応募資格は、「治癒師、十三歳、男限定???」

 ――俺のお仕えする殿下のお身体を診てあげてほしい。

 治癒師のじいちゃんの弟子として暮らしていたリュカ。そのじいちゃんの患者だったオッサンから、仕事の依頼が来た。なんでも、オッサンの仕える相手は、皇太子殿下で。体が弱ってるのに、治療を嫌がってるらしい。……ガキかよ。
 ――殿下と同い年のキミなら。キミにならきっと殿下もお心を開いてくれると思うんだ。
 なんかさ。そう言われちゃったら、頑張るしかないじゃん? でも。

 なんで、「治癒師、十三歳、男限定」なんだ???

 疑問に思いつつも、治癒師として初仕事に胸踊らせながら皇宮を訪れたリュカ。

 「天女みたいだ……」

 皇宮の庭園。そこにたたずむ一人の少年。少年の目はとんでもなく青くて透き通ってて、湖面のようで、夏の空のようで宝石のようで……。見惚れるリュカ。だけど。

 「必要ない」

 少年、ルーシュン皇子は、取り付く島もない、島影すら見えないほど冷たくリュカを突き放す。
 ……なんだよ。こっちはせっかく、わざわざここまで来てやったのに! 
 リュカの負けず魂に火がつく。
 こうなったら、なにが何でも診てやらあっ! たとえそれが茨の道でも、危険な道でも、女装の道でも……って、え? 女装ぉぉぉっ!? なんでオレ、皇子の「閨事指南の姫」なんかにされてるわけっ!?

 「いやなら、治療を降りてもいいんだぞ?」

 居丈高にフフンと鼻を鳴らす皇子。
 ええい、ままよ! こうなったら、意地だ! ヤケだ! 皇子の面倒、とことん診てやらあっ!

 素直になれない皇子と、感情一直線治癒師の中華(っぽいかもしれない)物語。
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