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18.モノローグ
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自転車のチェーンが外れてしまった。
道の端で、自転車を止め、途方に暮れそうになった。
この近くに自転車屋さんはないものか、と思うが、見かけたことがない。商店街に行けばあったような気もするが、随分遠い。家に戻るにも時間がかかる、
どうやるんだったっけ、と昔、兄が直してくれたのを思い出してはみたが、どうやっていたのかわからず、自分ではどうすることもできない。
確か、この緩んだチェーンをどうにか戻して元の位置に戻していたはずだ。
やってみよう、とチェーンを掴んだ途端、手が汚れてしまった。
汚れるのは仕方ない、と割り切ってチェーンをもう一度掴む。ハンカチがあるし、後で手を拭けばいいことだと思った。
チェーンをギアに引っかけ、緩みがなくなったのを見て、なんだこれでいいんんだ、と一人納得した。
どうだろうと乗って、ペダルを踏んでみたが、軽いままで漕ぐ感覚はなかった。
何度か繰り返している間にも、いろんな人が通り過ぎるが、見ていくだけで誰も声をかけてくることはなかった。
だが、声をかけてきた二人組がいたのだ。
「どうした、チェーン、外れたのか?」
軽バンが近くに止まり、作業服を着た若い男性二人が降りて声をかけてきたのだ。
警戒しつつも頷くと、
「見てみるから、ちょっと代わってくれるか」
茶髪の、少し目付きが悪い男性が言った。
退くと、彼は軍手を取り出し、チェーンを掴んでぶつぶつ言い出した。
もう一人の男性は、
「あーあ、めちゃくちゃ手が汚れてるよ。素手で触ったんだな。ちょっと待ってて」
車の後部座席を開け、彼はタオルと一緒に何かを持ってきた。
「手え出して。これ、業務用だけど。油汚れを水なしで落とすハンドクリーナー。はい、使って。その後にこのタオルで拭いて」
両手を開いて出すと、男性はクリーナーを手に落としてくれた。言われたとおりに、手を擦りタオルで拭き取ると、汚れの殆どが取れた。
彼らは純粋に親切な人達のようだ。警戒してしまったのを心のなかで詫びた。もちろん油断はできないが。
「はい、これでよし。後で、ちゃんと石鹸で手荒いしてね」
こくりと頷いて、頭を下げた。
「ちょっと待ってね、あの人が直してくれるから」
もう一度頷いた。
「チェーン外れて困ってるんじゃないか、ってあの人が気づいてさ。止まってよかったよ。あの人ね、こういうの得意なんだよ、運が良かったね」
声を出してお礼を言いたいが、伝えることができないのがもどかしかった。
茶髪の男性は、車から工具を取ってくると、自転車のチェーンをギアに付け直してくれた。手慣れているのかわからないが、自分の兄よりもスムーズに作業をしているように見えた。
「あー、歯飛びしてるわ。応急処置は出来るけど、チェーン交換したほうがいいと思う」
「だってさ」
「自転車屋、行ったほうがいいな。とりあえず暫くは走れるけど、また外れると思う。自転車屋に見てもらったら、すぐわかると思うし。ほら、もう乗れるぞ」
立ち上がり、深々と頭を下げた。
嬉しくて涙が出てきた。
「お、おい、泣くなよ。泣くようなことでもないだろ……」
優しさが嬉しくて、つい涙腺が緩んでしまった。
「女に泣かれると弱いんだよな……」
思い出したように、ブレザーのポケットからメモ帳を取り出し、急いで文字を書いた。
「ありがとうございます……お礼がしたいので……連絡先を教えてもらえませんか……って、いやいや、そんなのいいよ」
ハンドクリーナーを使わせてくれたほうの男性が笑った。
「そういうのはいいよ、気にしないで」
「ああ、気にするようなことでもない。俺らもたまたま直せただけだ」
《でも、お仕事中ですよね。仕事の道具も使わせていただいたのに、申し訳ないです》
「現場からの帰りだから、別に急いではないし。な?」
彼はもう一人の茶髪の男性に向き直った。
そちらの男性も、小さく頷いた。
「じゃあさ、誰か困ってる人がいたら、今度はあんたが力になってあげたらいいと思う。それでチャラだ。俺も、いろんな人に助けてもらったからな」
茶髪の男性が言った。怖そうに見えて、かなりまともなことを言っている。
「まあ、そうだな。それは、俺も思うな」
うんうん、ともう一人は頷いた。
そして、茶髪は戸惑ったようにこちらと連れを交互に見ている。
ハンドクリーナーの男性は、自分が言葉を発しないことを変に思っていない様子だ。しかし茶髪男性のほうは、おそらく奇妙に思っているのだろう。
《ありがとうございます》
手話は使わずに、メモ帳に書いて、見せた。
「どうしたしまして」
もう一度頭を下げた。
「じゃあ、俺ら行くね」
ありがとうござました、と口を動かして、二人を見上げた。
この片方の男性に見覚えがある気がした。
作業服の胸元に刺繍があるのを見つけ、目を凝らして見つめた。
草野工業、そう書いている。
「じゃあね」
「気をつけて帰れよ」
二人は手をあげて、車に戻って行った。
茶髪の男性には以前にも会ったことがある、そう思った。
自転車の前カゴのカバンを見て、ふと気づく。
カバンには、自治体から配布された「ヘルプマーク」のキーホルダーが付いている。
優しい言葉をかけてくれた男性は、これを見たのだろう。あまり浸透していないが、彼はこれの意味を知っていたと思われた。
もう一人の男性はきっと気づいていない。
最後まで、言葉を発しないことを不思議に思っていたように見えたからだ。
あの人に助けてもらったのは二度目だ。
言葉遣いは乱暴だったが、優しさを感じた。
もう一人の男性も物腰が柔らかくて、温かさを感じた。
茶髪の男性には特に目を惹かれた。
もう一度会えた時には、ちゃんとお礼を伝えたい。
高校二年生の秋の日の出来事だ。
***
山岡は気づいていた。
真緒が創平を見つめていることに気づいたとき、
「松浦のこと気になるの?」
と言ってしまった
真緒はわかりやすい、顔に出るのだ。
「けど、あいつ、倉橋さんにすっげー態度悪くない?」
そう言うと、真緒は悲しそうな顔になった。
『仕方ないです。わたしが鈍くさくて、松浦さんの気に障ることばかりしてしまうので』
「いや、してないと思うけどね……」
友人で同僚の松浦創平は、真緒に対して当たりが強い。
高校時代からの付き合いだが、昔はそんなに性格は歪んではいなかったはずだ。働き初めてから、曲がってしまった気がしている。たぶん付き合ってきた女性の影響だ。
最初は、そんな創平に、真緒が好意を持っているというのが信じられなかった。
『以前、山岡さんと松浦さんに助けてもらったことがあるんです』
それを聞いた時、山岡はとても驚いた。
「でも気になったのは俺じゃないんだ」
山岡は笑った。
『すみません』
「謝ることはないけど」
高校生の頃に、自転車のチェーンが外れて困っている時に、二人が声をかけてくれたと真緒は言った。
「俺、うっすら覚えてるんだよね……。松浦が、なんか困ってる女子高生がいる、って言って車止めて……」
そうですそうです、と彼女は頷いた。
『直していただいて。その時に、この人には前にも助けてもらったことがある、って気づいて……』
「松浦に?」
はい、と彼女は頷いた。
小学生の頃、学校のガキ大将グループに川に突き落とされ、通りすがりの高校生たちに助けてもらったと言った。
『その時の方も山岡さんかな……と思ったんですが、おそらく違うなって』
「そうだなあ、松浦とは高校時代からの付き合いだけど、住んでるところが全然違ったから、帰りに自転車で一緒に帰るってことは殆どなかったな。俺は電車通学だったし。あいつの別の友達だとは思う」
『松浦さんなのは間違いなくて。二度も助けていただいたのに、お礼をずっと言いたくても言えなくて……』
「また会えたってわけだ。けどあいつは全然覚えてないしな」
それでこの仕打ちか、と山岡は自分の友人の態度に呆れてしまった。
言ってやりたいと思うが、真緒に口止めされている。
「あんな性格悪い男なのになあ」
『そんなことないです、きっと本当は優しいです……。階段から落ちたとき、かばってくれましたから。わたしのことが嫌いなのに……優しくないと、出来ません』
悲しげな表情の真緒に、居たたまれなくなる。
どうしてこんな健気に思ってくれる女の子に、あんなひどいことが言えるのだろう、と。
『三度も助けてもらいましたから』
真緒はそう言うが、相手は一度目も二度目も間違いなく覚えていないだろう。三度目も、やむを得ない状況だったから、という理由だろう。
「気づいてもらえなくても、嫌われてもいいです。あの時の恩は仕事でお返ししたいと思ってます」
真緒の好意は実らないだろう、と山岡は内心でため息をついていた。
その時は。
道の端で、自転車を止め、途方に暮れそうになった。
この近くに自転車屋さんはないものか、と思うが、見かけたことがない。商店街に行けばあったような気もするが、随分遠い。家に戻るにも時間がかかる、
どうやるんだったっけ、と昔、兄が直してくれたのを思い出してはみたが、どうやっていたのかわからず、自分ではどうすることもできない。
確か、この緩んだチェーンをどうにか戻して元の位置に戻していたはずだ。
やってみよう、とチェーンを掴んだ途端、手が汚れてしまった。
汚れるのは仕方ない、と割り切ってチェーンをもう一度掴む。ハンカチがあるし、後で手を拭けばいいことだと思った。
チェーンをギアに引っかけ、緩みがなくなったのを見て、なんだこれでいいんんだ、と一人納得した。
どうだろうと乗って、ペダルを踏んでみたが、軽いままで漕ぐ感覚はなかった。
何度か繰り返している間にも、いろんな人が通り過ぎるが、見ていくだけで誰も声をかけてくることはなかった。
だが、声をかけてきた二人組がいたのだ。
「どうした、チェーン、外れたのか?」
軽バンが近くに止まり、作業服を着た若い男性二人が降りて声をかけてきたのだ。
警戒しつつも頷くと、
「見てみるから、ちょっと代わってくれるか」
茶髪の、少し目付きが悪い男性が言った。
退くと、彼は軍手を取り出し、チェーンを掴んでぶつぶつ言い出した。
もう一人の男性は、
「あーあ、めちゃくちゃ手が汚れてるよ。素手で触ったんだな。ちょっと待ってて」
車の後部座席を開け、彼はタオルと一緒に何かを持ってきた。
「手え出して。これ、業務用だけど。油汚れを水なしで落とすハンドクリーナー。はい、使って。その後にこのタオルで拭いて」
両手を開いて出すと、男性はクリーナーを手に落としてくれた。言われたとおりに、手を擦りタオルで拭き取ると、汚れの殆どが取れた。
彼らは純粋に親切な人達のようだ。警戒してしまったのを心のなかで詫びた。もちろん油断はできないが。
「はい、これでよし。後で、ちゃんと石鹸で手荒いしてね」
こくりと頷いて、頭を下げた。
「ちょっと待ってね、あの人が直してくれるから」
もう一度頷いた。
「チェーン外れて困ってるんじゃないか、ってあの人が気づいてさ。止まってよかったよ。あの人ね、こういうの得意なんだよ、運が良かったね」
声を出してお礼を言いたいが、伝えることができないのがもどかしかった。
茶髪の男性は、車から工具を取ってくると、自転車のチェーンをギアに付け直してくれた。手慣れているのかわからないが、自分の兄よりもスムーズに作業をしているように見えた。
「あー、歯飛びしてるわ。応急処置は出来るけど、チェーン交換したほうがいいと思う」
「だってさ」
「自転車屋、行ったほうがいいな。とりあえず暫くは走れるけど、また外れると思う。自転車屋に見てもらったら、すぐわかると思うし。ほら、もう乗れるぞ」
立ち上がり、深々と頭を下げた。
嬉しくて涙が出てきた。
「お、おい、泣くなよ。泣くようなことでもないだろ……」
優しさが嬉しくて、つい涙腺が緩んでしまった。
「女に泣かれると弱いんだよな……」
思い出したように、ブレザーのポケットからメモ帳を取り出し、急いで文字を書いた。
「ありがとうございます……お礼がしたいので……連絡先を教えてもらえませんか……って、いやいや、そんなのいいよ」
ハンドクリーナーを使わせてくれたほうの男性が笑った。
「そういうのはいいよ、気にしないで」
「ああ、気にするようなことでもない。俺らもたまたま直せただけだ」
《でも、お仕事中ですよね。仕事の道具も使わせていただいたのに、申し訳ないです》
「現場からの帰りだから、別に急いではないし。な?」
彼はもう一人の茶髪の男性に向き直った。
そちらの男性も、小さく頷いた。
「じゃあさ、誰か困ってる人がいたら、今度はあんたが力になってあげたらいいと思う。それでチャラだ。俺も、いろんな人に助けてもらったからな」
茶髪の男性が言った。怖そうに見えて、かなりまともなことを言っている。
「まあ、そうだな。それは、俺も思うな」
うんうん、ともう一人は頷いた。
そして、茶髪は戸惑ったようにこちらと連れを交互に見ている。
ハンドクリーナーの男性は、自分が言葉を発しないことを変に思っていない様子だ。しかし茶髪男性のほうは、おそらく奇妙に思っているのだろう。
《ありがとうございます》
手話は使わずに、メモ帳に書いて、見せた。
「どうしたしまして」
もう一度頭を下げた。
「じゃあ、俺ら行くね」
ありがとうござました、と口を動かして、二人を見上げた。
この片方の男性に見覚えがある気がした。
作業服の胸元に刺繍があるのを見つけ、目を凝らして見つめた。
草野工業、そう書いている。
「じゃあね」
「気をつけて帰れよ」
二人は手をあげて、車に戻って行った。
茶髪の男性には以前にも会ったことがある、そう思った。
自転車の前カゴのカバンを見て、ふと気づく。
カバンには、自治体から配布された「ヘルプマーク」のキーホルダーが付いている。
優しい言葉をかけてくれた男性は、これを見たのだろう。あまり浸透していないが、彼はこれの意味を知っていたと思われた。
もう一人の男性はきっと気づいていない。
最後まで、言葉を発しないことを不思議に思っていたように見えたからだ。
あの人に助けてもらったのは二度目だ。
言葉遣いは乱暴だったが、優しさを感じた。
もう一人の男性も物腰が柔らかくて、温かさを感じた。
茶髪の男性には特に目を惹かれた。
もう一度会えた時には、ちゃんとお礼を伝えたい。
高校二年生の秋の日の出来事だ。
***
山岡は気づいていた。
真緒が創平を見つめていることに気づいたとき、
「松浦のこと気になるの?」
と言ってしまった
真緒はわかりやすい、顔に出るのだ。
「けど、あいつ、倉橋さんにすっげー態度悪くない?」
そう言うと、真緒は悲しそうな顔になった。
『仕方ないです。わたしが鈍くさくて、松浦さんの気に障ることばかりしてしまうので』
「いや、してないと思うけどね……」
友人で同僚の松浦創平は、真緒に対して当たりが強い。
高校時代からの付き合いだが、昔はそんなに性格は歪んではいなかったはずだ。働き初めてから、曲がってしまった気がしている。たぶん付き合ってきた女性の影響だ。
最初は、そんな創平に、真緒が好意を持っているというのが信じられなかった。
『以前、山岡さんと松浦さんに助けてもらったことがあるんです』
それを聞いた時、山岡はとても驚いた。
「でも気になったのは俺じゃないんだ」
山岡は笑った。
『すみません』
「謝ることはないけど」
高校生の頃に、自転車のチェーンが外れて困っている時に、二人が声をかけてくれたと真緒は言った。
「俺、うっすら覚えてるんだよね……。松浦が、なんか困ってる女子高生がいる、って言って車止めて……」
そうですそうです、と彼女は頷いた。
『直していただいて。その時に、この人には前にも助けてもらったことがある、って気づいて……』
「松浦に?」
はい、と彼女は頷いた。
小学生の頃、学校のガキ大将グループに川に突き落とされ、通りすがりの高校生たちに助けてもらったと言った。
『その時の方も山岡さんかな……と思ったんですが、おそらく違うなって』
「そうだなあ、松浦とは高校時代からの付き合いだけど、住んでるところが全然違ったから、帰りに自転車で一緒に帰るってことは殆どなかったな。俺は電車通学だったし。あいつの別の友達だとは思う」
『松浦さんなのは間違いなくて。二度も助けていただいたのに、お礼をずっと言いたくても言えなくて……』
「また会えたってわけだ。けどあいつは全然覚えてないしな」
それでこの仕打ちか、と山岡は自分の友人の態度に呆れてしまった。
言ってやりたいと思うが、真緒に口止めされている。
「あんな性格悪い男なのになあ」
『そんなことないです、きっと本当は優しいです……。階段から落ちたとき、かばってくれましたから。わたしのことが嫌いなのに……優しくないと、出来ません』
悲しげな表情の真緒に、居たたまれなくなる。
どうしてこんな健気に思ってくれる女の子に、あんなひどいことが言えるのだろう、と。
『三度も助けてもらいましたから』
真緒はそう言うが、相手は一度目も二度目も間違いなく覚えていないだろう。三度目も、やむを得ない状況だったから、という理由だろう。
「気づいてもらえなくても、嫌われてもいいです。あの時の恩は仕事でお返ししたいと思ってます」
真緒の好意は実らないだろう、と山岡は内心でため息をついていた。
その時は。
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