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1章 廃墟と化した王国で
4話 想像と思い込み
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このままだと一生体が不調のまま過ごさなければならなくなってしまう。……いや、廃墟の植物を食べていたことで私の体に有害物質が溜まっていったと言うならば、排出すればいいのでは? ほとんどの毒素やらは尿から排出されると聞いたことがあるし、水を毎日飲んでいればいずれ消える気がする。
「有害物質、何とか出来るかもしれない」
『え、ホントに? どうやって?』
「食べた有害物質なら出せばいいと思って。水を飲んで排出するの」
「確かにそうだな。何故その考えに行き着かなかったんだ……」
『あ! その飲む水を浄化できる水として創造れば浄化がはやくなったりしないかな?』
なるほど、そういう考え方もあるのか。本当に出来るかどうかは分からないけど、やってみる価値はある。魔法は想像と思い込みが大事ってさっき鹿が言っていたし。
「後でやってみる。ありがとう」
『うん!』
有害物質のことは一応落ち着いたので、食べるのを続ける。鹿は沢山の木の実を採ってきてくれていて、1人と2匹で食べても満足になれそうな量だ。この森はかなり広いのだろうか。そして、狼はてっきり肉食だと思っていたのだが、そういう訳でもないらしい。思いのほかたくさん木の実を食べていた。雑食なのかな。
赤い木の実を何粒かと見たことの無い木の実をちょこちょことつまんで今回は終了。この量を1回に食べるのは勿体ない。
『あれ、もう食べないの? もっと食べればいいのに』
「うん。勿体なくて。ご馳走様でした」
「そうか。だが、遠慮せずに食べろよ。この森はこいつの魔術のおかげで食い物には困らん」
また鹿の魔術か。結界に木の実の魔術に……いくつこの森に魔術をかけているんだろう。まだまだかかっていそうだ。
それにしても魔法は想像と思い込みって、どこまでが許容範囲なんだろうか。私の属性は水だけど、蒸発させたり、凝固させたりするのも水魔法の範囲でいいのかな。水の形が変わるだけと考えれば行けるのか? 1回実験してみたいな。まだ日も高いし、少しやって見るのもありかもしれない。
「少し魔法の実験をしたいんだけど、どこか空いてる場所ある?」
「? ここでやればいいだろう。何かわからないことがあればこいつが答えるしな」
『当然儂はやらんが、みたいな態度で言わないでくれますぅ?! 吹雪ちゃんのこと手伝ってあげてもいいじゃん! そりゃあ俺は聞かれたら喜んで答えるけどさぁ!』
「はぁ? んなこと誰がするか。それに、扱いに関してはお前の方が上手いだろうが。攻撃は全くもって向いてないがな」
『褒めるか貶すかどっちかにしてよ!』
「……とりあえずここでやるね」
言い争い? みたいなものが始まったので無視して実験を始める。
まず、水属性=水を扱える、という考えなのだろうか。私がこれまでに使った魔法は2つ。ひとつは自覚はなかったが広範囲に雨を降らせたこと。もうひとつは意識的に水を出したこと。
さて初めに、雨を降らせる、ということは雲を作れたということ。ということは水の温度の調整は可能だろう。それに空気中の水分の操作も可能なんじゃないだろうか。雲は空気中の水蒸気とそれが水もしくは氷になったもので作られる。意図的に(まぁ無意識下の魔法だったが)作ったのであれば空気中の水蒸気を操作し、一部を冷やして水へと変化させ雲を作ったもしくは、魔法で出した水を水蒸気に変え作ったかのどちらかだろう。そして雲の中の水滴が成長して重力によって落ちてきた。
この魔法を使ったことで、できる可能性があることが3つわかった。まずは温度調節。冷やすのは可能だが、温めるのはどうだろう。次に空気中の水分の操作。これは少し可能性が低い。そして水の形の変化。気体と液体に変化させられるが、固体は氷になってしまうから水の範囲では無い。が、温度調節ができるならマイナスにすることもできるだろうから……。うん、試してみないと分からないな。
次に使った魔法は、水を出すこと。具体的には冷たくて美味しい綺麗な水を想像した。出た水は冷たくて透明な綺麗な水で、あのあと手から少し水を飲んだが美味しかった。やはり冷やすことは出来るのだろう。綺麗か汚いかも調整できるのかもしれない。泥水なども出せるのだろうか。ただ泥となると属性が土と被る。泥は砂の割合が多いだろうけど、泥水となると水の割合が多いだろう。その場合は泥水が出せるのか。そして美味しいか不味いかも調整可能かもしれない。硬水軟水も選択出来るとしたら便利かも。
よし、順番に試してみよう。まずは形の変化かな。気体液体固体全部できるのかどうなのか。
とりあえず水を出す。さっきは手から出したけど、今度は宙に出してみる。やっぱりできた。液体のまま動かしてみるがこれも成功。
