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第一章
2話 正体不明の黒いモノ
しおりを挟む何か遠くの方で声が聞こえた気がしたけど、あまりよく聞こえなかった。
というか、さっきから自分の身体をあらゆる角度から眺めてるけど、僕の目一体何処に付いてるの!?
後、濃くなっていくのは良いけど…僕の体大丈夫なのかな?そのまま爆発したりしないといいけど。
次から次へと疑問が浮かぶ中、その内ピタリと吸い込むのが止んだ。
さっきより膨れ上がった霧状の身体だけど、微妙に黒い霧が身体から四散していってる。やっぱり消えてしまうのか…。
何か消えちゃわない策がないか、僕は霧状の塊をじーっと見つめて考えるけど、何も浮かばない。
それにしても、この身体、本当に何なんだろ…。
ん、何あれ?
霧状の塊の上に、何かぼんやりとしたカーソル?の様な物が浮かんでいた。正確には逆三角形の小さな点滅する物体。
僕は思わずそれを凝視すると、頭の中に突如無機質な声が響いた。
【ステータスを表示します】
え?すてーたす?
脳内にピコンッと音が響いて、頭の中に何か次々と思い浮かんだ。
***********************
【個体名 : 不明】◀︎
種族名 : 不明
属性 : 不明
体力 : 不明
魔力 : 不明
スキル : 不明
特殊スキル : 《黒神術》◀︎
黒神術 : 《状態変化》
『以下の情報は、存在が未確定のため表示出来ません』
***********************
何これ……いきなりゲームの画面みたいなみたいなものが頭の中に浮かんだんだけど!?
しかも不明ばっかりだし、存在が未確定ってどいういう事? ていうか、ここはもしかするとゲームの世界?
いや、取り敢えず一旦落ち着こう。
僕は息を整え、脳内の情報を落ち着いて確認する。…息なんてしてないけど。
それにしてもステータス表示とか、レベルとかスキルとか、いかにもファンタジーゲームって感じがする。
ここはゲームっぽい要素がある世界なのかな?
取り敢えずそう思うこと…にした。
んーまぁ、今はとにかく調べまくらなきゃ。あ、そうだった、まずは僕のステータスを良く見よう。
ステータスの内容を再びじっくり見る。
くまなく見てると、個体名っていうとこに先程僕の体の上にあったカーソルとよく似ているものがあったので、それを意識する。
すると新しい情報が脳内に展開した。
なるほど、カーソルはどうやら意識する事で詳しい情報が見れるらしい。
ふむふむ、どれどれ。
【個体名 : 不明】
【この世界に突如発生した存在が不安定な未確認データ。実体が無いため、存在することが出来ない】
ええええええ!? そ、存在することが出来ないって…やっぱりこのまま消えてしまうの!?
ここが夢なのか現実なのか分からないけど、消えてしまうのはちょっと怖い。兎にも角も、存在が消えないようにする手立てを考えなければ。
僕は自分の存在維持の為、藁にもすがるような気持ちで残ったカーソルを開く。
【黒神術】
【負の魔力(黒魔力)そのものを物質化し、自在に操ることが出来る。闇属性の極一部が扱う術と言われているが、その力は謎に包まれている。尚、非常に扱いが難しい】
魔力を物質化?これだ!
実体が無いのだから、黒神術っていうのを使って、魔力で実体を作ればいいんだ!
恐らく通常状態の僕なら至らなかった思考だろう。しかし、この時の僕は自分が消えてしまう事への不安で、焦っていた。
早速、黒神術とやらを始めようとした僕だけど、やはりそう簡単に上手く行かなかった。
そもそも魔力が何なのか、それをどうやって物質化するのか全然分からなかった。
*************************************************
うねうね、ぼわー、ぐるぐるぐる。
うわ、これ意外に楽しい。
黒い霧を一箇所に集めたり、伸ばしたり、塊でバラバラにしたり…あ、決して遊んでいるわけではありません。
僕は暫く試行錯誤して、自分の身体である黒い霧を思い通りに操ることができるようになっていた。
でも、これを物質化するやり方が分からない。
そうこうしているうちに、霧がどんどん四散していくので焦る。
物質…物質…硬い物…
頭の中でイメージして、霧を様々な形に変えていく。でも一瞬霧が硬くなっても、すぐ四散してしまう。
うーん、黒くて硬い物質…金庫?
頭の中で何となくホテルの一室にあるような、真っ黒い金庫を思い浮かべた瞬間だった。
ガゴンッ…ガタッ。
突然目の前に何か重そうな物が降ってきた。
四角くて真っ黒な金属っぽい塊。
それは、僕がイメージした通りのホテルのテレビの下とかにあるような真っ黒い金庫だった。
ダイヤル式でもなくて、鍵穴も見つからないようだけど、この金庫本当に金庫なのか…?そう思ったけど、今はそこに疑問を持つべきじゃないだろう。
真っ黒い金庫にカーソルが出てきたので、恐る恐る調べてみた。
***********************
【個体名 : 意思を持つ真っ黒い金庫】◀︎
種類 : 異世界の物質
スキル : ーー
特殊スキル : 《破壊不能》《異次元空間》《黒神術》◀︎
黒神術 : 《状態変化》《創造》
***********************
ほうほう、意思を持つ真っ黒い金庫とな。
ポチッと。
【意思を持つ真っ黒い金庫】
【異世界の物質。何故か意思を持っているが、意思疎通は出来ない。金庫の中は異次元になっており、どんな物でも時間を止めた状態でしまうことが出来る。一度登録した金庫の持ち主にしか絶対開けられない】
うわー、すっごい信頼出来る金庫じゃん!!
金庫の何処に目がついてるか分からないけど、意識したら金庫の視点にもなれるし~
………ってあれ?金庫の視点になれる?意思を持っているってその意思ってまさか…
僕の存在が金庫になっちゃってる!?!?!
いや、駄目じゃん。僕は生物になりたいのに。
こんなカチコチで動けない身体嫌だよ。
何か別なものを思い浮かべようとした時、僕の身体だった真っ黒い金庫が霧状に戻って行った。
良かった、イメージ力と多少のコツさえ分かれば割と自由に扱える便利な身体で…?このまま意思だけある金庫だったら絶望的だったよ…。
振り出しに戻ってしまったが、何か具体的なイメージをすれば、物質化出来るということは分かった。
なので、次は具体的な生き物をイメージすることにした。
というか僕自身をイメージすれば良いよね。
そう思うや否や、僕は自分の容姿を全力でイメージし始める。しかし、中々霧が思うように動いてくれない。
どれだけ集中しても、霧がイメージ通りに集まらない。それどころか、どんどん霧が少なくなって言ってる気がする。やばい。
やっぱり生き物にはなれないのかな…と思った時だった。
【Lvを満たしてないため、不可能と判断します】
無機質で、なんと表現したら良いのかわからない不思議な声が脳内に響いた。
僕はもう一度僕の容姿をイメージする。
【Lvを満たしてないため、不可能と判断します】
同じように無機質な声が響く。どうやら僕の姿になれないのは、レベルが足りないらしい。
というか、この声って何?何で頭の中に直接聞こえてくるの?
まぁ、考えても分からないんだし、そういうもんなのかとほっとくことにした。
僕の姿になるにはレベルが必要か…。
レベルの上げ方が分からないし、レベル上げより先に僕の存在が消えそうな気がするので、今は諦めて違う物をイメージするしかない。
人間がダメなら、他の生き物になれないかな…出来なければ金庫になるしかない。
んー、生き物生き物…イメージしやすい身近な生き物…。
僕な好きな動物…はあの動物だなぁ。
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