303 / 323
第三十章 新種
第三百三話
しおりを挟む帰ることにした。
カイとウミとライもそのつもりで準備を行っている。
準備と呼べるような物ではないが、倒したボスの素材は持ち帰ったほうがいい。ダミーコアの準備も終わっている。
使い方も、コアに話を聞いているので大丈夫だ。それに、間違えても、コアがハッキングされたり、クラッキングされたり、乗っ取られなければ間違えた使い方をされても問題にはならない。
チアルの対応が出来ない状況になったら、また攻略すればいいだけだ。その時には、ダンジョンを討伐することになるので、最悪はダンジョンが消滅してしまう可能性が高い。
デ・ゼーウには、間違えた使い方をして、ダンジョンが暴走した時には、消滅の可能性があることを告げておけばいいだろう。
『マスター。魔法陣を使いますか?』
ダゾレが、俺に話しかけて来る。
魔法陣を使えば、一気に帰ることができる。目立つ事は避けられない。帰還の場所は、任意の場所に設定できるようなので、1層で人が行かない場所に転移すれば・・・。
ん?
何かを忘れている?
そうだ!
イェレラとイェルンとロッホスとイェドーアたちと合流して戻らなければならない。
それに、ファビアンもダンジョン内に居るのなら、探して連れて行く必要があるのか?
面倒だな。
ルートガーの従者だけでいいか?
「途中で仲間を拾っていく」
面倒だけど、拾っていかないとダメだな。
デ・ゼーウに文句を言われるのは構わないが、ルートガーが行っているだろう交渉に影を落すのは得策ではない。
完全な成功にするためにも、ファビアンを拾っていく必要がありそうだ。
よかった。帰る前に思い出した。俺を褒めてあげたい。
『指定していただければ、こちらに呼び寄せます』
指定?
呼び寄せる?
「名前はダメだな・・・。どうやって特定する?」
ダゾレが出来るのなら、チアルもできるはずだ。
そうか、ダンジョン内という条件が付くのか?
今は、便利だけど、使い道が限られそうだ。チアル・ダンジョンなら・・・。
『私に触れてください。階層を指示していただければ、階層の様子を見る事が出来ます。該当の人物に触れてください。マーキングをした人物を呼び寄せます』
使い方は、コアに触れなければならないのなら、チアル・ダンジョンには使えない機能だな。
ダミーコアでも同じ事が出来たら便利だ。無理なのは解っている。無理だけど、機能が付けられないかだけでも確認をしておこう。どんなスキルか解れば・・・。
「便利だな」
今は、凄く嬉しい機能だ。
早速、試したいが・・・。その前に確認をしておこう。
「ダゾレ。呼び寄せる場所は、指定できるのか?」
『可能です』
「リソースは?」
『ダンジョンの権能です』
「ダンジョンの運用に問題は出ないな?」
『はい。全員を呼び寄せるのは不可能です』
「わかった」
ダゾレに触れて、階層を見ていくと、意外と時間が必要になりそうだ。
ライが、皆と別れた階層を覚えていた。
ライに指示されながら、4人を探す。
ファビアンは、すぐに見つけられた。
4人は、訓練でもしているのだろうか、バラバラに動いていた。
戦闘中は、呼び寄せるのは難しいと言われたので、民が休むのを待っていた。
待っている間に、ライを通して、チアルに俺たちを呼び寄せられるか確認をしたが、無理だと即答された。
特に、俺とライとカイとウミは無理だと言われてしまった。他にも、竜族も不可能らしい。力を持つ者では、呼び寄せを行う時にキャンセルされてしまうようだ。シロでギリギリだと言われたので、使い勝手は良くない。ルートガーもギリギリらしい。眷属の繋がりがあれば、拒否は出来ないので、呼び寄せられる可能性があるというのがチアルの答えだ。
簡単に言えば、やってみなければ解らない。対象が、ダンジョン内に居なければ出来ないようだ。
俺やライやカイやウミは、ダンジョンの力への抵抗力が強いので無理だと考えているようだ。ダンジョンの力への抵抗力は、チアルが説明してくれたが、簡単に言えば、同じ魔物ではダンジョンの外に出た者とダンジョン内の者では、攻撃力が違うように思われていたのだが、実際にはダンジョンへの抵抗力が低い者だと、攻撃を受けた時のダメージに違いが出て来る。
