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13.敵視
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ある日。
祐輔が構内を歩いていると、男子学生に声をかけられた。
見覚えはあった。
(えっと……確か……春名さんの……)
春名と同級生の男子学生だった。
春名とは仲がいいという、以前ショッピングセンターのとんかつ屋の前で出くわしたことがあった学生だ。
(坂本……さん、だっけ)
春名と衝突した翌日、眼鏡を直しにショッピングセンターへ行ったのは、もうかなり前のことだ。
「春名がフリーだっていう話は本当か?」
唐突に坂本は言った。
ほぼ初対面の自分に対して、いきなりそんな質問とは不躾だと思ったが、相手は大学の先輩でもある。
春名が美幸と同じ年だということがわかったので、つまりは一つ上の学年であることが判明している。となると坂本も当然、年上だということだ。
「あ……そうらしいです」
「おまえと仲がいいみたいだけど」
初対面で「おまえ」呼ばわりか、と思うがぐっと堪える。
乱暴な人間は一定数いるものだということをわかっているからだ。
「僕は単に……ひょんなことから知り合っただけで……」
スカートの弁償ができなくて小間使いみたいな扱いを……と言いかけて、そういえばいつの間にかそんな対応ではなくなっていたことに気づいた。
「じゃあ、俺がつきあってもいいか」
「え?」
「春名には彼氏がいるっていうから、機会をうかがってたんだけど」
なるほど、と祐輔は坂本を見返した。
(この人は……あの人よりはずっといいと思う……)
初対面で「おまえ」はあんまりではあるが、女癖の悪い直輝よりはずっといい。性格は知らないが、特定の相手がいる女性につきまとうようなことはしない男だ。
「僕は、別に春名さんとは何の関係もありませんし、問題はないと思います」
「そっか」
直輝は細身で顔はいい男だったが、坂本は背丈は自分と同じように百八十弱はありそうで、直輝や自分と違うのは体格がいいということだ。
(とんかつ屋でバイトしてるっていうし、お肉が好きそう……)
何かスポーツをやっているのかもしれない、とも思った。
その後、春名と坂本の二人が構内を一緒に歩いているところを見かけるようになった。付き合うようになったのだろうか、と思うが、二人の距離感が前を変わっているのかどうかは祐輔にはわからない。
広い構内で今まで春名ですら見たことはなかったというのに。
「鈴木く……」
一人でいる春名と出くわし、彼女が自分に声をかけようとしたのを察し、祐輔は向きを変えることもあった。
彼女が少し寂しそうな顔をしていることは、気のせいだと思うことにした。
祐輔が構内を歩いていると、男子学生に声をかけられた。
見覚えはあった。
(えっと……確か……春名さんの……)
春名と同級生の男子学生だった。
春名とは仲がいいという、以前ショッピングセンターのとんかつ屋の前で出くわしたことがあった学生だ。
(坂本……さん、だっけ)
春名と衝突した翌日、眼鏡を直しにショッピングセンターへ行ったのは、もうかなり前のことだ。
「春名がフリーだっていう話は本当か?」
唐突に坂本は言った。
ほぼ初対面の自分に対して、いきなりそんな質問とは不躾だと思ったが、相手は大学の先輩でもある。
春名が美幸と同じ年だということがわかったので、つまりは一つ上の学年であることが判明している。となると坂本も当然、年上だということだ。
「あ……そうらしいです」
「おまえと仲がいいみたいだけど」
初対面で「おまえ」呼ばわりか、と思うがぐっと堪える。
乱暴な人間は一定数いるものだということをわかっているからだ。
「僕は単に……ひょんなことから知り合っただけで……」
スカートの弁償ができなくて小間使いみたいな扱いを……と言いかけて、そういえばいつの間にかそんな対応ではなくなっていたことに気づいた。
「じゃあ、俺がつきあってもいいか」
「え?」
「春名には彼氏がいるっていうから、機会をうかがってたんだけど」
なるほど、と祐輔は坂本を見返した。
(この人は……あの人よりはずっといいと思う……)
初対面で「おまえ」はあんまりではあるが、女癖の悪い直輝よりはずっといい。性格は知らないが、特定の相手がいる女性につきまとうようなことはしない男だ。
「僕は、別に春名さんとは何の関係もありませんし、問題はないと思います」
「そっか」
直輝は細身で顔はいい男だったが、坂本は背丈は自分と同じように百八十弱はありそうで、直輝や自分と違うのは体格がいいということだ。
(とんかつ屋でバイトしてるっていうし、お肉が好きそう……)
何かスポーツをやっているのかもしれない、とも思った。
その後、春名と坂本の二人が構内を一緒に歩いているところを見かけるようになった。付き合うようになったのだろうか、と思うが、二人の距離感が前を変わっているのかどうかは祐輔にはわからない。
広い構内で今まで春名ですら見たことはなかったというのに。
「鈴木く……」
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彼女が少し寂しそうな顔をしていることは、気のせいだと思うことにした。
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