僕と看護師さんのゆるい入院生活

まどうふ

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「ご挨拶が遅れて申し訳ございません、現生徒会長兼12光生《こうせい》の神薙《かんなぎ》美琴《みこと》と申します。以後お見知りおきを」

 そう言って神薙さんは礼をする。

 ただただ神薙さんは美しかった。
 滲《にじ》み出る風格、この人になら任せても良いと思えるほどの安心感、そしてそれらをより強くする自信のある態度。

「神薙美琴さんね、初めまして神崎《かんざき》です。私の後ろにいるのは宮咲《みさやき》るなちゃん」
「......」

「同じく初めまして、北条《ほうじょう》静華《しずか》です。この子は灰羽《はいば》奏汰《かなた》くん」
「あっ......こんにちは」

 2人は臆することなく挨拶をし、すんなりと話し始めた。

 僕はいきなりの登場にびっくりというか、ビビってしまった。まさかの生徒会長だったしね。
 日本最高峰の医療大学で生徒会長を務めてるなんてどれだけ凄い人なんだ、あとその方に躊躇もなく話しかけてる神崎さんや静華さんにも驚きが隠せないよ。

「じゃあ神薙さんは今この学校のトップなんだ」
「そうですね、一応生徒会長もやっておりますし......でも私より凄い人なんてたくさんいますから」

「それじゃあ挨拶も済んだことだし、そろそろ平元《ひらもと》の件について話そうか」

「そうですね」
「分かった」

 そこで神崎さんは理事長に1つ質問をした。

「この話って長くなりそうですか?」
「まぁーそうだな、いっても15分から20分程度じゃないか?」

「じゃあ静華さん灰羽さんるなちゃんの3人はこの件について何も知らないし横の応接室で待っといてもらったらどうです?」
「そうだな、今日は来訪の予定もないし」

 そう理事長が言った瞬間喜びの声が上がった。

「やったー! 休憩できる~、行くよ奏汰くんるなちゃん」
「あ、はい」
「......うん」

 静華さんが喜びながら理事長室のドアを開け、廊下に出ようとすると咲苺《わらめ》さんがみんなに伝えるように話し出した。

「じゃあ私もこの件について知らないので静華さんたちと一緒に──」
「貴方は十二光《じゅうにこう》なんだから残った方が良いかと。この事件について知っておく必要があります」

「あっ......はい」

 この子十二光だったんだという驚きと少し残念そうにしてる咲苺さんがいて、少し気まずく変な空気になった。

「......それじゃあ行きましょうか。おいで、るなちゃん」
「ん......」

 そう言ってこの空気から逃げるように3人は理事長室を出て、応接室に入った。


「さあ、まずは美琴くんが私に話そうとしていた事を教えてもらおうか」

「はい、現在平元さんはここに居る神崎さんのおかげで落ち着いており、以前のような失態はもうしないと反省しております。生徒会長としての意見といたしましては自宅謹慎が妥当かと存じます。そして不思議なことに平元さん自身、何故あんなことをしたのか覚えていないと言っています」

 記憶喪失か......面倒臭い事になったな。

「報告ありがとう、自宅謹慎に関しては私も同意見だ」

「重要なのは覚えていないことだな」
「その通りです、神崎さん。現在自宅療養中の椿さんも同様に部分的記憶喪失になっております」

 ただの休みじゃなかったのか、椿《つばき》愛宮《あみ》。静華さんお気に入りの後輩ちゃんか......

「これは愛宮くんと源《げん》くんの行動を1度見直す必要があるね。ただ、本人たちは覚えていないから早めに1度会議を開きたいね」

「そうですね、十二光《じゅうにこう》と理事長、神崎に平元さん。椿さんは安静が1番ですのでお見舞いついでに聞くぐらいですね」

 椿の方が重症なのか? なら症状は異なる可能性だってあるぞ。

「椿と平元で症状は違うのか?」

「はい。椿さんは極度の寒気、吐き気、頭痛に部分的記憶喪失。平元さんは特に目立った体調不良は無く、部分的な記憶喪失だけです。どちらもここ最近の出来事です」

「短期間で記憶喪失だけが同じなのか......まあ詳しい事は会議の時にだな、平元にも聞けるし」

 短期間だったら原因は同じかもな。

「そうですね、もし良ければ椿さんのお見舞いもご一緒されますか?」
「そうだな、行こう」

 さて、この話は静華さんに話すべきなのだろうか。話したら絶対心配するしお見舞いも会議も出るって聞かないだろうな。......まいっか! 言わないでおこ!

「それじゃあ最後にまとめますと、平元さんの処罰は3日間の自宅謹慎、原因不明の部分的記憶喪失により本人は何も覚えていない。同様に椿さんも部分的記憶喪失になっており、重症。早急に十二光、理事長、神崎さん、平元さんの計8名で会議を開き、原因を探る。......こんな感じですかね」

「そんな感じだな。理事長、これでいいか?」

「ああ、源《げん》くんの処罰が3日間なのは会議を早く開くためでもあるし、その間に愛宮くんの症状が落ち着けば会議に呼んで話を聞ける。
 そして......美琴さん自身がもうキャパオーバーだから休みたい、そうだよね」

「お見通しですか......すみません」
「謝る必要は無いよ、ここ3ヶ月で色々あったからね」

 色々ね......何かあるな。

「計8人ってことは今の十二光は5人なのか?」
「いえ、6人です。椿さんも十二光ですので」
「やっぱり椿も入ってるんだな。それにしても半分じゃないか、私の代は10人ぐらいいたんだがなぁ」

「それは雪希子《ゆきこ》くんの代が凄いだけだね」

「本当は8人になるはずだったのですが......断られてしまいまして、私たちには似合ってないと」
「断られたなら仕方ないな」

 その2人も色々に入っているのか? 関係あるとしたら探すのもありだな、何か知ってそうだ。
 十二光に入れる実力の持ち主......しかも2人。これはもう既に辿り着いてそうだな。

「そうですよね、名誉が与えられる代わりに責任が伴う。後からきっと重荷になる、そう踏んで断ったのでしょう」

「よし! それじゃあ話は終わり! 会議については源くんの謹慎期間が終わったころに連絡する」

「あっごめん理事長、連絡先消しちゃった」
「なんで!?」
「ついポンっとやってしまって」
「どういうこと? はい、アドレス」
「すまんね」

 理事長のスマホに表示されたアドレスを神崎さんは登録し、応接室で待機してくれている3人を呼びに行った。

「終わったー?」
「もうバッチリよ」
「いいねー!」

「大丈夫だったそっちは?」
「まあ2人とも元々大人しいからねぇ、私が居なくても全然大丈夫だったと思うよ」
「それは良かった。それじゃあ理事長に見学へ行く事を知らせて央光《おうこう》内を回りますか!」

 そう言うとるなちゃんは神崎さんの後ろについた。4人は応接室を出て理事長室に居る神薙さんと理事長に見学してくる事を知らせ、僕たちは見学へ向かった。
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