22 / 79
第一章
18 黒魔法と暗黒魔法①
しおりを挟む『《影裂界》』
そう心の中で念じると同時に、身体の中の奥底から、ブワッと湧き出るものを感じた。
それらは目紛しく身体の中で渦巻き、直ぐにでも何処かに放出されるのを待ち侘びているように感じられた。
どこに出せば良いの!?と思って羽ばたきながらなんとなく視界前方を見ていたら、遠くの前方空中に何か黒い粒のような物が現れ、身体の中に渦巻くものの量が少し減った気がした。
あぁ、あそこに放出出来るんだ。
何となくそんな気がしたので、黒い粒を視界の中央に捉えながら身体の内側のエネルギーを一気に送り出すようにすると、黒い粒のあった場所から黒い稲妻のような一本の亀裂が迸った。驚きつつ、エネルギーを送り込むのを止めないでいたら急に送り出しにくくなった。
《影裂界》って空中にあの変な黒い亀裂が出来ただけでまさか終わり?あの黒い亀裂で敵を攻撃するスキルなのかな…。
うーんまだ何か起きるかな、と更に念じる力を込めてエネルギーを送り込むと…周りの背景が大きく歪んでぐわっと亀裂が開く。
力を込めれば込めるほど、亀裂の開き具合は大きくなり、
光が一切遮断された真っ黒な亀裂の内側が見える。
黒い亀裂が開く現象…。
ふと思い出した。
確か邪竜が出る時、邪神の周りに黒い亀裂が現れて、その中から出てきていた。もしやあの亀裂ってワープ空間みたいな役割をするのかも?
僕が亀裂に到達するまであと十数秒。
一か八か…あの亀裂の中入ってみちゃおっかな!?
やっぱり危険だし辞めとこうかな。
んー、どうしようどうしよう入っちゃうか…いや駄目怖い怖い、あーでももしワープスキルだったら魅力的だし入ってみなきゃ分からない訳だし分からないままにするのもアレだしでも怖い何が起こるか分からないし。
僕は直前までうだうだ迷いながらも、気が付いたら黒く縦に裂けた空間に身体をスッと滑り込ませていた。
入り込んだ瞬間、周りが真っ暗になり、風を切る音も川の音も一切聞こえず静寂になった。
暗闇の中で、通ってきた亀裂の裂け目だけが後ろで煌々と明るく光っていたが、僕の尻尾の先が亀裂の中に入った途端閉じてしまった。
真っ黒の空間の中、明るくはっきり認識できるのは発光している僕の身体だけ。僕の身体は深海生物のように暗闇の中を悠々と泳ぎ、脈打つ発光の光が鮮やかに黒竜の姿を浮かび上がらせる。
亀裂の中は亜空間になっているのか、重力を感じず、水の中に入っているように空気が重く感じた。先が全く見えない暗闇の中をゆったり泳ぐように進んで行く。
真っ暗で、どこまで空間が広がっているのかも見えないのに、不思議と不安に思うことはなかった。
寧ろ、とっても居心地良くて落ち着き、『ここが僕の居場所』のように感じてしまう程だった。
あぁ…感じたこともないような安心感がする…。このままずっと暗闇に揺蕩っていたいなぁ。
はっ!と思い、首を思い切り左右に振る
この居心地良さが中毒になってここから出られなくなってはいけない。
えっと、出るには…
来た時の同じようにすれば良いのかな、と前方に力を送り込むように念じてみると…
ん?うわぁぁぁぁ!?!?
深海のように重かった空気がゴオォォと前に向かって物凄い勢いで流れて行き、僕もその流れに押し流されて行った。身体にかかる圧力が高くなり、身体が嫌な音を立てて軋む感覚がする。
重い重い、早い早い早い目が回る!ストップ!
咄嗟に流れが止まるのをイメージすると、次の瞬間急に流れが強制的に急停止した。
っおぶぇ!?
100で動いていたのがいきなり0になるような止まり方で、身体に思いっきり衝撃が走る。僕の身体が魔竜で丈夫だったから良いものの、人間の身体だったら内臓と脳が叩きつけられてシェイクされていたよ…。
はぁ…怖かった。まさか『空間全体』が動くと思わなかった。
けど、この感覚は知っている。
僕が黒神術で黒魔力を操る時と同じだ。
試しにゆっくりと流れるようなイメージをすれば、ゆっくりと身体が進んだ。成る程、要は僕が黒神術を操る時と同じように意識して動かせば大丈夫そう。
今度は徐々に止まるようにイメージすれば、僕の思考に直結しているような動きで、思った通りに緩やかに止まった。本当に黒神術で黒い霧を操っている感覚とほぼ同じだ。
と言うことは、この亀裂の中、いや、『影裂界』の中に広がっている空間の全てが、僕の身体を構成しているあの黒い霧…黒魔力と同じなんだろう。
僕が普段使っていた黒魔力と違うのは、黒魔力の密度?だろうか。
もうここにある黒魔力の濃さは霧というレベルじゃない。どれくらいかというと…液体?凄く重い空気?…なんて言えば良いか分からないや。
でも、道理で居心地が良かった訳だ。僕の身体は黒魔力で出来ているし、黒魔力の中に居るのは落ち着くのだろう。
もう黒魔力がどんどん少なくなって消えそうになっても、ここに飛び込めば消えることがなさそうだから一先ず安心だ。
**
さて、この空間から出るにはどうすれば良いのかというと…外に出られるように空間を切り開くイメージをすれば良いのかな。
さっきは黒魔力を送り込んで空間を裂いたけど、次は外の景色を思い出しながら黒魔力で満たされた空間をこじ開けるようにイメージをする。
すると、僕の目の前に輝くー線が現れた。
もうひと押し、と黒魔力をこじ開けるような気持ちで力を込めると、その線が大きく開いて外からの眩い光が漏れ出す。
移動は黒魔力を操作した方が早い。
周りの黒魔力を亀裂へ向かって流れさせ、僕は波に押されるような感覚で外の世界に抜け出た。
それから何回か『影裂界』を練習したところ、コツさえ掴めば割とスムーズに影裂界を発動できるようになった。
このスキルはやはりワープのような機能があるみたいだで、影裂界の中を通ると100メートルくらい先の距離を一瞬で辿り着くことが出来た。
また、亀裂を同時に3つくらい発生させたり、大きさを変えたり、自由に場所を指定して出す事も出来た。
これから邪竜のような敵が現れた時、影裂界を使って逃げる事にしよう!
あ、影裂界の中に物とか入れてゲームのアイテムボックスみたいな使い方出来ないかな?岸に着いたら試してみよう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります
はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。
「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」
そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。
これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕!
毎日二話更新できるよう頑張ります!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
転生したら王族だった
みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。
レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる