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22.未遂
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真緒からキスをしてくれることはなかったが、創平がキスをしても応えてくれるようにはなった。
だが、相変わらず恥ずかしそうで、さらに仲を深めるのはまだ先だと思わざるを得なかった。
(別にそういう目的じゃなし)
手を繋いで、キスをして。
(三月につきあいはじめたから、まだまだだよな)
相変わらずデートは、創平の部屋が多かった。
二人でドライブに行くことが多い。
手を繋ぐようになったので、外では腕を組んだりもするようにまでなった。
いつものように創平の部屋で過ごすが、今日は真緒が持ってきたDVDを観ることにしていた。
好きな映画らしく、何度も何度も観たと嬉しそうに話してくれたのだ。
『貸します』
「せっかくだから一緒に観ない? 真緒ちゃんが見飽きたなら、一人で観るけど」
『観ましょう、一緒に観たいです!』
そんなにいい映画なのか、真緒はにこにこと笑った。
最近はネット動画を見ることが多いので、映画をDVDで「観る」ことは少なくなっていた。
「あ、入れてていいよ」
創平はセットを真緒に任せ、トイレに行った。
その間に、真緒が硬直する出来事が起こるなんて思いもしない創平だった。
トイレから出てくると、真緒が固まっていた。
「どうした?」
真緒がテレビに視線を逸らすと、創平も同じように視線をやった。
「!?」
画面では、裸の男女が絡み合っている様子が映し出されていた。
(AV……!)
しまった、と思ったがもう遅い。
(なんで再生!?)
途中のシーンから再生されている。
そういえば、繰り返して見ていたし、最近見たまま、入れたままだった。山岡が貸してくれたのだ。真緒に似た女優だからと言って無理矢理押しつけられたが、正直なところ、創平も気にいったものだ。
『入っていたので、どんな映画なのかと思って……興味本位で……すみません』
真緒が頭を下げた。
「ごごごごごごめん!」
創平は謝りながら、慌てて映像を止める。
終盤に近く、激しいシーンで、男性も女性も果てる直前だった。男の唸り声と、女の高い喘ぎ声が交差している場面だ。
何度も同じシーンを見ていたから、前回見た時もここで止めていたのだろう。
『…………』
真緒は固まっている。
真緒の手から、映画のDVDを奪うと慌てて入れ替えた。
「すすす座ってて、お茶入れるから……」
ケースを探したが、近くにはなかった。もしケースが目に入る場所にあったなら、出していたのに、と思うが後の祭りだ。
DVDのタイトルが印刷されたレーベル面には、際どい表題が付いており、抽斗のなかに放り込んだ。
真緒はあのDVDにショックを受けたのだろうか、あまり口をきいてくれなかった。
気を取り直して真緒の持ってきたDVDを一緒に観ていたが、あまり頭には入ってこなかった。
思い切って途中で止め、
「ちょっと、観る空気じゃないよな」
と彼女に向き直った。
「真緒ちゃん、引いてるよな……?」
恐る恐る尋ねる。
『大丈夫です、さっきのDVDなら』
彼女は目を合わせずに応えた。
『ちょっと、びっくりしただけです……』
困ったような、引きつった顔だった。
「そっか……」
創平は息をのみ、正直に言うことにした。
「俺も男なんで……そういう衝動とか現象がある……」
彼女はゆっくりと視線をあげて、創平を見た。
「定期的に発散しないといけないっていうか……」
たぶん世の中の男の多くは同じのはず、そう告げた。
真緒は瞬きもせずに創平を見つめている。
「あと、これは人に借りたもので俺の所有物ではなくて……」
このDVDの女優は、真緒に少し似ている。
山岡が、
「なあ、真緒ちゃんに似てるから、見てみろよ。イメージトレーニングに」
そう言って強引に貸しつけてきたものだ。
それは言えなかったが、つらつらと言い訳をした。
《知識がなくてすみません》
真緒は電子メモにそう書いて見せた。
「別に……謝ることでもないと思うけど。幻滅されたよな……って」
『さっきも言いましたが、驚いただけです』
彼女は、どうやら焦ったらしい。
なんとなくだが、がっかりしたとかそういうことではなく、ただびっくりして言葉を失ってしまったようだと悟った。
『あの……』
「ん? なに?」
『わたしとも、しますか?』
「え……あの、DVDみたいなこと?」
『……はい』
真緒は顔を真っ赤にさせ、俯いた。
「……どうかな。俺はしたいと思ってるし、将来結婚して子供を作るには、そういうことするよなあって俺は思うけど」
『…………』
「どうやって子供が出来るかくらいは、わかるよな?」
真緒はゆっくり頷いた。
「結婚してなくても、セックスする、のは……おかしくないと俺は思ってる」
『……そう、ですか』
俯く真緒の腰に手を回して抱き寄せると、彼女は背筋を伸ばして肩を震わせた。
「俺はしたいよ」
『…………』
「真緒ちゃんと」
『…………』
「でも、結婚するまではしたくない、っていうなら、しないよ」
硬直したまま、彼女は動かなかった。
「好きな子を前にして、そう思わないわけない、ってのが本音だけど、信頼してもらって俺の部屋にあがってもらってるからな。真緒ちゃんにこれ以上は嫌われたくないし」
ふるふる、と首を横に振り、
『嫌いになりません』
と手を動かした。
「嫌いじゃない?」
はい、と彼女は頷いた。
「俺がこういうの見てるの、許してくれる?」
真緒は創平を見つめた。
『……はい』
「ありがと」
(お伺い立てる俺も虚しいな)
彼女の身体を揺さぶったあと、身体をくっつけた。
『あの……』
電子メモにまた何かを書き出した。
《わたしには経験も知識もないので、あのDVDを貸してもらえませんか》
それを見た創平は、目を見開いて驚いた。
「え、いや、それは……」
《どういうことをするか、勉強しようと思います》
「しなくていいって。そんなの、俺が教えるから」
『え……』
「あ、じゃなくって。AVってのは、演技をちょっと大げさにしてるし、実際はしないけどやってる、みたいなものもあるし。そもそもさっきのは男の主観とか願望で作ってる男性向けのもんだし、女の子向けではないから。女の子を乱暴に扱ったり、無理矢理なシーンもあったりするし、あくまでも性処理向けで」
説明をしながら、恥ずかしくて消えたかった。
自分がどんな願望を持ってそんな映像を見ているか、まるで暴露しているかのようだったからだ。
『あんなことをするんじゃないんですか』
「するけど、するんだけど! 似たようなことはするかもしれない、けど、俺はあんなに乱暴にしない……はず」
『わかりました……すみません』
「いや、いいけど……」
『わたしは、松浦さんに教えてもらいます』
「ん? なんて? 俺に、なに?」
教えてもらう、の手話が理解できず尋ね返すと、真緒は首を振った。
メモに、
《教えてください》
と書いて見せた。
「……教えて……うん、俺はそうしたいと思ってる」
『お願いします』
「わ、わかった」
いつか、なと創平は言った。
(そう遠くない将来に)
真緒は純粋無垢で、何も知らないのだと痛感した。
(俺でいいのか……いや、でも俺であってほしい)
「じゃあ、予約するよ?」
真緒の小さな唇にキスを落とした。
だが、相変わらず恥ずかしそうで、さらに仲を深めるのはまだ先だと思わざるを得なかった。
(別にそういう目的じゃなし)
手を繋いで、キスをして。
(三月につきあいはじめたから、まだまだだよな)
相変わらずデートは、創平の部屋が多かった。
二人でドライブに行くことが多い。
手を繋ぐようになったので、外では腕を組んだりもするようにまでなった。
いつものように創平の部屋で過ごすが、今日は真緒が持ってきたDVDを観ることにしていた。
好きな映画らしく、何度も何度も観たと嬉しそうに話してくれたのだ。
『貸します』
「せっかくだから一緒に観ない? 真緒ちゃんが見飽きたなら、一人で観るけど」
『観ましょう、一緒に観たいです!』
そんなにいい映画なのか、真緒はにこにこと笑った。
最近はネット動画を見ることが多いので、映画をDVDで「観る」ことは少なくなっていた。
「あ、入れてていいよ」
創平はセットを真緒に任せ、トイレに行った。
その間に、真緒が硬直する出来事が起こるなんて思いもしない創平だった。
トイレから出てくると、真緒が固まっていた。
「どうした?」
真緒がテレビに視線を逸らすと、創平も同じように視線をやった。
「!?」
画面では、裸の男女が絡み合っている様子が映し出されていた。
(AV……!)
しまった、と思ったがもう遅い。
(なんで再生!?)
途中のシーンから再生されている。
そういえば、繰り返して見ていたし、最近見たまま、入れたままだった。山岡が貸してくれたのだ。真緒に似た女優だからと言って無理矢理押しつけられたが、正直なところ、創平も気にいったものだ。
『入っていたので、どんな映画なのかと思って……興味本位で……すみません』
真緒が頭を下げた。
「ごごごごごごめん!」
創平は謝りながら、慌てて映像を止める。
終盤に近く、激しいシーンで、男性も女性も果てる直前だった。男の唸り声と、女の高い喘ぎ声が交差している場面だ。
何度も同じシーンを見ていたから、前回見た時もここで止めていたのだろう。
『…………』
真緒は固まっている。
真緒の手から、映画のDVDを奪うと慌てて入れ替えた。
「すすす座ってて、お茶入れるから……」
ケースを探したが、近くにはなかった。もしケースが目に入る場所にあったなら、出していたのに、と思うが後の祭りだ。
DVDのタイトルが印刷されたレーベル面には、際どい表題が付いており、抽斗のなかに放り込んだ。
真緒はあのDVDにショックを受けたのだろうか、あまり口をきいてくれなかった。
気を取り直して真緒の持ってきたDVDを一緒に観ていたが、あまり頭には入ってこなかった。
思い切って途中で止め、
「ちょっと、観る空気じゃないよな」
と彼女に向き直った。
「真緒ちゃん、引いてるよな……?」
恐る恐る尋ねる。
『大丈夫です、さっきのDVDなら』
彼女は目を合わせずに応えた。
『ちょっと、びっくりしただけです……』
困ったような、引きつった顔だった。
「そっか……」
創平は息をのみ、正直に言うことにした。
「俺も男なんで……そういう衝動とか現象がある……」
彼女はゆっくりと視線をあげて、創平を見た。
「定期的に発散しないといけないっていうか……」
たぶん世の中の男の多くは同じのはず、そう告げた。
真緒は瞬きもせずに創平を見つめている。
「あと、これは人に借りたもので俺の所有物ではなくて……」
このDVDの女優は、真緒に少し似ている。
山岡が、
「なあ、真緒ちゃんに似てるから、見てみろよ。イメージトレーニングに」
そう言って強引に貸しつけてきたものだ。
それは言えなかったが、つらつらと言い訳をした。
《知識がなくてすみません》
真緒は電子メモにそう書いて見せた。
「別に……謝ることでもないと思うけど。幻滅されたよな……って」
『さっきも言いましたが、驚いただけです』
彼女は、どうやら焦ったらしい。
なんとなくだが、がっかりしたとかそういうことではなく、ただびっくりして言葉を失ってしまったようだと悟った。
『あの……』
「ん? なに?」
『わたしとも、しますか?』
「え……あの、DVDみたいなこと?」
『……はい』
真緒は顔を真っ赤にさせ、俯いた。
「……どうかな。俺はしたいと思ってるし、将来結婚して子供を作るには、そういうことするよなあって俺は思うけど」
『…………』
「どうやって子供が出来るかくらいは、わかるよな?」
真緒はゆっくり頷いた。
「結婚してなくても、セックスする、のは……おかしくないと俺は思ってる」
『……そう、ですか』
俯く真緒の腰に手を回して抱き寄せると、彼女は背筋を伸ばして肩を震わせた。
「俺はしたいよ」
『…………』
「真緒ちゃんと」
『…………』
「でも、結婚するまではしたくない、っていうなら、しないよ」
硬直したまま、彼女は動かなかった。
「好きな子を前にして、そう思わないわけない、ってのが本音だけど、信頼してもらって俺の部屋にあがってもらってるからな。真緒ちゃんにこれ以上は嫌われたくないし」
ふるふる、と首を横に振り、
『嫌いになりません』
と手を動かした。
「嫌いじゃない?」
はい、と彼女は頷いた。
「俺がこういうの見てるの、許してくれる?」
真緒は創平を見つめた。
『……はい』
「ありがと」
(お伺い立てる俺も虚しいな)
彼女の身体を揺さぶったあと、身体をくっつけた。
『あの……』
電子メモにまた何かを書き出した。
《わたしには経験も知識もないので、あのDVDを貸してもらえませんか》
それを見た創平は、目を見開いて驚いた。
「え、いや、それは……」
《どういうことをするか、勉強しようと思います》
「しなくていいって。そんなの、俺が教えるから」
『え……』
「あ、じゃなくって。AVってのは、演技をちょっと大げさにしてるし、実際はしないけどやってる、みたいなものもあるし。そもそもさっきのは男の主観とか願望で作ってる男性向けのもんだし、女の子向けではないから。女の子を乱暴に扱ったり、無理矢理なシーンもあったりするし、あくまでも性処理向けで」
説明をしながら、恥ずかしくて消えたかった。
自分がどんな願望を持ってそんな映像を見ているか、まるで暴露しているかのようだったからだ。
『あんなことをするんじゃないんですか』
「するけど、するんだけど! 似たようなことはするかもしれない、けど、俺はあんなに乱暴にしない……はず」
『わかりました……すみません』
「いや、いいけど……」
『わたしは、松浦さんに教えてもらいます』
「ん? なんて? 俺に、なに?」
教えてもらう、の手話が理解できず尋ね返すと、真緒は首を振った。
メモに、
《教えてください》
と書いて見せた。
「……教えて……うん、俺はそうしたいと思ってる」
『お願いします』
「わ、わかった」
いつか、なと創平は言った。
(そう遠くない将来に)
真緒は純粋無垢で、何も知らないのだと痛感した。
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