国民的アイドルなのに住む家がなくなった件【アイドル:V-ブイ-】

HARUKO

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序章-深視点-

(4)予想外の展開 *R18

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酔っ払いをまともに相手にするのは大変面倒だし、何より今のシンにはその気力がない。

アキラがこんな意地悪をするタイプではないゆえ、深は困惑するが、グループのメンバーが不祥事を起こした故、大変な気苦労をかけているのは嫌でもわかる。

今日の現場でもどれだけお詫びをして回ったというのだろう。

ここはさっさと頬に軽くキスをして、あとは与えられた部屋に逃げ帰れば良いのだ。

そうしよう。

深は意を決すると、眼鏡をさっと外し、輝の首元に手を触れ、頬に軽くキスをした。

そのまま立ち去る予定だった。

深の予想では、そのキスに満足した輝が微笑み『よくできた。もう行っていいよ』と言うはずだった。

しかし輝は深の細い腕を取り、身体を抱き寄せたのだった。

「あっ…」

酒の残り香とともに柔らかい唇が深の唇を塞ぎ、驚く間もなく、粘着質な感触が広がった。

深は固く口を結んで抵抗したが、空いていた右手で腰をさすられ、思わず口を開いてしまった。

舌の侵入を許してしまい、口の中を好き勝手弄ばれる。

正直、それは深にとって気持ち悪い以外の何者でもなかった。

必死に胸に押しつぶされた左手を押し返して引き剥がそうとするも、輝身体はびくともしない。

抵抗に疲れて気を抜くと、キスの感触がじわじわと広がり、吐息が漏れ始める。

「ゔんっ…んっ…あっ…」

絶対に避けたかった甘い声が漏れ、深は真っ白な肌を赤く染めた。

「…あっ…あっ…あっ…」

一度出てしまった声は止まらず、キスの角度を変えるたびに出続ける。

深は自分の声にも酔って、腰からぐずれ落ちそうになる。

そんな深に気づいて、輝やっと唇を解放してくれた。

身体を支えて顔を覗きこむと、こう言い放ったのだ。

「あれ?もしかして深、感じちゃった?」

「な…ななななな…!!」

顔が火を噴くかと思うぐらい、深は真っ赤になり、抗議の言葉を紡ごうとしたが言葉になれない。

それを顔色ひとつ変えずに輝は見つめていた。

「…ふふ、じゃあね、おやすみ」

輝は笑いながらそう言い残すと、颯爽と踵を返しリビングに戻っていったのだった。

「…うわああぁぁ…!!」

深は声にならない声を上げると、覚束ない足元を引きずり、与えられた部屋に逃げ帰った。

「うあああ、どうすんだよ。これから数ヶ月もぉ~!」

ただでさえいっぱいいっぱい抱えている深に,新たな悩みの種が加わったのだった。



      -----序章(完)
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