大人の恋愛の始め方

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【第1部】1.出逢い

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 アルバイト先に行くと、貸与されている制服に着替え、勤務に入る。
 聡子は、ファミリーレストランのチェーン店のホール係として採用された。あまり難しいことは出来ないが、食事を運んだり、レジを操作したりの金銭の扱いもある。聡子自身は「バイトだから」と簡単に捉えてはいない。最初の頃は、言葉遣いもままならなかったようで、店長や社員に注意を受けたりもした。社会に出て働く、ということの厳しさを感じたりもした。
 今は業務にも慣れ、可愛がってもらっているほうだと感じている。何より働くことは楽しいし、やりがいを感じられるのだ。

 大学生や聡子のような高校生のバイトたちと、勤務終わりのパートが入れ替わる時間帯でもあり、聡子は挨拶をして入った。
 夕食にはまだ早い時間帯ではあるが、自分たちと同じような学生たちが学校帰りに寄り道をしに来店しているようだし、もう少し遅くなれば、仕事帰りの勤め人や家族連れが来店するだろう。
 今日は平日なので、さほど多くはないかもしれないが。
「よし、頑張るぞ……っと。おはようございます!」
「おはよう」
 キッチンの男性社員が応えた。
 夕方でも挨拶は「おはよう」が暗黙の了解になっている店だ。
 今は来店客はちらほらだが、いつの間にか来店者が増え、キッチンもホールも人が増える。
(忙しくないと思ったけど、やっぱご飯時は忙しいな)
 働くことが好きな聡子は、気を引き締め、仕事に臨む。
 聡子が入って一時間後に、もう一人のアルバイト・香山茜がシフトに入っていた。彼女も同じ高校三年生で、聡子とは別の学校に通っている。大学受験はせずに専門学校へ進学するらしく、聡子と同じくアルバイトに精を出しているらしかった。
「お疲れ」
「おはよ」
 二人は挨拶を交わした。
「ちょっと今日はお客さん多めな気がする」
 聡子は茜に言う。
「やっぱそうなんだ? 来た時に月岡さん忙しそうだったから」
「うん、来てくれてよかったよ」
 二人はあくせくと働く。
 平日なので、ピーク時間がある程度続いた後は落ち着くだろう。聡子たちはいつの間にか来たピークにも丁寧に対応していた。
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