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的を射てしまう
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僕たちは今、央光大学見学中な訳なんだけど──
「んー......この学校はね、薬学部に心理学部、健康医療科学部に私たちのいた看護学部があってここが一応看護学部の棟になるんだけど......」
なにせ視線が痛い痛い。静華さんも気まずそうだし、るなちゃんは完全に萎縮《いしゅく》しちゃったし、いつの間にか人は集まってしまうしで、もう......なにこれ......
「あのー......すみません。神崎さんですか?」
「ああ、そうだが」
「やっぱり! 私神崎さんみたいな看護師を目指してるんです、握手お願いします!」
話しかけてきた女学生は目を光らせて嬉しそうに言ってきた。
「まぁ......分からんが......はい」
そう言ってみんなが視線をこっちに向ける中、神崎さんは右手を差し出した。
「ありがとうございます!」
ありがとうございますと同時に神崎の右手を両手で握り、その後5秒間ぐらい握手をしたら満足したのか離してくれた。
「るなちゃん大丈夫?」
「奏汰......手......貸し......て......」
「うん」
僕は車椅子の肘掛けからそっと左手を伸ばした。
そうしたらるなちゃんが右手で僕の手を握ってきた。
「っ!」
「ごめ......ん......」
握った手は前と同じく震えていて凍っているかのようだった。
「これ......どうする?」
「一旦外出ましょうか」
「だな」
土曜日の休日なのに看護学部の人たちが意外にも多かったのか、それともこの2人が人気すぎて集まって来たのか。
いつのまにか僕たちは注目の的にされてしまっていた。
「ここまで来れば大丈夫だろう」
「るなちゃん大丈夫!?」
「......うん......かな......り......だいじょ......ぶ......」
るなちゃんはかなり息が切れてい。それは緊張と不安によって引き起こるものなのか、ただ走って息を切らしているのか僕には分からなかった。
「前よりはるなちゃんも人に慣れてきたんじゃない?」
「さっき......は......奏汰......が......手を......握ってて......くれた......から......」
「じゃあ央光《おうこう》にいる時はずっと奏汰くんに手を繋いでもらっとく?」
静華さんがそう言った瞬間、るなちゃんは僕の手を離し神崎さんの服を掴み隠れた。
「それは......いい......」
もう照れちゃってー! 可愛いんだから!
やっぱりいつもと違う場所で起きる可愛いはレベルが違うわ、子供好きとしてはたまらない。
......2人だから良いってだけで所構わず子供にこんなこと思ってるわけじゃないから......良いよね?
「それじゃあ気を取り直して、ちょうどよく左側に学食があるからそこに行こっか」
「......うん......行こ......」
「おっけー! 行くよ奏汰くん」
「お願いします」
色々ありながらも僕たちは早めのお昼ご飯を食べるため学食に向かった。
「はい、着いたよー」
「早めに来て正解だったな、ほとんど居ない」
僕たち4人は奥へ奥へと進んでいく。
「奏汰くん何食べたい?」
そう言って車椅子を押しメニュー表の前まで運んでくれた。
「色々ありますね」
「そうだね、お蕎麦におうどん、カレーにねぎとろ丼にクレープまで色々あるよ、トッピングも追加できるからね!」
奏汰は悩みに悩んだ末、定番を選ぶことにした。
「静華さん」
「はい」
「この、ロースカツカレーをお願いしてもいいですか」
「分かった! じゃあ私はチキンカレーにしようかな、奏汰くんは他に何かいる?」
「それじゃあこの玉子焼きとポテトサラダをお願いします」
「了解! 神崎さんたちはどう、決まった?」
そう静華さんは3メートルぐらい離れた所で別のメニューを見ていた神崎さんとるなちゃんに話しかけた。
「大丈夫、私もるなちゃんも決まってるよ」
神崎さんはるなちゃんとこっちに歩いてきながらそう言った。
「奏汰......は......なに......に......した......?」
「僕はロースカツカレーにしたよ」
「いい......ね」
「るなちゃんは何にしたの?」
「......」
「ん?」
あれ、何か変なこと言ったかな?
「......まー......ぼー......っ......どう......ふ」
「麻婆豆腐?」
るなちゃんは少し恥ずかしそうに軽く頷いた。
「大丈夫? 顔赤いよ、熱でも──」
「だい......じょう......ぶ......」
そう言ってるなちゃんは神崎さんの後ろに隠れてしまった。
「あぁー」
神崎さんは何かを察したように僕に話しかけてきた。
「るなちゃんはね、辛いのが大好きなんだよ」
「あっ! そうなんですね、初めて知りました」
「はず......か......しい......から......言わ......ないで」
「ごめん! ......でも、今言っちゃった方が後々楽だよ?」
「......」
少しの沈黙が流れ、耐えきれず奏汰が口を開いた。
「全然変じゃないよ、女の子でも辛いの好きでいいじゃん! 好きな物は人それぞれだよ」
「......う......ん......ありがと......それと......神崎......さん......ごめ......ん......」
「ううん謝らないで、私こそごめんね」
「......うん......全然......だいじょ......ぶ......」
元はと言えば僕が何にしたか聞いちゃったからちょっと申し訳ない。
「それじゃあ一旦席を取りに行こっか!」
「そうだな、灰羽さんとるなちゃんには席で待っててもらおっか」
「分かりました」
「うん......」
そして奏汰たちは席に着き、2人はるなちゃんを気にしつつも4人分のお昼ご飯を注文しに行ってくれた。そこまで遠くは無いのでるなちゃんも安心した様子だった。
「んー......この学校はね、薬学部に心理学部、健康医療科学部に私たちのいた看護学部があってここが一応看護学部の棟になるんだけど......」
なにせ視線が痛い痛い。静華さんも気まずそうだし、るなちゃんは完全に萎縮《いしゅく》しちゃったし、いつの間にか人は集まってしまうしで、もう......なにこれ......
「あのー......すみません。神崎さんですか?」
「ああ、そうだが」
「やっぱり! 私神崎さんみたいな看護師を目指してるんです、握手お願いします!」
話しかけてきた女学生は目を光らせて嬉しそうに言ってきた。
「まぁ......分からんが......はい」
そう言ってみんなが視線をこっちに向ける中、神崎さんは右手を差し出した。
「ありがとうございます!」
ありがとうございますと同時に神崎の右手を両手で握り、その後5秒間ぐらい握手をしたら満足したのか離してくれた。
「るなちゃん大丈夫?」
「奏汰......手......貸し......て......」
「うん」
僕は車椅子の肘掛けからそっと左手を伸ばした。
そうしたらるなちゃんが右手で僕の手を握ってきた。
「っ!」
「ごめ......ん......」
握った手は前と同じく震えていて凍っているかのようだった。
「これ......どうする?」
「一旦外出ましょうか」
「だな」
土曜日の休日なのに看護学部の人たちが意外にも多かったのか、それともこの2人が人気すぎて集まって来たのか。
いつのまにか僕たちは注目の的にされてしまっていた。
「ここまで来れば大丈夫だろう」
「るなちゃん大丈夫!?」
「......うん......かな......り......だいじょ......ぶ......」
るなちゃんはかなり息が切れてい。それは緊張と不安によって引き起こるものなのか、ただ走って息を切らしているのか僕には分からなかった。
「前よりはるなちゃんも人に慣れてきたんじゃない?」
「さっき......は......奏汰......が......手を......握ってて......くれた......から......」
「じゃあ央光《おうこう》にいる時はずっと奏汰くんに手を繋いでもらっとく?」
静華さんがそう言った瞬間、るなちゃんは僕の手を離し神崎さんの服を掴み隠れた。
「それは......いい......」
もう照れちゃってー! 可愛いんだから!
やっぱりいつもと違う場所で起きる可愛いはレベルが違うわ、子供好きとしてはたまらない。
......2人だから良いってだけで所構わず子供にこんなこと思ってるわけじゃないから......良いよね?
「それじゃあ気を取り直して、ちょうどよく左側に学食があるからそこに行こっか」
「......うん......行こ......」
「おっけー! 行くよ奏汰くん」
「お願いします」
色々ありながらも僕たちは早めのお昼ご飯を食べるため学食に向かった。
「はい、着いたよー」
「早めに来て正解だったな、ほとんど居ない」
僕たち4人は奥へ奥へと進んでいく。
「奏汰くん何食べたい?」
そう言って車椅子を押しメニュー表の前まで運んでくれた。
「色々ありますね」
「そうだね、お蕎麦におうどん、カレーにねぎとろ丼にクレープまで色々あるよ、トッピングも追加できるからね!」
奏汰は悩みに悩んだ末、定番を選ぶことにした。
「静華さん」
「はい」
「この、ロースカツカレーをお願いしてもいいですか」
「分かった! じゃあ私はチキンカレーにしようかな、奏汰くんは他に何かいる?」
「それじゃあこの玉子焼きとポテトサラダをお願いします」
「了解! 神崎さんたちはどう、決まった?」
そう静華さんは3メートルぐらい離れた所で別のメニューを見ていた神崎さんとるなちゃんに話しかけた。
「大丈夫、私もるなちゃんも決まってるよ」
神崎さんはるなちゃんとこっちに歩いてきながらそう言った。
「奏汰......は......なに......に......した......?」
「僕はロースカツカレーにしたよ」
「いい......ね」
「るなちゃんは何にしたの?」
「......」
「ん?」
あれ、何か変なこと言ったかな?
「......まー......ぼー......っ......どう......ふ」
「麻婆豆腐?」
るなちゃんは少し恥ずかしそうに軽く頷いた。
「大丈夫? 顔赤いよ、熱でも──」
「だい......じょう......ぶ......」
そう言ってるなちゃんは神崎さんの後ろに隠れてしまった。
「あぁー」
神崎さんは何かを察したように僕に話しかけてきた。
「るなちゃんはね、辛いのが大好きなんだよ」
「あっ! そうなんですね、初めて知りました」
「はず......か......しい......から......言わ......ないで」
「ごめん! ......でも、今言っちゃった方が後々楽だよ?」
「......」
少しの沈黙が流れ、耐えきれず奏汰が口を開いた。
「全然変じゃないよ、女の子でも辛いの好きでいいじゃん! 好きな物は人それぞれだよ」
「......う......ん......ありがと......それと......神崎......さん......ごめ......ん......」
「ううん謝らないで、私こそごめんね」
「......うん......全然......だいじょ......ぶ......」
元はと言えば僕が何にしたか聞いちゃったからちょっと申し訳ない。
「それじゃあ一旦席を取りに行こっか!」
「そうだな、灰羽さんとるなちゃんには席で待っててもらおっか」
「分かりました」
「うん......」
そして奏汰たちは席に着き、2人はるなちゃんを気にしつつも4人分のお昼ご飯を注文しに行ってくれた。そこまで遠くは無いのでるなちゃんも安心した様子だった。
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