4 / 16
序章-深視点-
(4)予想外の展開 *R18
しおりを挟む
酔っ払いをまともに相手にするのは大変面倒だし、何より今の深にはその気力がない。
輝がこんな意地悪をするタイプではないゆえ、深は困惑するが、グループのメンバーが不祥事を起こした故、大変な気苦労をかけているのは嫌でもわかる。
今日の現場でもどれだけお詫びをして回ったというのだろう。
ここはさっさと頬に軽くキスをして、あとは与えられた部屋に逃げ帰れば良いのだ。
そうしよう。
深は意を決すると、眼鏡をさっと外し、輝の首元に手を触れ、頬に軽くキスをした。
そのまま立ち去る予定だった。
深の予想では、そのキスに満足した輝が微笑み『よくできた。もう行っていいよ』と言うはずだった。
しかし輝は深の細い腕を取り、身体を抱き寄せたのだった。
「あっ…」
酒の残り香とともに柔らかい唇が深の唇を塞ぎ、驚く間もなく、粘着質な感触が広がった。
深は固く口を結んで抵抗したが、空いていた右手で腰をさすられ、思わず口を開いてしまった。
舌の侵入を許してしまい、口の中を好き勝手弄ばれる。
正直、それは深にとって気持ち悪い以外の何者でもなかった。
必死に胸に押しつぶされた左手を押し返して引き剥がそうとするも、輝身体はびくともしない。
抵抗に疲れて気を抜くと、キスの感触がじわじわと広がり、吐息が漏れ始める。
「ゔんっ…んっ…あっ…」
絶対に避けたかった甘い声が漏れ、深は真っ白な肌を赤く染めた。
「…あっ…あっ…あっ…」
一度出てしまった声は止まらず、キスの角度を変えるたびに出続ける。
深は自分の声にも酔って、腰からぐずれ落ちそうになる。
そんな深に気づいて、輝やっと唇を解放してくれた。
身体を支えて顔を覗きこむと、こう言い放ったのだ。
「あれ?もしかして深、感じちゃった?」
「な…ななななな…!!」
顔が火を噴くかと思うぐらい、深は真っ赤になり、抗議の言葉を紡ごうとしたが言葉になれない。
それを顔色ひとつ変えずに輝は見つめていた。
「…ふふ、じゃあね、おやすみ」
輝は笑いながらそう言い残すと、颯爽と踵を返しリビングに戻っていったのだった。
「…うわああぁぁ…!!」
深は声にならない声を上げると、覚束ない足元を引きずり、与えられた部屋に逃げ帰った。
「うあああ、どうすんだよ。これから数ヶ月もぉ~!」
ただでさえいっぱいいっぱい抱えている深に,新たな悩みの種が加わったのだった。
-----序章(完)
輝がこんな意地悪をするタイプではないゆえ、深は困惑するが、グループのメンバーが不祥事を起こした故、大変な気苦労をかけているのは嫌でもわかる。
今日の現場でもどれだけお詫びをして回ったというのだろう。
ここはさっさと頬に軽くキスをして、あとは与えられた部屋に逃げ帰れば良いのだ。
そうしよう。
深は意を決すると、眼鏡をさっと外し、輝の首元に手を触れ、頬に軽くキスをした。
そのまま立ち去る予定だった。
深の予想では、そのキスに満足した輝が微笑み『よくできた。もう行っていいよ』と言うはずだった。
しかし輝は深の細い腕を取り、身体を抱き寄せたのだった。
「あっ…」
酒の残り香とともに柔らかい唇が深の唇を塞ぎ、驚く間もなく、粘着質な感触が広がった。
深は固く口を結んで抵抗したが、空いていた右手で腰をさすられ、思わず口を開いてしまった。
舌の侵入を許してしまい、口の中を好き勝手弄ばれる。
正直、それは深にとって気持ち悪い以外の何者でもなかった。
必死に胸に押しつぶされた左手を押し返して引き剥がそうとするも、輝身体はびくともしない。
抵抗に疲れて気を抜くと、キスの感触がじわじわと広がり、吐息が漏れ始める。
「ゔんっ…んっ…あっ…」
絶対に避けたかった甘い声が漏れ、深は真っ白な肌を赤く染めた。
「…あっ…あっ…あっ…」
一度出てしまった声は止まらず、キスの角度を変えるたびに出続ける。
深は自分の声にも酔って、腰からぐずれ落ちそうになる。
そんな深に気づいて、輝やっと唇を解放してくれた。
身体を支えて顔を覗きこむと、こう言い放ったのだ。
「あれ?もしかして深、感じちゃった?」
「な…ななななな…!!」
顔が火を噴くかと思うぐらい、深は真っ赤になり、抗議の言葉を紡ごうとしたが言葉になれない。
それを顔色ひとつ変えずに輝は見つめていた。
「…ふふ、じゃあね、おやすみ」
輝は笑いながらそう言い残すと、颯爽と踵を返しリビングに戻っていったのだった。
「…うわああぁぁ…!!」
深は声にならない声を上げると、覚束ない足元を引きずり、与えられた部屋に逃げ帰った。
「うあああ、どうすんだよ。これから数ヶ月もぉ~!」
ただでさえいっぱいいっぱい抱えている深に,新たな悩みの種が加わったのだった。
-----序章(完)
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
嘘つき王と影の騎士
篠雨
BL
「俺の役割は、貴方を守ることだ。……例え、貴方自身からも」
国の平穏を一身に背負い、十二年間「聖王」という偶像を演じ続けてきたセシル。
酷使し続けた心身はすでに限界を迎え、その命の灯火は今にも消えようとしていた。
そんな折、現れたのは異世界からの「転移者」。
代わりを見つけた国は、用済みとなったセシルからすべてを剥奪し、最果ての地へと追放する。
死を待つためだけに辿り着いた冬の山。
絶望に沈むセシルの前に現れたのは、かつて冷徹に王を監視し続けていた近衛騎士団長、アルヴィスだった。
守るべき王も、守るべき国も失ったはずの二人が過ごす、狭い小屋での夜。
無価値になり、壊れかけた自分を、なぜこの男は、そんな瞳で見つめるのか。
なぜ、そんなにも強く、抱きしめるのか。
これは、すべてを失った「聖王」が、一人の男の熱に暴かれ、再生していくまでの物語。
過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される
中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」
夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。
相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。
このお話はムーンライトでも投稿してます〜
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる