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12.現場
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「真緒ちゃん、これ現場に届けてくれる? 山岡班には連絡したから、誰かに渡してくれたらいいからね」
小夜子からの使いをまかされることになった。
『わかりました』
「着いたら誰かに電話鳴らすかメッセージを送る、ね。真緒ちゃんが行くのは、山岡君と松浦君に伝えたから電話でも大丈夫よ』
(今日の現場は……青葉の下請けか……)
嫌だなと真緒は思った。青葉建設の営業、古川一真が苦手だったからだ。
古川は青葉建設の次期社長と言われているが、現在は営業であって、あまり現場に顔を出すことはないはずだ。
自転車で向かい、現場につくと、真っ先に創平の電話を鳴らした。
「くぅー……あー、はー、しー」
必死で声を出す。
自分の苗字は、ゆっくり息を出せば、なんとか伝わる程度には言える。
《倉橋さん!? 着いた!? 今から行くから入口待ってて!》
騒音のなか、叫ぶ創平の声が返ってきた。
(よかった、松浦さん、わかってくれた)
着信番号で既にわかってくれるはずだが、それでも、確認するように「倉橋さん」と返ってくるととても安心出来た。
創平はすぐに来てくれるだろう。
自転車を端に避けて、待機することにした。
……待っているとバンが入ってきた。
嫌な予感がした。
「倉橋さん!」
運転席の窓が開き、車の中から古川が声を発した。
(的中……)
苦手な古川だった。
営業の古川がなぜここに来るのだろう。
元請の社員なのだから、いてもおかしくはない。だが、現場に来ることはあまりないはずなのだ。
(苦手……)
古川はとても親切な男性だ。
嫌なことを言われたことは一度もない。
苦手なのは直感だ。
これまでの経験から、絵に描いたような親切には裏があることが多い。どちらかというと、創平のようにちょっと不器用な男のほうが、芯が優しいことが多い気がしている。今の職場の人たちの多くがそうだ。乱暴な言葉を使うとか、気性が荒いとか、ちょっとセクハラまがいのことを言う男もいるが、皆、自分だけじゃなく人のためにも何とかしようとしてくれる性格の人間が多い。嫌味を言っても結局助けてくれる。
古川は、自分の見た目が気に入っているのと、生い立ちに同情してくれているだけだ。
最初はそうは思わなかったが、自分に露骨にアプローチをしてくるのがわかり、警戒するようになった。
「お疲れさま」
『お……お疲れ様です』
軽い手話と会釈をした。
わざわざ車から降りて来ると、真緒の前に立った。
「どうしたの」
『……届け物のおつかいです』
「渡しておこうか?」
『いえ、結構です』
自分で渡さないといけない、と真緒は首を振った。
ヘルメットがないので現場に入ることはできないので、ここで待機しているのだ。
早くどこかへ行ってくれないかな、と真緒は思った。
「この前の件、ずっと返事もらえてないけど、考えてくれてる?」
『……それはお断りしたはずです』
「どうして?」
『どうしてって……』
「俺は本気だよ。つきあってみて、俺のこと好きになれなかったらそれでいいし。でも好きになってもらえるように頑張るよ?」
(すごい自信…)
変に手話を使っても古川は手話を理解しているので、真緒は伝えなかった。
(付き合うなんて絶対に無理なのに)
『わたしは、好きな人がいるんです』
「えっ、誰」
『あなたには関係ありません』
「相手に言ったの?」
『一生言うつもりはありません』
「どうして?」
『どうしてって……』
(この人は質問ばかり。わたしの話には聞く耳持たない)
「俺は手話もわかるよ。これからだって倉橋さんに不自由させない環境を用意できると思ってる。望みのない恋をするより、俺と一緒なら一生安心させてあげられる」
(何それ……結婚する前提じゃない!?)
反吐が出そうだった。
この人はいつも一方的だ。
『あなたは社長さんのご子息で、会社を継ぐ人なんですから、もっとふさわしい人がたくさんいるはずです』
真緒はめんどくさそうに言ったが、古川はしつこかった。
***
「倉橋さん!」
古川と真緒が手話を交えて何やら会話をしているのが見えた。
真緒の顔が強ばっている。
山岡の言葉がよぎった。
「真緒ちゃんを狙ってる」
そう言っていた。
(……これは倉橋さんが困ってる)
急いで真緒のもとに駆け寄った。
「倉橋さん! お疲れ!」
『あっ……お疲れさまです』
ぱあっと真緒の顔が明るくなった。
「それ、図面だよな? 届けてくれてありがとな、めちゃくちゃ助かった」
真緒の強ばってた顔はすぐに消え、安堵した表情で創平を見上げた。
『よかったです』
「うん、すぐ届けてもらえてよかった。恩に着る」
『はい』
「なんか雨、降り出しそうだし、降る前に戻ったほうがいいな。気をつけて戻れよ。あ、これお駄賃がわり」
創平は、先程自販機で買っておいたミルクティーを渡した。少し温くなってしまっているのだが。
『ありがとうございます!』
真緒は嬉しそうに笑った。
「気をつけてな」
手話で伝えると、真緒は大きく頷いた。
『はい。松浦さんも頑張ってくださいね』
「おう」
創平はわざと、急かすように真緒を立ち去らせた。
古川が名残惜しそうに真緒の背中を見つめているのが癪に障った。
「昼間っから、うちの女性社員をナンパしないでくださいよ」
「別に。違いますよ」
「倉橋さんを困らせるようなことはやめてもらえますか」
「……」
「手出したら、うちの会社もん全員を敵に回しますよ。まあおたくは俺らの元請けだから、潰すのくらい簡単だと思ってるでしょうけど」
古川はひとにらみすると現場に入っていった。
「それじゃ、失礼します」
創平は図面を持って、元の場所に戻った。
「倉橋さん、ナンパされてた」
「ナンパ!?」
「青葉の御曹司に」
「あー……古川さんか」
山岡に報告がてら話した。
「来てたの?」
「うん、入口で。倉橋さんのところに言ったらナンパしてた」
山岡は苦々しい顔になった。
「倉橋さん、困ってた」
「そっか」
「あいつ、結構上からものを言うやつだな。うちの社長には丁寧だったのに」
「下請けに仕事してもらわなきゃいけないからな」
「でもほかにも代わりがいる、っていう現実があるだろ」
「まあな。一般的には元請様、って感じだろうけど、ああいうゼネコンはさ、下請あっての建設業だろ。難しい工事だと引き受けてくれないとこもあるし、設備が揃ってる会社でないと出来ない時もあるだろ? うちの会社が設備が揃ってるほうだし、そもそも社長は断らないからな。色をつけろとは言うだろうけど」
心穏やかでない創平を、山岡はどうしたものかというように見返してきた。
「あんな露骨にナンパしてるとは思わなかった」
「まあなあ。あっちは自意識過剰っぽいけど、……真緒ちゃんは苦手みたいだけどな」
午後から雨が振りだした。
雨のなか工事は行われたが、雨足が強くなってきたため現場作業は早めの引き上げとなった。
(なんか寒いな……)
雨に濡れた創平たちは、シャワーを浴びて帰ることにした。
(会社に風呂があるのは有り難いな)
事務所に戻るや真緒と目が合うと、彼女はぺこりとお辞儀をした。そのまますぐに下を向いていたが。
帰宅後、夜に、昼間の、古川一真に絡まれていたその件で、創平に感謝するメッセージが届いたようだ。が、創平は気づかずに寝てしまっていた。気づいた翌朝に、慌ててスタンプを返したのだった。
翌朝は、身体に怠さを感じ、正直体調は思わしくなかった。しかし昨日の雨でほんの少しだが遅れが生じたわけだし、現場に穴を開けられないと出勤した。穴埋めをしないといけない。工程表を変更するわけにはいかないからだ。
普段から表情があるわけではないが、異変を感じたのか、真緒が不安そうに、
『体調が良くないのでしたら休まれたほうが』
と声をかけてきた。
「いや、大丈夫」
そう言ったが、自分が思った以上に体調は良くなかったようだ。
曇天の元の作業中、創平は嘔吐の後に、倒れてしまい、山岡に家まで送られた。
自分の身体は頑丈に出来ていると思っていた。
意識が朦朧とした時点で、休息を取るべきだと思ったが、もう遅い。
自分の代わりに、他の現場から別の社員の応援を呼んでカバーしてもらったと後で聞いた。結局迷惑をかけてしまっていることは、申し訳なかった。
だが、会社の誰も叱責することはなかったし、
「ゆっくり休め」
と社長からも言われてしまった。
「すみません……」
帰り際、小夜子にも、
「昨日、雨の中作業したからかしらね」
と心配をされてしまった。
「俺はピンピンしてますけどね……」
山岡が苦笑していた。
創平が現場で倒れたと聞いて、真緒が取り乱していたと山岡に聞いた時、
(なんでそんなに心配してくれるんだよ……)
怠さで思考は鈍っていたのに、真緒の様子ばかりが気にかかった。
(かっこわりー……)
弱っている自分なんて見られたくないのに。
そして、創平はそのままアパートに帰された。
真緒は心配そうだ。
「真緒ちゃん、そんなに心配しなくてもあいつなら大丈夫」
山岡が真緒に声をかけているのを聞いた。
「そんなに心配なら、ほら、あとで荷物持ってってやりな」
社長も真緒に何か言っているのが聞こえたが、早く横になりたかった創平は山岡に身体を支えられながら事務所を出ていった。
小夜子からの使いをまかされることになった。
『わかりました』
「着いたら誰かに電話鳴らすかメッセージを送る、ね。真緒ちゃんが行くのは、山岡君と松浦君に伝えたから電話でも大丈夫よ』
(今日の現場は……青葉の下請けか……)
嫌だなと真緒は思った。青葉建設の営業、古川一真が苦手だったからだ。
古川は青葉建設の次期社長と言われているが、現在は営業であって、あまり現場に顔を出すことはないはずだ。
自転車で向かい、現場につくと、真っ先に創平の電話を鳴らした。
「くぅー……あー、はー、しー」
必死で声を出す。
自分の苗字は、ゆっくり息を出せば、なんとか伝わる程度には言える。
《倉橋さん!? 着いた!? 今から行くから入口待ってて!》
騒音のなか、叫ぶ創平の声が返ってきた。
(よかった、松浦さん、わかってくれた)
着信番号で既にわかってくれるはずだが、それでも、確認するように「倉橋さん」と返ってくるととても安心出来た。
創平はすぐに来てくれるだろう。
自転車を端に避けて、待機することにした。
……待っているとバンが入ってきた。
嫌な予感がした。
「倉橋さん!」
運転席の窓が開き、車の中から古川が声を発した。
(的中……)
苦手な古川だった。
営業の古川がなぜここに来るのだろう。
元請の社員なのだから、いてもおかしくはない。だが、現場に来ることはあまりないはずなのだ。
(苦手……)
古川はとても親切な男性だ。
嫌なことを言われたことは一度もない。
苦手なのは直感だ。
これまでの経験から、絵に描いたような親切には裏があることが多い。どちらかというと、創平のようにちょっと不器用な男のほうが、芯が優しいことが多い気がしている。今の職場の人たちの多くがそうだ。乱暴な言葉を使うとか、気性が荒いとか、ちょっとセクハラまがいのことを言う男もいるが、皆、自分だけじゃなく人のためにも何とかしようとしてくれる性格の人間が多い。嫌味を言っても結局助けてくれる。
古川は、自分の見た目が気に入っているのと、生い立ちに同情してくれているだけだ。
最初はそうは思わなかったが、自分に露骨にアプローチをしてくるのがわかり、警戒するようになった。
「お疲れさま」
『お……お疲れ様です』
軽い手話と会釈をした。
わざわざ車から降りて来ると、真緒の前に立った。
「どうしたの」
『……届け物のおつかいです』
「渡しておこうか?」
『いえ、結構です』
自分で渡さないといけない、と真緒は首を振った。
ヘルメットがないので現場に入ることはできないので、ここで待機しているのだ。
早くどこかへ行ってくれないかな、と真緒は思った。
「この前の件、ずっと返事もらえてないけど、考えてくれてる?」
『……それはお断りしたはずです』
「どうして?」
『どうしてって……』
「俺は本気だよ。つきあってみて、俺のこと好きになれなかったらそれでいいし。でも好きになってもらえるように頑張るよ?」
(すごい自信…)
変に手話を使っても古川は手話を理解しているので、真緒は伝えなかった。
(付き合うなんて絶対に無理なのに)
『わたしは、好きな人がいるんです』
「えっ、誰」
『あなたには関係ありません』
「相手に言ったの?」
『一生言うつもりはありません』
「どうして?」
『どうしてって……』
(この人は質問ばかり。わたしの話には聞く耳持たない)
「俺は手話もわかるよ。これからだって倉橋さんに不自由させない環境を用意できると思ってる。望みのない恋をするより、俺と一緒なら一生安心させてあげられる」
(何それ……結婚する前提じゃない!?)
反吐が出そうだった。
この人はいつも一方的だ。
『あなたは社長さんのご子息で、会社を継ぐ人なんですから、もっとふさわしい人がたくさんいるはずです』
真緒はめんどくさそうに言ったが、古川はしつこかった。
***
「倉橋さん!」
古川と真緒が手話を交えて何やら会話をしているのが見えた。
真緒の顔が強ばっている。
山岡の言葉がよぎった。
「真緒ちゃんを狙ってる」
そう言っていた。
(……これは倉橋さんが困ってる)
急いで真緒のもとに駆け寄った。
「倉橋さん! お疲れ!」
『あっ……お疲れさまです』
ぱあっと真緒の顔が明るくなった。
「それ、図面だよな? 届けてくれてありがとな、めちゃくちゃ助かった」
真緒の強ばってた顔はすぐに消え、安堵した表情で創平を見上げた。
『よかったです』
「うん、すぐ届けてもらえてよかった。恩に着る」
『はい』
「なんか雨、降り出しそうだし、降る前に戻ったほうがいいな。気をつけて戻れよ。あ、これお駄賃がわり」
創平は、先程自販機で買っておいたミルクティーを渡した。少し温くなってしまっているのだが。
『ありがとうございます!』
真緒は嬉しそうに笑った。
「気をつけてな」
手話で伝えると、真緒は大きく頷いた。
『はい。松浦さんも頑張ってくださいね』
「おう」
創平はわざと、急かすように真緒を立ち去らせた。
古川が名残惜しそうに真緒の背中を見つめているのが癪に障った。
「昼間っから、うちの女性社員をナンパしないでくださいよ」
「別に。違いますよ」
「倉橋さんを困らせるようなことはやめてもらえますか」
「……」
「手出したら、うちの会社もん全員を敵に回しますよ。まあおたくは俺らの元請けだから、潰すのくらい簡単だと思ってるでしょうけど」
古川はひとにらみすると現場に入っていった。
「それじゃ、失礼します」
創平は図面を持って、元の場所に戻った。
「倉橋さん、ナンパされてた」
「ナンパ!?」
「青葉の御曹司に」
「あー……古川さんか」
山岡に報告がてら話した。
「来てたの?」
「うん、入口で。倉橋さんのところに言ったらナンパしてた」
山岡は苦々しい顔になった。
「倉橋さん、困ってた」
「そっか」
「あいつ、結構上からものを言うやつだな。うちの社長には丁寧だったのに」
「下請けに仕事してもらわなきゃいけないからな」
「でもほかにも代わりがいる、っていう現実があるだろ」
「まあな。一般的には元請様、って感じだろうけど、ああいうゼネコンはさ、下請あっての建設業だろ。難しい工事だと引き受けてくれないとこもあるし、設備が揃ってる会社でないと出来ない時もあるだろ? うちの会社が設備が揃ってるほうだし、そもそも社長は断らないからな。色をつけろとは言うだろうけど」
心穏やかでない創平を、山岡はどうしたものかというように見返してきた。
「あんな露骨にナンパしてるとは思わなかった」
「まあなあ。あっちは自意識過剰っぽいけど、……真緒ちゃんは苦手みたいだけどな」
午後から雨が振りだした。
雨のなか工事は行われたが、雨足が強くなってきたため現場作業は早めの引き上げとなった。
(なんか寒いな……)
雨に濡れた創平たちは、シャワーを浴びて帰ることにした。
(会社に風呂があるのは有り難いな)
事務所に戻るや真緒と目が合うと、彼女はぺこりとお辞儀をした。そのまますぐに下を向いていたが。
帰宅後、夜に、昼間の、古川一真に絡まれていたその件で、創平に感謝するメッセージが届いたようだ。が、創平は気づかずに寝てしまっていた。気づいた翌朝に、慌ててスタンプを返したのだった。
翌朝は、身体に怠さを感じ、正直体調は思わしくなかった。しかし昨日の雨でほんの少しだが遅れが生じたわけだし、現場に穴を開けられないと出勤した。穴埋めをしないといけない。工程表を変更するわけにはいかないからだ。
普段から表情があるわけではないが、異変を感じたのか、真緒が不安そうに、
『体調が良くないのでしたら休まれたほうが』
と声をかけてきた。
「いや、大丈夫」
そう言ったが、自分が思った以上に体調は良くなかったようだ。
曇天の元の作業中、創平は嘔吐の後に、倒れてしまい、山岡に家まで送られた。
自分の身体は頑丈に出来ていると思っていた。
意識が朦朧とした時点で、休息を取るべきだと思ったが、もう遅い。
自分の代わりに、他の現場から別の社員の応援を呼んでカバーしてもらったと後で聞いた。結局迷惑をかけてしまっていることは、申し訳なかった。
だが、会社の誰も叱責することはなかったし、
「ゆっくり休め」
と社長からも言われてしまった。
「すみません……」
帰り際、小夜子にも、
「昨日、雨の中作業したからかしらね」
と心配をされてしまった。
「俺はピンピンしてますけどね……」
山岡が苦笑していた。
創平が現場で倒れたと聞いて、真緒が取り乱していたと山岡に聞いた時、
(なんでそんなに心配してくれるんだよ……)
怠さで思考は鈍っていたのに、真緒の様子ばかりが気にかかった。
(かっこわりー……)
弱っている自分なんて見られたくないのに。
そして、創平はそのままアパートに帰された。
真緒は心配そうだ。
「真緒ちゃん、そんなに心配しなくてもあいつなら大丈夫」
山岡が真緒に声をかけているのを聞いた。
「そんなに心配なら、ほら、あとで荷物持ってってやりな」
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