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【第2部】22.絶望
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聡子が目を覚ますと、そこは廃屋のよう場所にいると感じた。薄暗い屋内の隅に転がされている。
首筋がピリピリする。
(……なんか、ショックを与えられて気絶した……?)
聡子は動こうとしたが、両手を上部で雨水排水管に結びつけられ、そして足首は何か粘着性のあるもので縛られ、口をガムテープで閉じられている状態だった。口がガムテープだということは、足もそうなのだと察した。
周囲を見渡し、一体どういう状況なのかしばらく飲み込めないでいたが、上半身の着衣の乱れに気づき、その上半身を誰かに陵辱されている状況に頭が真っ白になった。
(わたし……今どういう状況なの……)
悲鳴をあげたいがあげられない。
ガムテープがそれを遮っている。
「なんだ、もう目ぇ覚ましたのか……」
気を失う前に声をかけてきた男だろうと思った。
ブラウスがはだけ、下着をずらされ、広田が身体を弄んでいるのだ。
(!)
んんっんんっ、と叫ぼうとしてもガムテープのせいで叫べない。
おぞましい。
トモでない男の手が自分の身体を這っている。
「悪いな……」
仕方ねえんだよ、と広田は言う。
やはり声をかけてきた男だとすぐにわかった。わかったが相手に身に覚えはない。ただ、トモのつながりだということだけはわかる。
聡子の胸を鷲掴みにし、親指で胸の先端を弾かれた。
(いやっ…………)
「トモにもこんなことされて悦んでんだろ?」
気持ちが悪すぎて悪寒がする。
「でもあんただけじゃねえ、あいつはほかの女にもこんなことしてんだよ」
広田が言うと、聡子は睨みつけた。
(昔はそうだったかもしれないけど、今はそんなことしてない!)
声にならないが聡子は叫んだ。
涙があふれてくる。
広田は舌をゆっくり出して聡子の胸の先端を舐め上げ、ニヤニヤと笑ったあと、それを口に含んだ。
(気持ち悪いっ……!)
いやっ助けて誰か、と聡子は必死で叫ぶが声にならない。
身を捩って抵抗をするが、手を縛られているせいで、激しく抵抗することができない。捩れば捩るほど手首が痛む。
(智幸さんじゃない人にこんなことされるなんて……!)
溢れた涙がこぼれ落ちそうになる。
「あいつ、胸のでけえ女が好みだとか言ってたっけ……まあまあいいな。確かにいい形と大きさだな。うまそうだけど、リカのほうが何倍もいいけどなあ」
きゅっと先端をつねられ痛みが走る。
「いい反応だな」
反応を楽しんでいる様子だ。
快感は全くない、おぞましさだけが溢れてくる。
そして……ずんっ、と秘部に衝撃が走った。
広田がスカートの中に手を入れ、布越しに脚の真ん中に触れてきたのだ。足をガムテープで捲れて閉じているため、勝手に広田の手を挟んでしまう。
(いや……っ!)
「ふうん、威勢がいいなあ……」
(智幸さん! 誰か、助けて!)
「嫌がってる割には、なーんか湿ってきたな」
足をじたばたさせるが、広田の力が強かった。
(なんでこんなことするの……)
聡子は必死で抵抗を続ける。
「悪いな。俺はあいつが心底気に食わねえんだよ。恨むならトモを恨むんだな。オレの惚れた女とも簡単に寝やがった。なんであいつのほうが女寄ってくるんだ。顔も性格も並以下のくせして……」
聡子は一瞬驚いたが、そういうことをしていたのは自分と付き合う前の話だ、と思った。トモは自分の過去の女性の扱いや対応を酷かったと自ら話している。
そういえば、トモは先日女に声をかけられていた。関係を持ったことはあるが、顔見知りのお気に入りの女だったとわかってからは会わなくなったと話していた。
もしかして、その女を気に入っている男なのだろうか。
(少なくともあんたより素敵な人だわ! 嫌がることはしない!)
聡子は広田を蹴り飛ばした。
「うるせえよ」
広田は聡子の前髪を引っ張り、顔を上向けた。
「おまえがトモの本気で惚れた女か? 大して顔がいいわけでもなんでもねえのに。ちょっとガキっぽい顔でエロい身体してるだけだろ」
(よけいなお世話よ!)
童顔なのは自分でもわかっている。そのせいで損をしてきたこともわかっている。
できる限り足を動かし、身体を捩った。
「ずいぶん気の強い女だな……。そういえば、トモは気の強い女が好みだったな。妙な好みだよな」
聡子は、以前トモがそういうことを言っていたのを思い出した。気の強い聡子を気に入ったとも言っていた。それは周囲の人間も知っていたと知った。
「よっぽどおまえに惚れてんだな。そんな女が別の男に犯されたなんて知ったら、さぞかしがっかりするだろうな」
「んんーーーっ!」
(お……おか……す……)
うるせえガキだな、と聡子の顔をひっぱたいた。
(この人、智幸さんのことほんとに嫌いなんだ……)
聡子は頭部の痛みをこらえながら、足を目いっぱい広田の急所目がけて蹴り上げた。
広田は蹌踉けて、転がった。
「こいつ……」
急所には少し当たったようだが、呻くほどではなかったらしい。股間を少し押さえていたが、起きあがった広田に、聡子はまた頬を打たれ、頭を打ち付けられた。
(痛い……よ……)
「ふざけやがって」
(ふざけてるのはどっちよ!)
キッとできる限り睨み付けた。
「このやろう……」
広田は容赦なく、聡子の顔を打ち、頭を雨水配水管に打ち付けた。
(いたい……もう……無理……)
──聡子はもう諦めた。
吐き気がする。
こみ上げてくるものがあるが、ガムテープを貼られたままだ。このままだと喉を詰まらせてしまうかもしれない。
(智幸さんは女子供に手をあげたりしない。あなたとは根本が違うんだ!)
言ってやりたいが、それすら出来ない。
「くっそー……この女……トモといい、ムカつく……。トモのどこが、何がいいのか……バカじゃねえのか」
(バカでもなんでもいいっ……)
「こいつ……あんたをちょっと傷つけてトモを笑ってやるだけのつもりだったけど、トモを痛めつけるより、この女を痛めつけてやるほうが楽しめそうだな」
自分を傷つけ、トモにも危害を加えるつもりだったと知り、聡子は朦朧とする意識のなかで思った。
(智幸さんに危害を加えられるくらいなら、わたしがここでやられるほうがマシかな……)
ふいに広田はベルトを外し、ズボンをおろした。
(えっ!?)
薄暗い廃屋ではわからないが、それでもわかった。
ボクサーパンツの奥で何かが膨らんでいる。
さらに吐きそうになるのに、ガムテープが邪魔で猛烈に気持ちが悪い。
(いやだーーーーーーーーーーーーーっ)
首筋がピリピリする。
(……なんか、ショックを与えられて気絶した……?)
聡子は動こうとしたが、両手を上部で雨水排水管に結びつけられ、そして足首は何か粘着性のあるもので縛られ、口をガムテープで閉じられている状態だった。口がガムテープだということは、足もそうなのだと察した。
周囲を見渡し、一体どういう状況なのかしばらく飲み込めないでいたが、上半身の着衣の乱れに気づき、その上半身を誰かに陵辱されている状況に頭が真っ白になった。
(わたし……今どういう状況なの……)
悲鳴をあげたいがあげられない。
ガムテープがそれを遮っている。
「なんだ、もう目ぇ覚ましたのか……」
気を失う前に声をかけてきた男だろうと思った。
ブラウスがはだけ、下着をずらされ、広田が身体を弄んでいるのだ。
(!)
んんっんんっ、と叫ぼうとしてもガムテープのせいで叫べない。
おぞましい。
トモでない男の手が自分の身体を這っている。
「悪いな……」
仕方ねえんだよ、と広田は言う。
やはり声をかけてきた男だとすぐにわかった。わかったが相手に身に覚えはない。ただ、トモのつながりだということだけはわかる。
聡子の胸を鷲掴みにし、親指で胸の先端を弾かれた。
(いやっ…………)
「トモにもこんなことされて悦んでんだろ?」
気持ちが悪すぎて悪寒がする。
「でもあんただけじゃねえ、あいつはほかの女にもこんなことしてんだよ」
広田が言うと、聡子は睨みつけた。
(昔はそうだったかもしれないけど、今はそんなことしてない!)
声にならないが聡子は叫んだ。
涙があふれてくる。
広田は舌をゆっくり出して聡子の胸の先端を舐め上げ、ニヤニヤと笑ったあと、それを口に含んだ。
(気持ち悪いっ……!)
いやっ助けて誰か、と聡子は必死で叫ぶが声にならない。
身を捩って抵抗をするが、手を縛られているせいで、激しく抵抗することができない。捩れば捩るほど手首が痛む。
(智幸さんじゃない人にこんなことされるなんて……!)
溢れた涙がこぼれ落ちそうになる。
「あいつ、胸のでけえ女が好みだとか言ってたっけ……まあまあいいな。確かにいい形と大きさだな。うまそうだけど、リカのほうが何倍もいいけどなあ」
きゅっと先端をつねられ痛みが走る。
「いい反応だな」
反応を楽しんでいる様子だ。
快感は全くない、おぞましさだけが溢れてくる。
そして……ずんっ、と秘部に衝撃が走った。
広田がスカートの中に手を入れ、布越しに脚の真ん中に触れてきたのだ。足をガムテープで捲れて閉じているため、勝手に広田の手を挟んでしまう。
(いや……っ!)
「ふうん、威勢がいいなあ……」
(智幸さん! 誰か、助けて!)
「嫌がってる割には、なーんか湿ってきたな」
足をじたばたさせるが、広田の力が強かった。
(なんでこんなことするの……)
聡子は必死で抵抗を続ける。
「悪いな。俺はあいつが心底気に食わねえんだよ。恨むならトモを恨むんだな。オレの惚れた女とも簡単に寝やがった。なんであいつのほうが女寄ってくるんだ。顔も性格も並以下のくせして……」
聡子は一瞬驚いたが、そういうことをしていたのは自分と付き合う前の話だ、と思った。トモは自分の過去の女性の扱いや対応を酷かったと自ら話している。
そういえば、トモは先日女に声をかけられていた。関係を持ったことはあるが、顔見知りのお気に入りの女だったとわかってからは会わなくなったと話していた。
もしかして、その女を気に入っている男なのだろうか。
(少なくともあんたより素敵な人だわ! 嫌がることはしない!)
聡子は広田を蹴り飛ばした。
「うるせえよ」
広田は聡子の前髪を引っ張り、顔を上向けた。
「おまえがトモの本気で惚れた女か? 大して顔がいいわけでもなんでもねえのに。ちょっとガキっぽい顔でエロい身体してるだけだろ」
(よけいなお世話よ!)
童顔なのは自分でもわかっている。そのせいで損をしてきたこともわかっている。
できる限り足を動かし、身体を捩った。
「ずいぶん気の強い女だな……。そういえば、トモは気の強い女が好みだったな。妙な好みだよな」
聡子は、以前トモがそういうことを言っていたのを思い出した。気の強い聡子を気に入ったとも言っていた。それは周囲の人間も知っていたと知った。
「よっぽどおまえに惚れてんだな。そんな女が別の男に犯されたなんて知ったら、さぞかしがっかりするだろうな」
「んんーーーっ!」
(お……おか……す……)
うるせえガキだな、と聡子の顔をひっぱたいた。
(この人、智幸さんのことほんとに嫌いなんだ……)
聡子は頭部の痛みをこらえながら、足を目いっぱい広田の急所目がけて蹴り上げた。
広田は蹌踉けて、転がった。
「こいつ……」
急所には少し当たったようだが、呻くほどではなかったらしい。股間を少し押さえていたが、起きあがった広田に、聡子はまた頬を打たれ、頭を打ち付けられた。
(痛い……よ……)
「ふざけやがって」
(ふざけてるのはどっちよ!)
キッとできる限り睨み付けた。
「このやろう……」
広田は容赦なく、聡子の顔を打ち、頭を雨水配水管に打ち付けた。
(いたい……もう……無理……)
──聡子はもう諦めた。
吐き気がする。
こみ上げてくるものがあるが、ガムテープを貼られたままだ。このままだと喉を詰まらせてしまうかもしれない。
(智幸さんは女子供に手をあげたりしない。あなたとは根本が違うんだ!)
言ってやりたいが、それすら出来ない。
「くっそー……この女……トモといい、ムカつく……。トモのどこが、何がいいのか……バカじゃねえのか」
(バカでもなんでもいいっ……)
「こいつ……あんたをちょっと傷つけてトモを笑ってやるだけのつもりだったけど、トモを痛めつけるより、この女を痛めつけてやるほうが楽しめそうだな」
自分を傷つけ、トモにも危害を加えるつもりだったと知り、聡子は朦朧とする意識のなかで思った。
(智幸さんに危害を加えられるくらいなら、わたしがここでやられるほうがマシかな……)
ふいに広田はベルトを外し、ズボンをおろした。
(えっ!?)
薄暗い廃屋ではわからないが、それでもわかった。
ボクサーパンツの奥で何かが膨らんでいる。
さらに吐きそうになるのに、ガムテープが邪魔で猛烈に気持ちが悪い。
(いやだーーーーーーーーーーーーーっ)
応援ありがとうございます!
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