ファビアンと4人の監視を、ダゾレに依頼した。
俺が見ていて見逃してしまったら、帰る事が出来ない。
「ダゾレ。頼む。仮眠をしていていいか?カイとウミとライも自由にしてくれ」
壁に寄りかかって、目を閉じる。
ダゾレが監視している上に、ボスがリポップする心配はない。1ー2時間くらい仮眠が取れたら、身体は少しだけだが楽になる。崩壊が近いと思って、少しだけ無理をした。カイやウミやライにも無理をさせた自覚はある。戦闘では無理をしていない。探索や移動で無理をさせられた。
ダゾレからの呼びかけで意識が覚醒する。
『マスター。全員が揃っています』
「同じ階層に移動したのか?」
そうか、ファビアンの所で待っていようと判断したのだな。
確かに、ファビアンと別れた階層なら、護衛としては十分な力を持っている。4人も必要ないが、一緒に居た方がいいと判断したのだろう。俺を待っている間に、順番に戦闘訓練をするくらいのつもりで居たのかもしれない。
『はい』
「丁度よかった。セーフエリアに居るのか?」
ファビアンならセーフエリアに居るだろう。
一応、確認をしておけばいいだろう。
『はい』
「俺たちを、彼等の場所まで移動させてから、1階層に移動できるか?」
『無理です』
想像はしていたが、俺たちが移動するのには、制限なり条件なり、何かしらの枷があるのだろう。
無条件に使えてしまったら、いろいろな事が破綻してしまう。
「わかった。彼等を最下層の階層主の部屋に呼び寄せるのは大丈夫だよな?」
最初に考えたプランで帰還するのがベターなのだろう。
もしかしたら・・・。
今は、帰還するのを優先しよう。チアル・ダンジョンで試せば、違った知見が得られるかもしれない。
『可能です』
「そのあとで、魔法陣を使って、1層に戻るのはできるのか?」
これは、最初からできると言われているので大丈夫なのだろう。
『可能です。帰還場所の指定が出来ます。先に、魔法陣で帰還する場所の指定をお願いします』
「帰還する場所を、1層に設定して、部屋にすることはできるか?」
帰還する場所が指定できるのは嬉しい。
『可能です』
「部屋の扉には鍵を設置できるよな?」
鍵は、どんな物でもいいが、最下層のボスを倒したらドロップした鍵だと言えば、持っていても不自然ではない。
『可能です』
「部屋の鍵は、1本だけで、俺が持っていく」
1本だけしか作られていない鍵で、最下層を攻略して、魔法陣で帰ると、部屋から出られない。
『はい。部屋の広さは?』
「このコアルームと同程度。真ん中に、ダミーコアのダミーを置けるか?機能は何もしない物だ」
『可能です』
「作成してくれ、完成したら、彼らを呼び寄せる」
『完成まで、2分37秒』
すぐに、終わりそうだ。
カイとウミとライを伴って、階層主の部屋に移動する。帰る為の魔法陣は既に出来上がっていて、上に乗ればスキルが発動する。このスキルカードが欲しいと思ってしまうが、最低でもレベル10だろう。似たような使い道が解らないスキルカードがある。何度か、取り出して使おうとしてみたが発動しない。
『呼び寄せを実行します』
「たのむ」
俺たちの前に、新しい魔法陣が現れる。
光の柱が天井まで伸びた。
光がおさまると、ファビアンと4人が、怯えた表情を浮かべていた。
「ツクモ様」「カズト様」
それぞれが俺を見て、安堵の表情を浮かべる。
完全に、光の柱が消えるまでは外に出られないようだ。
0
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身、動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物や魔法、獣人等が当たり前に存在する異世界に転移させられる。
彼が送るのは、時に命がけの戦いもあり、時に仲間との穏やかな日常もある、そんな『冒険者』ならではのスローライフ。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練とは如何なるものか。
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる