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1.出会いは突然
1.鼻血
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慶孝は自分の名前の画数が多いのが嫌で仕方がない。
夜な夜な遊び歩いて女を抱き、憂さを晴らしている。
女に遊ばれるならこちらが遊んでやればいい、そういう男だった。
しかし、それは不幸を呼ぶことになるとは、その時点では思ってもみなかった。
慶孝が女と歩いていると、突然現れた女に殴られた。
その女は、珍しく自分に好意を持っていたかもしれない女だった。それらしきことは言われたような気がするが、慶孝のほうはそんな気はさらさらない。
「最低!」
そう言われながら、ボコボコにされた。連れの女も何度か攻撃されていた。
夜道でいきなり、そんなことが起これば騒然とするだろう。
通りすがりの通行人は唖然、その前にあった本屋の客たいが出てきて騒然とした。しかし誰もが遠巻きでいるばかりだった。
まあ、警察を呼ぶ者もいれば、SNSにアップするつもりなのか盗撮をする者もいたように見える。
「いててて……」
道端で慶孝は転がった。
殴った女も、とばっちりを食らった女も逃げていった。
「あの、大丈夫ですか……」
へばっていると、出てきた女子高生が驚き、慶孝に声をかけた。本屋の前だ、女子高生がいてもおかしくはない。
「大丈夫だ」
「救急車、呼ばれましたか」
「いや、呼ばなくていい、殴られて鼻血が出ただけだ」
「えっじゃ、じゃあ警察のほうが」
「呼ばなくていい!」
彼女はびくりとした。
「悪い……ほんとに大丈夫だから。痴話喧嘩だから、警察とかは勘弁してくれ」
「わ、わかりました……」
女子高生は素直に頷いた。
でも血が出てますから、と彼女はバッグからハンドタオルを出し差し出した。
「なんだ?」
「とりあえず押さたほうがいいと思いますので。あっ、汚いですよね、すみません、どうしよう、一枚しかいないや。ティッシュがあった!」
その手を引っ込めようとしたのを見て、慶孝は奪うようにして受け取った。
「汚してもいいなら使う」
そうして鼻に当てた。
上を向こうとした慶孝に、
「駄目です!」
彼女は制止した。
「上を向くのは駄目ですよ。そこに座ってもらえますか……。頭をちょっと前に下げて、ハンカチを当てたまま鼻をつまむようにしてもらえますか。口で息をしてくださいね」
「…………」
慶孝は言われるがまま従った。
「大丈夫、ですか……」
「口に……血が……」
「それはぺって吐き出してくださいね。あとで、わたしが水で洗い流しますから」
「…………」
口に溜まった血を、何度か吐き出した。
「あの、そのままちょっと待っててくださいね。そこの自販機で水、買ってきますから」
すたっと立ち上がり、女子高生は自販機で水を二本買うと戻ってきた。
じっと側にしゃがみ、彼女の視線は慶孝の鼻と自分の腕時計を何度か往復した。
まっすぐな瞳に、心臓がうるさくなる。
十分くらい経過した頃、周囲が慌ただしくなった。
「ちょっと、よろしいでしょうか」
警察官が二人、慶孝たちの前に立ちはだかった。
「……はい?」
受け答えのできない慶孝に代わって、女子高生は立ち上がって応える。
「ここで男性が女性に殴られている、という通報がありまして」
慶孝が女子高生に殴られたとでも思っているのか、疑うような目で彼女を見下ろしている。苛立った慶孝は立ち上がろうとしたが、
「あ、まだです」
彼女が座ったままで、と示唆した。
「この方、鼻血が出ていますので」
「では殴ったのは、あなたということですか?」
んなわけねえだろ、と言いかけ、慶孝は鼻を押さえたまま立ち上がった。
「よく見たら高校生みたいだけど、なんでこんな時間にうろついてるんだ?」
「この子は俺の手当をしてくれてるだけだ、関係ない。だいたい『通報したヤツ』って誰なんだよ。呼んでくれなんて頼んでない」
周囲をぐるりと見渡した。暗くてよくは見えなかったが、恐らくこの野次馬のなかに、いる。鋭い視線で見渡すと、一人の若い男性と目が合い、すぐに逸らされた。
(あいつか……)
わかりやすいな、と思った。スマホをこちらに向けていたので尚のことだ。
「痴話喧嘩で女に殴られただけだ」
慶孝が警察官に向かって言うと、
「あの、まだ座ってないと」
女子高生は心配そうに言った。
「うるせえよ」
「…………」
「悪い」
当てていたタオルを下ろし、慶孝は警察官たちと対峙した。
「事件でもなんでもない。この子は通りすがりで、俺の手当してくれた、それだけだ」
さっさと行ってくれ、と片手で追い払うような仕草をすると、いくつかの尋問に答えさせられ、そのあとやっと彼らは背を向けた。部下らしい警察官のほうは忌々しげに睨んでいったが。
「悪かったな」
「……いえ」
彼女は俯いたまま首を横に振った。
「もう大丈夫だ」
「あっ、これでうがいをしてください」
水の入ったペットボトルを差し出され、慶孝は受け取る。
排水溝まで行き、何度かうがいをして吐き出した。
元の場所に戻ると、彼女は、先程慶孝が吐き出した血をもう一本の水で洗い流していた。店の前に残したままにするわけにはいかないからだろう。先程も「洗い流します」と言っていた。
「もう血は止まりましたね」
「おう、止まった」
「あの、申し訳ないんですけど、またちょっとしゃがんでもらえますか」
「……おう」
慶孝は言われたとおりしゃがむ。股を開き、相手を威嚇するような腰の下ろし方だ。
彼女は残った水でティッシュを少し湿らせ、慶孝の顔に近づけた。
「…………」
顔に残っている血を拭いてくれているらしい。そんな派手に血が出たのか、と呆れてしまう。そういえば顔面をボコボコに殴られたなあ……と振り返った。
街灯の下、丁寧に拭いてくれる女子高生の顔をまじまじと見返す。先程と同じく真剣な目をして、慶孝の顔の汚れを拭ってくれているというのに、彼女の顔の評価を始めた。
(可愛い顔立ちだな……でもガキだ……)
化粧はしていない。今日日女子高生は化粧をしているものだと思っていたが。
夜に会う女たちと違い、肌には透明感がある。暗くてもわかる。化粧をしていないのに、だ。化粧をしていないからだろうか? 当然この制服の下の肌も汚れてはいないのだろう。
(……なんて、どっちでもいいか)
顔立ちは、特別美人でも特別可愛いわけでもない、不細工でもない。でも「特別」じゃないだけで、可愛い顔立ちをしていた。
(どっちかっていうと可愛いよな)
化粧はしていなくてもリップくらいはしているのだろう、潤んだ唇がぷっくりしていて、形がいい。
(体つきは……)
足の細さからすると、身体も細身、肉付きはいいほうではなさそうだ。胸も大きくはないだろう。
(まあまだ成長するだろうしな。腰も細い。良い身体にはなる)
食べ応えがあるか……と考えて思考を抹消した。
(ガキに何欲情してんだ)
そう言い聞かせるが、彼女の指先を頬に感じる度に、心音が早くなる。
「はい、終わりました」
「…………」
気恥ずかしくなり、慌てて目を逸らした。
心臓がまだ少しうるさい。
「サンキュ」
「いえ、どういたしまして」
すっと立ち上がり、女子高生を見下ろした。
「このタオル、もらうわ。鼻血まみれにしちまったし」
「いえ、大丈夫です。わたしが引き取ります」
「いいよ。大事なもんだっていうなら、弁償する」
「それは大丈夫です。三枚三百円のなので」
「一枚百円か」
「でも、三枚セットのなので……」
何言ってんだ、と慶孝は笑った。
「ありがとな」
ぽん、と頭に手を置いて撫でたあと、しまった、と思ったが遅かった。
「ハラスメントってやつになるな」
ガキだ、と思ってついそんな扱いをしてしまったことを申し訳なく思った。
「悪いな」
「いえ……」
女子高生また俯いた。
「あんた、看護師目指してるとかか?」
「え?」
「いや、手際良かったからさ……」
彼女は顔を上げ、違います、と否定した。
「子供の頃から自分が鼻血をよく出していて、その時に言われてたので。間違った方法が知られがちだけど、正しい対処法はこれだよって教わって。それで」
「そうか……。おかげで助かったわけだけど」
恥ずかしそうな彼女を見下ろし、慶孝は笑った。
ポケットから財布を出し、札を何枚か抜き取って彼女の手に握らせる。
「なっ、なんですかっ」
「タオルと水の代金」
そんなの結構ですっ、と彼女は慌てて慶孝に突き返した。
千円札二枚じゃ少ないかと思ったが、返されてしまった。
「それじゃ俺の気がすまない。なんか礼がしたい。時間あるか?」
「そんなの、本当に大丈夫ですから」
いきなり誘ってしまっては不審だったかもしれない。しかももう遅い時間だ。
「今日が難しいなら別の機会で良い。俺の気が済まない」
「ほんとに、そういうのは……」
「じゃあ、せめてこのタオルと手当の礼、あと水代返したい」
「……」
本当にいいんですけどね、と彼女は困惑した表情を見せた。
「何かほしいものはないのか」
「……特に……」
「わかった。それなら、このタオルの弁償ってことで何か調達してくるから」
「あの、ほんとに……あ……は……い……」
困った顔のまま、彼女は頷いた。
「この本屋に来ることあるか?」
「あ……えと、学校の帰りに寄ることは多いです」
「じゃあ、明日。明日もこの時間、来られるか?」
「はい、大丈夫です」
「明日までに用意してくるから。来てくれるか」
「……わかりました」
慶孝は女子高生と約束をした。
(ヤバ……惚れたかも……)
夜な夜な遊び歩いて女を抱き、憂さを晴らしている。
女に遊ばれるならこちらが遊んでやればいい、そういう男だった。
しかし、それは不幸を呼ぶことになるとは、その時点では思ってもみなかった。
慶孝が女と歩いていると、突然現れた女に殴られた。
その女は、珍しく自分に好意を持っていたかもしれない女だった。それらしきことは言われたような気がするが、慶孝のほうはそんな気はさらさらない。
「最低!」
そう言われながら、ボコボコにされた。連れの女も何度か攻撃されていた。
夜道でいきなり、そんなことが起これば騒然とするだろう。
通りすがりの通行人は唖然、その前にあった本屋の客たいが出てきて騒然とした。しかし誰もが遠巻きでいるばかりだった。
まあ、警察を呼ぶ者もいれば、SNSにアップするつもりなのか盗撮をする者もいたように見える。
「いててて……」
道端で慶孝は転がった。
殴った女も、とばっちりを食らった女も逃げていった。
「あの、大丈夫ですか……」
へばっていると、出てきた女子高生が驚き、慶孝に声をかけた。本屋の前だ、女子高生がいてもおかしくはない。
「大丈夫だ」
「救急車、呼ばれましたか」
「いや、呼ばなくていい、殴られて鼻血が出ただけだ」
「えっじゃ、じゃあ警察のほうが」
「呼ばなくていい!」
彼女はびくりとした。
「悪い……ほんとに大丈夫だから。痴話喧嘩だから、警察とかは勘弁してくれ」
「わ、わかりました……」
女子高生は素直に頷いた。
でも血が出てますから、と彼女はバッグからハンドタオルを出し差し出した。
「なんだ?」
「とりあえず押さたほうがいいと思いますので。あっ、汚いですよね、すみません、どうしよう、一枚しかいないや。ティッシュがあった!」
その手を引っ込めようとしたのを見て、慶孝は奪うようにして受け取った。
「汚してもいいなら使う」
そうして鼻に当てた。
上を向こうとした慶孝に、
「駄目です!」
彼女は制止した。
「上を向くのは駄目ですよ。そこに座ってもらえますか……。頭をちょっと前に下げて、ハンカチを当てたまま鼻をつまむようにしてもらえますか。口で息をしてくださいね」
「…………」
慶孝は言われるがまま従った。
「大丈夫、ですか……」
「口に……血が……」
「それはぺって吐き出してくださいね。あとで、わたしが水で洗い流しますから」
「…………」
口に溜まった血を、何度か吐き出した。
「あの、そのままちょっと待っててくださいね。そこの自販機で水、買ってきますから」
すたっと立ち上がり、女子高生は自販機で水を二本買うと戻ってきた。
じっと側にしゃがみ、彼女の視線は慶孝の鼻と自分の腕時計を何度か往復した。
まっすぐな瞳に、心臓がうるさくなる。
十分くらい経過した頃、周囲が慌ただしくなった。
「ちょっと、よろしいでしょうか」
警察官が二人、慶孝たちの前に立ちはだかった。
「……はい?」
受け答えのできない慶孝に代わって、女子高生は立ち上がって応える。
「ここで男性が女性に殴られている、という通報がありまして」
慶孝が女子高生に殴られたとでも思っているのか、疑うような目で彼女を見下ろしている。苛立った慶孝は立ち上がろうとしたが、
「あ、まだです」
彼女が座ったままで、と示唆した。
「この方、鼻血が出ていますので」
「では殴ったのは、あなたということですか?」
んなわけねえだろ、と言いかけ、慶孝は鼻を押さえたまま立ち上がった。
「よく見たら高校生みたいだけど、なんでこんな時間にうろついてるんだ?」
「この子は俺の手当をしてくれてるだけだ、関係ない。だいたい『通報したヤツ』って誰なんだよ。呼んでくれなんて頼んでない」
周囲をぐるりと見渡した。暗くてよくは見えなかったが、恐らくこの野次馬のなかに、いる。鋭い視線で見渡すと、一人の若い男性と目が合い、すぐに逸らされた。
(あいつか……)
わかりやすいな、と思った。スマホをこちらに向けていたので尚のことだ。
「痴話喧嘩で女に殴られただけだ」
慶孝が警察官に向かって言うと、
「あの、まだ座ってないと」
女子高生は心配そうに言った。
「うるせえよ」
「…………」
「悪い」
当てていたタオルを下ろし、慶孝は警察官たちと対峙した。
「事件でもなんでもない。この子は通りすがりで、俺の手当してくれた、それだけだ」
さっさと行ってくれ、と片手で追い払うような仕草をすると、いくつかの尋問に答えさせられ、そのあとやっと彼らは背を向けた。部下らしい警察官のほうは忌々しげに睨んでいったが。
「悪かったな」
「……いえ」
彼女は俯いたまま首を横に振った。
「もう大丈夫だ」
「あっ、これでうがいをしてください」
水の入ったペットボトルを差し出され、慶孝は受け取る。
排水溝まで行き、何度かうがいをして吐き出した。
元の場所に戻ると、彼女は、先程慶孝が吐き出した血をもう一本の水で洗い流していた。店の前に残したままにするわけにはいかないからだろう。先程も「洗い流します」と言っていた。
「もう血は止まりましたね」
「おう、止まった」
「あの、申し訳ないんですけど、またちょっとしゃがんでもらえますか」
「……おう」
慶孝は言われたとおりしゃがむ。股を開き、相手を威嚇するような腰の下ろし方だ。
彼女は残った水でティッシュを少し湿らせ、慶孝の顔に近づけた。
「…………」
顔に残っている血を拭いてくれているらしい。そんな派手に血が出たのか、と呆れてしまう。そういえば顔面をボコボコに殴られたなあ……と振り返った。
街灯の下、丁寧に拭いてくれる女子高生の顔をまじまじと見返す。先程と同じく真剣な目をして、慶孝の顔の汚れを拭ってくれているというのに、彼女の顔の評価を始めた。
(可愛い顔立ちだな……でもガキだ……)
化粧はしていない。今日日女子高生は化粧をしているものだと思っていたが。
夜に会う女たちと違い、肌には透明感がある。暗くてもわかる。化粧をしていないのに、だ。化粧をしていないからだろうか? 当然この制服の下の肌も汚れてはいないのだろう。
(……なんて、どっちでもいいか)
顔立ちは、特別美人でも特別可愛いわけでもない、不細工でもない。でも「特別」じゃないだけで、可愛い顔立ちをしていた。
(どっちかっていうと可愛いよな)
化粧はしていなくてもリップくらいはしているのだろう、潤んだ唇がぷっくりしていて、形がいい。
(体つきは……)
足の細さからすると、身体も細身、肉付きはいいほうではなさそうだ。胸も大きくはないだろう。
(まあまだ成長するだろうしな。腰も細い。良い身体にはなる)
食べ応えがあるか……と考えて思考を抹消した。
(ガキに何欲情してんだ)
そう言い聞かせるが、彼女の指先を頬に感じる度に、心音が早くなる。
「はい、終わりました」
「…………」
気恥ずかしくなり、慌てて目を逸らした。
心臓がまだ少しうるさい。
「サンキュ」
「いえ、どういたしまして」
すっと立ち上がり、女子高生を見下ろした。
「このタオル、もらうわ。鼻血まみれにしちまったし」
「いえ、大丈夫です。わたしが引き取ります」
「いいよ。大事なもんだっていうなら、弁償する」
「それは大丈夫です。三枚三百円のなので」
「一枚百円か」
「でも、三枚セットのなので……」
何言ってんだ、と慶孝は笑った。
「ありがとな」
ぽん、と頭に手を置いて撫でたあと、しまった、と思ったが遅かった。
「ハラスメントってやつになるな」
ガキだ、と思ってついそんな扱いをしてしまったことを申し訳なく思った。
「悪いな」
「いえ……」
女子高生また俯いた。
「あんた、看護師目指してるとかか?」
「え?」
「いや、手際良かったからさ……」
彼女は顔を上げ、違います、と否定した。
「子供の頃から自分が鼻血をよく出していて、その時に言われてたので。間違った方法が知られがちだけど、正しい対処法はこれだよって教わって。それで」
「そうか……。おかげで助かったわけだけど」
恥ずかしそうな彼女を見下ろし、慶孝は笑った。
ポケットから財布を出し、札を何枚か抜き取って彼女の手に握らせる。
「なっ、なんですかっ」
「タオルと水の代金」
そんなの結構ですっ、と彼女は慌てて慶孝に突き返した。
千円札二枚じゃ少ないかと思ったが、返されてしまった。
「それじゃ俺の気がすまない。なんか礼がしたい。時間あるか?」
「そんなの、本当に大丈夫ですから」
いきなり誘ってしまっては不審だったかもしれない。しかももう遅い時間だ。
「今日が難しいなら別の機会で良い。俺の気が済まない」
「ほんとに、そういうのは……」
「じゃあ、せめてこのタオルと手当の礼、あと水代返したい」
「……」
本当にいいんですけどね、と彼女は困惑した表情を見せた。
「何かほしいものはないのか」
「……特に……」
「わかった。それなら、このタオルの弁償ってことで何か調達してくるから」
「あの、ほんとに……あ……は……い……」
困った顔のまま、彼女は頷いた。
「この本屋に来ることあるか?」
「あ……えと、学校の帰りに寄ることは多いです」
「じゃあ、明日。明日もこの時間、来られるか?」
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