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エピローグII 消えた記憶〜永白庭〜②
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ミエラという少女は女神らしい。
どうしよう、僕ずっと年下の女の子と話すような感じで喋ってたんだけど。
「すみません、神様の貴方に先程から軽率な態度を」
「うわわっお兄さん!?やめてやめて!!そんな変な言葉遣いにしないでっっ」
僕が畏まって謝罪の弁を述べるのを、女神ミエラは慌てて止めに入る。
「私、一応立派に名前は女神ってついてるけどけど全然偉くないよ!?つい最近生まれたばかりの新神で、おじいさまには見習いミエラって言われてるしー、他の神族の方にも認められてないしー」
女神ミエラは次第に声がか細くなっていく。
「一人前の神様は世界を作る権利が与えられてね、神族の方はみーんな私みたいな偽物じゃなくて本物の世界を作って管理して崇められて神生謳歌してるの。……そう、私だけ抜いて。私は神力が使いこなせないからって馬鹿にして。……私だけ神友もいないし、先輩方の世界に一度もお呼ばれしたこともない。
私だって……頑張ってるのにさ。……いっつも私だけ………私だけ」
サファイアのつぶらで大きな瞳に大粒の涙が浮かんでいる。
今にも泣いてしまいそうだ。
「えっと…僕でよければ、いくらでも聞くよ」
気付いたら極自然に女神ミエラの頭を撫でながらなんか呟いてた。
あ、やってしまった。女神様なのに、小さい女の子扱いが抜けられない…!
女神ミエラが目を大きくして僕を見上げる。
「おにーさん…?」
女神ミエラが瞬きすると、キラキラ光る雫が少女の頬を伝う。
ともかく目の前にいる女神ミエラ様は、純白のヒラヒラしたワンピースに、ほんのりと紅い頬、可愛らしい容姿、潤む大きなサファイアの瞳、どう見ても庇護欲を掻き立てる幼いめっちゃ可愛いお人形さんのような少女なのだ。
うっこれが僕の中の知られざるお兄さん本能なのか!?
ミエラの頭の上に置いてしまった極めて非礼な僕の左手をさりげなく下ろしたところ、なんとミエラに両手で掴まれた。
なんだか、握手会みたい。
じゃなくて、この状況なに?
ミエラは僕の左手はぎゅっと握りしめて
「ありがと、おにーさ…いや、お兄ちゃん!!!!じゃあお兄ちゃんに甘えて、私ぶっちゃけちゃう!!」
と、眩しい笑顔を向けて言った。
んん?
それから暫く、僕はミエラの愚痴大会を聞くことになった。
さっきまで涙を流すようなか弱い様子だったのに、今ではお酒の席で愚痴を言う後輩みたいになっている。
「分かりにくいから、いちいち皮肉で言わないではっきり悪口言えばいいのに って私思うの!!お陰で褒められたってずっと勘違いしてたんだよーー!!」とか、「聞いて聞いておにーちゃーん、それでね、あまつさえ私の可愛い永白庭をオモチャ呼ばわりしてさーー」とか。
「酷いんだよ!!私のことが気に入らないからって外部から集団で干渉して私の永白庭を本気で潰しにかかってねー。おかげでね~時空間と次元の完全隔離に加えて過去最高難密度の理を組み込んでさ、外部からは完全隠蔽と鉄壁要塞並みの世界になったけど、理の条件が厳し過ぎて生命が宿る隙が無くなるわ、なんか色々歪むわで……。
でも何より、私すら簡単に入れない世界になっちゃったことがショックなのーー!!」など、延々と続いた。
僕が思うに、ミエラは割とお強いのでは??
一人前じゃない神が、集団の神から世界を守りきったって…いやいや十分神力発揮できてるじゃないですか。
「あーーもう!!いくら先輩神様だからって許せない!!…あ、えっとえっと、つ、ま、り、私は半神で、ただの女の子だから!!畏まられると、話しにくいからやなの!!あと、私はお兄ちゃんを頼ってるから、立場はお兄ちゃんの方が上なの!!それに…」
ミエラは顔を赤くして手をいじいじし始める。
あの…半神抜きにしても、ただの女の子じゃない気がするのだけれど。
「お兄ちゃん怒らないし、優しいし、私の話をしっかり聞いてくれるし…。私ずっと、お兄ちゃんみたいな優しくしてくれる人に憧れてたの。それに、お兄ちゃんと居るとなんだか心地良いし。だから…私のお兄ちゃんと思って接して欲しいなーって」
うっ、『おにーちゃん』か…なんて響きだ!僕の中で魂が鼓動し電流のようなものが駆け巡る。
「分かったよ、ミエラ。これでいい?」
僕はミエラ様改、ミエラの頭をもう一度撫でる。
「うん!!お兄ちゃん」
ミエラは嬉しそうに頷いた。
偽世界で、僕には女神の妹が出来たらしい。
ラノベのタイトルみたい。
「ところで、僕に手伝って欲しいこと、まだ聞いてないけど、教えてくれる?」
「あ…。あーーーーそれね~~えっとねー~、私お兄ちゃんに説明してなかったっけ~」
ミエラは分かりやすく誤魔化す。
「聞いてないよ」
「うっ」
ミエラはうーんと唸り、観念したように口を開く。
「実はね、凄く今更になっちゃうけど…なんか話しているうちに、お兄ちゃんが本当に助っ人さんなのかよく分からなくなっちゃったの」
え?どゆこと?
