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第一章
9 魔物ってなんなの?
しおりを挟む人間のことについては国なのか村なのか詳しい情報もっと知りたかったけど、それ以前に村長さんは人間をよく思ってない節があったし、この話題はあまり続けるべきじゃなさそうだ。多分ここに住んでいる他の方達にもタブーな話なんだろうとは予測がつく。
『さて、お主さんの旅のはな』
『あっ、も一つ聞きたい事があるんですけど、魔獣と動物の違いって単に肉食か草食の違いだけじゃないんですか?
……いえ、あの、もしかしたら認識が違うかも知れないので…』
村長さんが僕の話にしようとしたので、慌てて質問した。魔獣って危険だって事は分かるけど、イマイチよく分からないから僕としては充分知りたい事だ。なんだかステータス上では僕の種族はカラスでも猫でも、魔獣ということになっているから、他人事とは思えない。
でも僕の質問を受けて、村長さんは は?みたいに目が点になったので一応聞かなきゃなーという感じに誤魔化した。ご、誤魔化し切れてるか不安だけど。
『ふむ、危険な物を深く知るという事はそれだけ危険から逃げる手段が見つかる可能性が高くなるしのぅ。敢えて知っている事でも常に慢心せずに情報を更新し続ける、そんなお主さんの姿勢はとても良いことじゃ。イテスの奴にも見習わせたいのう!』
村長さんが良い感じに質問を深読みしてくれたことにホッとする。でもあまりお褒めにならないで下さい、心が潰れそうです…。
『お主さんは肉食と草食と言うたかの、それについては魔獣も動物も対した違いはない。儂らを捕食する肉食動物だって居るしのぅ。
魔獣と動物の違いは、一言で言うなら、闇を帯びているか否かじゃ』
『闇?ですか』
『そうじゃの。魔獣はその身に魔の力とは似て非なる力を宿していての、儂らはそれを「闇の力」と呼んでおる。
闇の力を帯びた獣を魔獣と呼び、獣以外の形をした闇の力を帯びた怪物を魔物と呼ぶ。一般的に闇の力を帯びた生物は総じて魔物と呼ばれておる。
さて、魔物の何が危険かと言うとじゃな、闇の力を帯びた者たちは凶暴性が高く、攻撃力が動物の比じゃない程高いという事じゃ。彼奴らは常に血に飢えておる。闇の力を帯びていない生き物を捕食する訳でもなく好んで襲い、強かろうが弱かろうが何かを殺す事だけしか考えない戦闘狂じゃ。
因みに動物の中で魔物を捕食する者は居らん。何故なら魔物の血肉を取り込むと魔物に変じてしまうからの』
『つまり魔物は…食物連鎖の頂点に位置する訳ですね』
『しょくもつれんさ とな?』
あ、食物連鎖までは知らなかったか…。
『えーっと、魔物は食べられる危険が無いので、此処での生き物達の中で一番揺るぎない強さを誇ってるのではないかと』
『成る程、そう言う意味での頂点じゃの。そうじゃ、この森じゃなくても色んなとこで我が物顔で闊歩しておるの。魔の力が高いとこにはあまり近寄りたがらないのだが、それでも見かけたら強かろうと弱かろうと襲うからのぉ』
結局は魔物は危険なのか。動物は生きるために捕食するのに、魔物は本能的に生物を殺す。確かにこの二つには明確な違いがあるなぁ。
んーなら僕も闇の力を帯びているから危険…なのか…今のところ何ともないけど。でも、魔獣じゃないアルラモルモに変化出来てるし…。
あ、そう言えばステータス確認してなかった…!
よし、一度ステータス確認しとこう。
ピコンッ
***********************
【アルラモルモ】
種族 : 鼠系の魔獣
闇属性 : ノーマル
体力 : 15/15
魔力 : 50/50
スキル : 《穴掘りLvMAX》 《逃げ足》《暗視》
特殊スキル : 《獣語》《種族変化Lv2》 《黒神術 》 ◀︎
黒神術 : 《状態変化》 《創造》《生体感知》
***********************
んーやっぱりアルラモルモだなぁ……っあれ!?種族が鼠系の魔獣になってる!
闇属性の極一部、魔物だけしか使えない筈の【黒神術】を使う事が出来てしまう僕は、つまり『魔物』だから…何に化けても魔物になってしまうってこと?
黒神術は未知の力とされてるし…その未知の力が他の種族に変わったり属性に変化出来る事を可能にしているんだと思うけど…魔物になってしまうのかぁ。
この世界の事も知りたいけど、今のところ僕自身が訳わかんない存在だから自分探しもしなくちゃな。
『どうしたんじゃ?』
『あ、いえ何でもないです』
魔の力とか言うくらいだから恐らく村長さん達はステータス確認が出来ないのだろう。黒神術とか、僕が魔物ってバレたらヤバそうだし黙った方が良いかな。
『魔物は確かに強いが、実はのぅ、魔物の天敵となる存在がおるんじゃ』
『天敵…人間ですか?』
『確かに人間も魔物にとって天敵かも知れぬが、少し違うの。魔物にとっては非常に脅威のようじゃ』
魔物が脅威と感じる天敵?人間じゃないのなら一体…。
『それはの、聖獣じゃ』
『聖獣…』
成る程…何となく分かった。つまり光と闇とか白とか黒みたいな感じで、相反する属性なんだろう。魔獣と聖獣…確かにそれぞれ反対の性質を持ちそう。
『聖獣は神聖な力を司ってるらしくてな、その力は傷を癒し大地に恵みを与え、生き物達には生きる力を、闇の物達にはその存在を搔き消す力となる。我らにとっては神のような存在じゃのぅ』
んー成る程、神聖な属性なのか…。僕自体 生まれたばかりは闇その物だったし、今は魔獣の姿だから僕の天敵にもなり得るかも知れない。神聖な属性に変化出来るか試すことが出来たらそうしよう。
『聖獣はもはや伝説上の生き物じゃての。儂も仲間伝でしか知らんのじゃ。もし見つけたら全種族総出で捕まえ…おほんっ、スカウトしに行くつもりじゃ』
今村長さん捕まえるって言いかけたね、全種族って…逃がすつもりがなさそう…。
『儂の話は終わりじゃ。さて、お主さんのお話を聞かせてもらえんかのぅ』
村長さんがワクワクした様子で僕を見つめてくる。
あ、あ、そうだよね、旅の話聞きたいって言ってたもんね…
……。
どうしよう。
覚悟を全く決めていないこの状況に、一体僕は何を話せるのだろうか。
ほ、本当になんて話をすれば良いんだよおおお。
僕の故郷のアルラモルモ達は引きこもりで外の世界を何も知らないって設定にしとこうか。だから魔物とか人間とか知らないって…なら僕は一人、いや一匹でどうやってここまで来れたとか言われそうだなぁ。
故郷は何処にあるかとか言われたらキツイし…。あっでも村長さんさっき「旅の話」を聞きたいって言いかけてたなぁ。
旅の話なら…ってそれも全然旅って程続けてないし…。
ど、どうすれば良いんだぁぁ!!
僕は必死に状況打破をしようと、目をクルクルさせながら必死に考えるのであった。
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