『わっ! イルカだ!』
「精密だな。よほど頭が柔らかいらしい」
うん、いい感じみたいだ。それを水を散らばらせるイメージでそれを水蒸気にしてみる。……出来ない。水の玉が空に浮くだけだった。これを細かくしていけば水蒸気になるんだろうけど、時間がかかりすぎるな。1度水を消す。水じゃなくて水蒸気を出せるかな。こう、ふわっと。……できた! 周りがジメッとする。冷やすことも出来て、水になって落ちた。じゃあ最後に固体だ。今度は手のひらに小さい氷を出してみる。よしできた、けど冷たい。これも宙に浮かないかな。1度氷を消して宙に出す。これも成功。氷の形も変えられるみたいだ。尖らせたり結晶にしてみたり。雪にもできた。
『今度雪積もらせて遊ぼうよ!』
「いいね、やろう!」
雪遊び、しばらくしてないな。かまくら作りたい。雪うさぎとかも作れるかな? ……ううん、そんなこと考えないでまずは実験しないと。
氷で水槽を作ってその中に冷たい水を入れる。今度は温度調整だ。水槽に足を突っ込んでおいて温度がわかるようにしておく。冷たい水はもう出せてるから徐々に温度をあげて……っとできてるね。足を抜いて沸騰させられるかも試す。水槽は溶けるだろうけど。
「水槽から少し離れて。水を沸騰させるか試す」
「『わかった』」
みんなで離れたところで一気に温度を上げる。沸騰はしたけどやっぱり水槽は溶けたので、魔法で出したものを全て消す。水でべっしょべしょの所には座りたくない。
次は空気中の水分の操作だ。先程魔法を消す時には水を消すという想像をして消したけど、元からある空気中の水分は消えなかった。だからそれは消せないのだろう。ただ、動かすだけならば出来るかもしれない。周りの水分を自分の目の前まで寄せてみる。……できると思ったらできた。私センスいいんじゃない? 調子乗っちゃうよ?? この調子でどんどんやっていこう。
とりあえず実験は全部終わらせた。日はだいぶ傾いてきているが、今日中に終わって良かった。結果としては、形は変えられるしどんな形でも温度も水質も調整出来て、空気中の水分も操作できる。やりたいことはほとんどできた。やっぱり想像と思い込みが大事だった。浄化できる水もつくってみたけど、なんだか他のつくった水とは違って神々しい光を放っていた。それはもうキラッキラ。体に良さそうで悪そうな……。まぁいいや。そして、たくさん頭使ったしお腹がすいたからか、私のお腹からぐぅと大きな音が出た。
『ふふっ、ちょうど日も傾いてきたしご飯にしようか。吹雪ちゃんの実験も終わったしね』
「オネガイシマス……」
「大きな腹の虫だなぁ?」
うわっ、恥ずい! とてつもなく恥ずかしい! この後しばらく2匹に揶揄われた。誰だってお腹ぐらいなるじゃん!
「有害物質、何とか出来るかもしれない」
『え、ホントに? どうやって?』
「食べた有害物質なら出せばいいと思って。水を飲んで排出するの」
「確かにそうだな。何故その考えに行き着かなかったんだ……」
『あ! その飲む水を浄化できる水として創造れば浄化がはやくなったりしないかな?』
なるほど、そういう考え方もあるのか。本当に出来るかどうかは分からないけど、やってみる価値はある。魔法は想像と思い込みが大事ってさっき鹿が言っていたし。
「後でやってみる。ありがとう」
『うん!』
有害物質のことは一応落ち着いたので、食べるのを続ける。鹿は沢山の木の実を採ってきてくれていて、1人と2匹で食べても満足になれそうな量だ。この森はかなり広いのだろうか。そして、狼はてっきり肉食だと思っていたのだが、そういう訳でもないらしい。思いのほかたくさん木の実を食べていた。雑食なのかな。
赤い木の実を何粒かと見たことの無い木の実をちょこちょことつまんで今回は終了。この量を1回に食べるのは勿体ない。
『あれ、もう食べないの? もっと食べればいいのに』
「うん。勿体なくて。ご馳走様でした」
「そうか。だが、遠慮せずに食べろよ。この森はこいつの魔術のおかげで食い物には困らん」
また鹿の魔術か。結界に木の実の魔術に……いくつこの森に魔術をかけているんだろう。まだまだかかっていそうだ。
それにしても魔法は想像と思い込みって、どこまでが許容範囲なんだろうか。私の属性は水だけど、蒸発させたり、凝固させたりするのも水魔法の範囲でいいのかな。水の形が変わるだけと考えれば行けるのか? 1回実験してみたいな。まだ日も高いし、少しやって見るのもありかもしれない。
「少し魔法の実験をしたいんだけど、どこか空いてる場所ある?」
「? ここでやればいいだろう。何かわからないことがあればこいつが答えるしな」
『当然儂はやらんが、みたいな態度で言わないでくれますぅ?! 吹雪ちゃんのこと手伝ってあげてもいいじゃん! そりゃあ俺は聞かれたら喜んで答えるけどさぁ!』
「はぁ? んなこと誰がするか。それに、扱いに関してはお前の方が上手いだろうが。攻撃は全くもって向いてないがな」
『褒めるか貶すかどっちかにしてよ!』
「……とりあえずここでやるね」
言い争い? みたいなものが始まったので無視して実験を始める。
まず、水属性=水を扱える、という考えなのだろうか。私がこれまでに使った魔法は2つ。ひとつは自覚はなかったが広範囲に雨を降らせたこと。もうひとつは意識的に水を出したこと。
さて初めに、雨を降らせる、ということは雲を作れたということ。ということは水の温度の調整は可能だろう。それに空気中の水分の操作も可能なんじゃないだろうか。雲は空気中の水蒸気とそれが水もしくは氷になったもので作られる。意図的に(まぁ無意識下の魔法だったが)作ったのであれば空気中の水蒸気を操作し、一部を冷やして水へと変化させ雲を作ったもしくは、魔法で出した水を水蒸気に変え作ったかのどちらかだろう。そして雲の中の水滴が成長して重力によって落ちてきた。
この魔法を使ったことで、できる可能性があることが3つわかった。まずは温度調節。冷やすのは可能だが、温めるのはどうだろう。次に空気中の水分の操作。これは少し可能性が低い。そして水の形の変化。気体と液体に変化させられるが、固体は氷になってしまうから水の範囲では無い。が、温度調節ができるならマイナスにすることもできるだろうから……。うん、試してみないと分からないな。
次に使った魔法は、水を出すこと。具体的には冷たくて美味しい綺麗な水を想像した。出た水は冷たくて透明な綺麗な水で、あのあと手から少し水を飲んだが美味しかった。やはり冷やすことは出来るのだろう。綺麗か汚いかも調整できるのかもしれない。泥水なども出せるのだろうか。ただ泥となると属性が土と被る。泥は砂の割合が多いだろうけど、泥水となると水の割合が多いだろう。その場合は泥水が出せるのか。そして美味しいか不味いかも調整可能かもしれない。硬水軟水も選択出来るとしたら便利かも。
よし、順番に試してみよう。まずは形の変化かな。気体液体固体全部できるのかどうなのか。
とりあえず水を出す。さっきは手から出したけど、今度は宙に出してみる。やっぱりできた。液体のまま動かしてみるがこれも成功。
『わっ! イルカだ!』
「精密だな。よほど頭が柔らかいらしい」
うん、いい感じみたいだ。それを水を散らばらせるイメージでそれを水蒸気にしてみる。……出来ない。水の玉が空に浮くだけだった。これを細かくしていけば水蒸気になるんだろうけど、時間がかかりすぎるな。1度水を消す。水じゃなくて水蒸気を出せるかな。こう、ふわっと。……できた! 周りがジメッとする。冷やすことも出来て、水になって落ちた。じゃあ最後に固体だ。今度は手のひらに小さい氷を出してみる。よしできた、けど冷たい。これも宙に浮かないかな。1度氷を消して宙に出す。これも成功。氷の形も変えられるみたいだ。尖らせたり結晶にしてみたり。雪にもできた。
『今度雪積もらせて遊ぼうよ!』
「いいね、やろう!」
雪遊び、しばらくしてないな。かまくら作りたい。雪うさぎとかも作れるかな? ……ううん、そんなこと考えないでまずは実験しないと。
氷で水槽を作ってその中に冷たい水を入れる。今度は温度調整だ。水槽に足を突っ込んでおいて温度がわかるようにしておく。冷たい水はもう出せてるから徐々に温度をあげて……っとできてるね。足を抜いて沸騰させられるかも試す。水槽は溶けるだろうけど。
「水槽から少し離れて。水を沸騰させるか試す」
「『わかった』」
みんなで離れたところで一気に温度を上げる。沸騰はしたけどやっぱり水槽は溶けたので、魔法で出したものを全て消す。水でべっしょべしょの所には座りたくない。
次は空気中の水分の操作だ。先程魔法を消す時には水を消すという想像をして消したけど、元からある空気中の水分は消えなかった。だからそれは消せないのだろう。ただ、動かすだけならば出来るかもしれない。周りの水分を自分の目の前まで寄せてみる。……できると思ったらできた。私センスいいんじゃない? 調子乗っちゃうよ?? この調子でどんどんやっていこう。
とりあえず実験は全部終わらせた。日はだいぶ傾いてきているが、今日中に終わって良かった。結果としては、形は変えられるしどんな形でも温度も水質も調整出来て、空気中の水分も操作できる。やりたいことはほとんどできた。やっぱり想像と思い込みが大事だった。浄化できる水もつくってみたけど、なんだか他のつくった水とは違って神々しい光を放っていた。それはもうキラッキラ。体に良さそうで悪そうな……。まぁいいや。そして、たくさん頭使ったしお腹がすいたからか、私のお腹からぐぅと大きな音が出た。
『ふふっ、ちょうど日も傾いてきたしご飯にしようか。吹雪ちゃんの実験も終わったしね』
「オネガイシマス……」
「大きな腹の虫だなぁ?」
うわっ、恥ずい! とてつもなく恥ずかしい! この後しばらく2匹に揶揄われた。誰だってお腹ぐらいなるじゃん!
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