僕と看護師さんのゆるい入院生活

まどうふ

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ハロウィンパーティー前日の夜

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 僕たち5人はざまざまな思いを抱えながら食堂で、ハロウィンパーティー前最後の夕食を口にしていた。

「そういえば料理の練習は上手くいった? 結構長い時間やってたよね」

「私は良い感じに仕上がってきたから大丈夫って言ったんだけど、るなちゃんがやりたいってね」

 神崎さんは隣に座っているるなちゃんの顔を見ながらそう言った。

「......調子......いい感じ......これなら......多分いける......と......思う......」

「宮咲さんは料理班なんだ」
「......うん」

 ちょっと怖いかも......年上だし、私より身長高いし......それ言ったら奏汰も同じだけど......

「そうそう! るなちゃんが今まで作ったハロウィン料理は本番に出されるからね」

「え? ......練習じゃ──」
「当日に作ってたら間に合わないでしょ?」
「......確かに」

「完全に騙されたねー、雪希子《ゆきこ》さんそういう節あるから2人も気をつけなよー!」

「......了解です」
「分かった」

「るなちゃんの不安を取り除いて上げてたんだってー!」

 でもまあそういう節あるかもしれないけどさぁ......るなちゃん相手だとああするしかなかったんだよね。

「とりあえず明日は楽しもー!」
「そっか、明日がハロウィンパーティーなんだ」

「あれ知らなかったの?」
「いやもう2、3日ぐらい先かなーって思って」

「意外と......来るの......早い......」
「あっという間ですね」

 その言葉通りあっという間に時は経ち、夕食が終わろうとしていた。

「いやー久しぶり食べたよ、アジの磯辺揚げ」
「私......アジ......あんまり好きくない......」
「でも全部食べれたの偉いじゃん!」
「苦手......でも......食べれは......する......」

 あれ? るなちゃん、静華さんとの会話以前よりスムーズ喋れるようになってる、慣れてきたら普通に喋ったり出来るのかな?

「凄いじゃん! 雪希子《ゆきこ》さんもそう思うよね?」

「ああ、凄いと思うよ......私なら残したりしちゃうかもな」

 そう静華さんに返答しながらスマホをいじる雪希子さん、穏やかな空気が流れる中で彼女だけは何か焦りを感じている様子......

「私は嫌いな食べ物がないからなぁ」

「奏汰くんるなちゃんはもちろんのこと、千鶴ちゃんも若いんだからまだ出会ってないだけじゃない?」

「嫌いなものなら......出会いたく......ない......」
「それはそうかも」

「まあ1回口にしてみないことにはなんとも言えないですね」

 僕がそう言った時、静華さんは終わりどころを見つけたと言わんばかりの顔を微笑みながら僕に見せ、みんなに声をかけた。

「よし! 今日はここら辺でお開きにしますか」

「そうね、もう夜の8時だし」
「もうそんな時間なんだ」

「そう......だよ......スマホ見てた......のに......気づいてなかったの......?」
「全然気づかなかったわ」

「それじゃあ食器下げて部屋戻りましょ」

 こうしてハロウィンパーティー前日兼清水さんとの初めての食事が終わった。

「ドア開けるねー」
「ありがとうございます」

 るなちゃんと神崎さんは先に自室へ戻り、奏汰は清水さんの見送りをしようとしていた。

「それじゃ、私もこれで──」

「ああっ! 千鶴ちゃんちょっと待ってて、私も一緒に行くから」

 そう言って静華さんは車椅子を部屋の中へ押してくれ、奏汰に話しかけた。

「少しの間だけ1人でも大丈夫そう?」
「行ってあげてください」

 僕は即答した、今の清水さんを1人にするのは危ないと思ってしまったから。......でも! 静華さんなら清水さんの心を上手く落ち着かせることが出来る、さっき目の前で見たからね。

「......ありがとう、行ってくるね!」

 そう言い残して静華さんは清水さんの元へ向かった。

「それじゃあ行こっか」
「奏汰くんはいいの?」
「了承は得たよ?」
「聞こえてた」

 2人は軽快な会話のキャッチボールをしながら歩き出し、部屋までの激しい攻防戦が始まった。
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