僕と看護師さんのゆるい入院生活

まどうふ

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2人の道のり

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 理事長の長話から30分。時刻は11時になろうとしていたが、売店に早歩きで来る看護師が1人。

りんちゃん!」
「どうしたんですか静華さん」

 病院内に足音が広がる中、2人はコソコソと話し出した。

「まさか勤務時間中にお菓子を買いに──」
「そんなわけないよ!」
「だろうね。で、本題は?」

椿つばきちゃんがいないの」
「あー静華さんお気に入りの後輩ちゃん?」
「うん、だから見てないかなって」
「私は見てないな」
「...そうなんだぁ」

 静華さんは大きく落胆した。

「力になれずでごめん」
「いやいや急に来たのにありがとね!  じゃあ私教室に行かないといけないから、愛宮ちゃん見かけたら教えてねー!」

「りょうかーい」

 後輩ちゃんいないんだ。......なんでいないんだ? 3年生全員参加なはず...あっ! 休みか。



 一方その頃、るなちゃんの部屋では11時を楽しみにしている2人がいた。

「もう...すぐ......で...11...時」
「あっほんとだ、これでやっと庭園に行けるね」
「......うん」

 2人はこの余りに余った時間を使っていつも通り本の話や、他の趣味の話、そして11時になったら何をするかを話していた。結果、11時になったら気分転換に庭園へ行こうという事になった。

「おっ11時」
「行け...る...かな......?」
「足音は......しないね。じゃあ僕が先に見てみるね」
「う...うん」

 奏汰かなたはそっとドアを開け、周りを見渡した。

「うん、生徒さん達は居ないよ。大丈夫」
「分かっ...た......今...行く...」

 るなちゃんは奏汰の方へゆっくりと歩き、病室から出て自分の目で生徒さん達がいないかを確かめる。

「大丈夫でしょ?」
「...うん」
「じゃあまずは1階に降りよっか」

「うん......あの......車...椅子......押そっ...か...?」

「えっ!  ...あっ」
 いきなりの提案に驚いてしまい、2階に奏汰の声が響き渡った。

「...ごめ...ん......肋骨...も折れ...てる...し...痛...そう......だっ...た...から」

 余計なお世話......だったのかも......

 るなちゃんの心臓の鼓動が途端に早くなる。


「謝らなくていいよ、じゃあ頼んでもいいかな?」

 肋骨折れてるの知っててくれたんだ。

「......うん!」
「無理はしないでね」
「あり...がと...」

 るなちゃんは少し嬉しそうに車椅子のハンドグリップを持ち、庭園へ2人で向かう...はずだった。


「意外......と...難し...」
「大丈夫?」
「う...ん」

 そう、車椅子を真っ直ぐ動かすのに苦戦しているのだ。どうしても曲がってしまう。

 何しろるなちゃんはまだ小学3年生、車椅子の高さ90センチに対しるなちゃんの身長は128センチ。その差は38センチしかない。

「無理しないで、僕が自分で動かすから...」
「い...や......やる......」

 私がやらないと...奏汰が無理しちゃう......

「いやでも...」
「やる...の......!」

 初めてだった、ここまで声をるなちゃんが出したのは。

「......っ!  ......分かった」

 僕はるなちゃんの気迫に押され了承した。


 こうして2人は庭園に向けて出発し、るなちゃんの頑張りもあって無事庭園前のドアまで来ていた。

「......ふぅ......着い...た」
「お疲れ様」

「......じゃあ......行こ...?」
「休まなくて大丈夫?」
「休む......なら......庭園...で...」
「...うんそうだね」

 奏汰がそう言うとるなちゃんがドアを開けた。

 開けた瞬間、太陽の光が差し込んで来た。

「眩し」
「...うっ」

 少し経ったあと2人は目を前に向ける、そこには広大な自然が広がっていた。
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