおかしいな。でも別に何か変わったことは無いな。......何かおかしいのにな。

「...あっ......ごめ...んね......こうい...うの......好きじゃ...ない...よね......」

「いやいや!  お恥ずかしながら...いや恥ずかしくない、何も恥ずかしくないんだけど!  ...恋愛ものとか結構好きなんだよね」

「そう...なんだ」
「...うん。退院したら『恋のファンファーレ』読んでみるね」
「うん......分かった......感想...待って...る」

 ここで会話は途絶え、少しの間沈黙が続く。

 でもこの沈黙は気まずくなくて、むしろ安心するほどだった。
 部屋中の空気が穏やかになり、これが友達の証だと証明してくれてるかのようだ。

 奏汰が少し笑みを浮かべ、それを見たるなちゃんは少し口角が上がっていた。


 そんな楽しいひと時を過ごしていたらドアがノックされた。

「はっ...はーい!」
 反射的に僕が応じたらドアが開き、そこには静華さんがいた。

「どうー?  るなちゃんの様子は」
「だいぶ楽になったと思いますけど...どう?」
「...楽......結構......落ち着いた」
「なら良かったー!」

「神崎......さん......は?」
 心配そうに聞くるなちゃん。

「今は見学に来てる学校の理事長先生とお話中だよ」
「......え」
「なぁーに大丈夫よ!  私も雪希子《ゆきこ》さん聞いたけど悪い方は完全にあっち側だから」

「良かったね」
「...うん......良かった」

「じゃあ大丈夫そうだし私はこれで。生徒達見ないといけないんだー」

「分かりました、るなちゃんのことは任せてください」
「うん......平気...」

「それじゃあまた来るね!」
 そう言い静華さんはドアを開け廊下に出ようとするが、何かを思い出したのか奏汰達の方に振り返る。 

「そうそう!  11時から12時の間は見学に来てる生徒達全員教室で実技テストだからその間は安心して部屋から出れるよ!  じゃね!」

静華さんはそう言い残して去っていった。
それを聞いた2人は最初こそ戸惑ったが11時を楽しみに待ったという。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

処理中です...