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異変
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~異変~
会社に戻り、残りの仕事を片付けていた時だった。
急に社内が騒がしくなってきた。
気になった僕は社員に尋ねる
「どうかしたんですか?何か騒がしいですが?」
「部長が事故に遭ったみたいで!今病院らしいんですけど、意識が無いらしくて…。」
「そんなに重体なんですか?」
僕は不思議と冷静だった。
驚きが全く無かった。既視感さえ漂っていた。
「はい。出張先の浅田市で事故に遭って、頭を強く打ったみたいで。今さっき病院から連絡があったんです。」
「おい!ニュース観てくれ!」
他の社員がテレビ画面に注目を促した。
「これはだいぶ酷いなぁ。」
事故現場は酷く荒れていて、車が2台仰向けになり、6台ほど凹みだらけだった。
計8台を巻き込んだ玉突き事故だった。
僕は驚いた。
そこがあの光景の街と似ていたからだ。
その後僕はそこがあの光景の街であると確信した。
事故が起こったのは15:30
電光掲示板と同じ時刻。
浅田市は高層ビルが建ち並ぶ街。
赤い靴、白い靴、黒い靴。
緑のジャケット
担架で運ばれる人の血の付いた白いワンピース。
心肺蘇生を受ける人の柄付きのTシャツ。
全てが見たことある。
あの光景の物だ。
僕は鳥肌が立った腕をゆっくりと摩り、
次々と出てくる冷や汗を拭った。
恐怖
そんな感情が湧き上がっていた。
僕の中でその事実を即否定した。
きっと偶然だ。
だって事故の光景じゃないじゃないか!
そうだそうだ!全然違うじゃないか!
ハハッ。ハハ…。
むしろ意地の悪い部長が死んで良かったよ!
なぜ焦る?俺はこんなの知らない。
知らないんだ。
後日、部長のお通夜に行った。
喪服と同じくらい僕の心は暗闇にいた。
部長が死んだ。
わずかだが喜んだ。
何思ってんだよ。
最低だよ。僕は最低だよ。
かつての僕は、どんなに嫌いな人であっても
死を喜ぶことなんて無かった。
生を重んじていたはずなのに
死を喜んだ。
「先輩!先輩!」
「ん!?」
また考え込んでいた。
「またボケーっとして。
確かに部長のことは悲しいですけど。」
「違う。悲しくない。」
「え?」
「ごめん、何でもない。」
「まぁとにかく、仕事に集中しましょう。僕だって辛いんですから。」
僕は部長の死を辛く感じない。
頭に有るのはあの事故現場だけ。
偶然と思いたくても現実が僕を追い詰める。
浅田市は僕が見た光景の街だ。
時間と共に明確になっていく現実。
否定できない現実。
最低な人間と化した自分。
変わっていく自分。
僕は眠れずに一晩中天井を見つめていた。
会社に戻り、残りの仕事を片付けていた時だった。
急に社内が騒がしくなってきた。
気になった僕は社員に尋ねる
「どうかしたんですか?何か騒がしいですが?」
「部長が事故に遭ったみたいで!今病院らしいんですけど、意識が無いらしくて…。」
「そんなに重体なんですか?」
僕は不思議と冷静だった。
驚きが全く無かった。既視感さえ漂っていた。
「はい。出張先の浅田市で事故に遭って、頭を強く打ったみたいで。今さっき病院から連絡があったんです。」
「おい!ニュース観てくれ!」
他の社員がテレビ画面に注目を促した。
「これはだいぶ酷いなぁ。」
事故現場は酷く荒れていて、車が2台仰向けになり、6台ほど凹みだらけだった。
計8台を巻き込んだ玉突き事故だった。
僕は驚いた。
そこがあの光景の街と似ていたからだ。
その後僕はそこがあの光景の街であると確信した。
事故が起こったのは15:30
電光掲示板と同じ時刻。
浅田市は高層ビルが建ち並ぶ街。
赤い靴、白い靴、黒い靴。
緑のジャケット
担架で運ばれる人の血の付いた白いワンピース。
心肺蘇生を受ける人の柄付きのTシャツ。
全てが見たことある。
あの光景の物だ。
僕は鳥肌が立った腕をゆっくりと摩り、
次々と出てくる冷や汗を拭った。
恐怖
そんな感情が湧き上がっていた。
僕の中でその事実を即否定した。
きっと偶然だ。
だって事故の光景じゃないじゃないか!
そうだそうだ!全然違うじゃないか!
ハハッ。ハハ…。
むしろ意地の悪い部長が死んで良かったよ!
なぜ焦る?俺はこんなの知らない。
知らないんだ。
後日、部長のお通夜に行った。
喪服と同じくらい僕の心は暗闇にいた。
部長が死んだ。
わずかだが喜んだ。
何思ってんだよ。
最低だよ。僕は最低だよ。
かつての僕は、どんなに嫌いな人であっても
死を喜ぶことなんて無かった。
生を重んじていたはずなのに
死を喜んだ。
「先輩!先輩!」
「ん!?」
また考え込んでいた。
「またボケーっとして。
確かに部長のことは悲しいですけど。」
「違う。悲しくない。」
「え?」
「ごめん、何でもない。」
「まぁとにかく、仕事に集中しましょう。僕だって辛いんですから。」
僕は部長の死を辛く感じない。
頭に有るのはあの事故現場だけ。
偶然と思いたくても現実が僕を追い詰める。
浅田市は僕が見た光景の街だ。
時間と共に明確になっていく現実。
否定できない現実。
最低な人間と化した自分。
変わっていく自分。
僕は眠れずに一晩中天井を見つめていた。
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