僕は目が点になる。
「えっとね、助っ人さんはここに来るまでに、おじぃさまに直接会って段階的に色んな事を教えてもらって、事前に前置き情報知ってる状態で私に会うことになってたの。あとは私が助っ人さんをおじぃさまの仰った場所にポーンって送るだけ。でもお兄ちゃん何にも知らなそうだし…」
「この世界が偽世界だから、ここに入る時に僕が『おじぃさま』から言われた事を忘れちゃったとか」
「んーん、おじぃさまが記憶を弄らない限り、記憶が魂にまで刻まれるから忘れるわけないの…。
でも私の自慢の永白庭ちゃんは、私やおじぃさま…あとは亜神ちゃんくらいしか干渉できないし~。私は他の世界からここに人を引っ張り出すことなんて出来ないし、亜神ちゃんが他の世界に行けるようにでもなったらそれこそお終いだし~。あれー??そう考えると、やっぱりおじぃさまがお兄ちゃんを私の元に送ったんだ!!」
亜神ちゃんって、ミエラが僕と間違えて警戒してた人物?かな。警戒する人にちゃん付けって…。
ともかく、結局僕は助っ人だったらしいのは分かった。
「…だとしたらちょっと悪い状況かもしれない」
ミエラの顔が真剣な表情になって、僕を見る。
「悪い状況?」
僕の言葉に、ミエラは頷く。
「お兄ちゃん、おじぃさまのこと知らないんだったよね」
全く知らないので、二度頷いとく。
「おじぃさまは神様の中で一番偉い神様で、一番強い神様なんだよ。
おじぃさまなら、世界を一瞬で消したり、作ったり、なんでも出来ちゃう。でも今回、そんなおじぃさまさえどうにも出来ない凄い事件が起こったの。
代わりになんとしてもらうため、おじぃさまは必死に助っ人さんを探してたっていう訳なの」
凄い事件って何だろう?
というか、
「『おじぃさま』が出来ないことを出来る人ってそうそう見つからなさそうだね」
思わず、思ったことをそのまま口に出してしまった。
人っていうか、神様が助っ人になるべきでは…と思うが、偉い神様だからなんらかの事情があってそう判断してるのだろう。
取り敢えず、ミエラのためにも、早くその助っ人が見つかるといいなと思う。
「いやいや見つけたんだよ!おじぃさまが意地で無理矢理急いで見つけた助っ人さんがお兄ちゃんという訳だよ~!!」
あ、そうだった。僕は一応そのおじぃさまに助っ人として連れてこられたってことになってたんだった。
けど意地で無理矢理って……
「僕は仕方なく連れてこられたんだね…」
「え!?そ、そんなことないとも思うよ~?」
僕の悲愴漂う声に、ミエラは慌てる。
大体、ミエラを直接助ける手伝いじゃないこと自体ショックなのに、お偉い神様の代行…というより強制連行で拒否権無しの手伝いって…。
正直、自分には荷が重すぎるし、なんか危険な匂いしかしない。
…不安だ。
「見つけられたってことは、可能性が0じゃないってことなんだよ。おじぃさまが見つからないかもしれないって言ってたから凄いことなんだ思うの!だから見つけるまでがものすごーーーく大変だったらしいから、おじぃさまはちゃんと任務を果たしたってことになるんだよ!!」
ミエラは僕の様子を見て、必死に元気付けてくれた。可能性とか、そもそもあるかなんて分からないけど、ミエラが凄いと言うのなら凄いことなのかな。
「…でも、おじぃさまに何かあったかもしれないの」
ミエラの表情が強張る。
「お兄ちゃんはおじぃさまに会ってもないし、説明もされてない。つまり、おじぃさまの身に何かがあったってことだと思う…。それにそもそも、助っ人を見つけ出すのに後何千年くらい掛かる予定だったのに。きっとおじぃさまの身に何かあって、それで急いでお兄ちゃんだけを私の元に送ったんだ…」
本当に無理矢理早く見つけ出されたことに驚きつつ、事態の深刻さを何となく受け取る。
「ここは時空間から外れているから、他とは時間の流れや概念が違うけど、おじぃさまはそんなの関係無しに動ける方なのに…」
ミエラが悲しそうに俯く。
「おじぃさまを探しに行きたいけど、私が今永白庭から離れたら、この世界は失くなっちゃう…」
そっか、ミエラはここの世界を管理をしているから離れる事が出来ないんだ。
ミエラはしばらく考え込んだ後、決心したように僕に向き直った。
「私、おじぃさまを探しに行く!!」
「そしたら、君の永白庭は…」
「永白庭は…なんとか理を調整してなんとかしてみる!それに元々私は世界を管理する力なんてなかったのに、おじぃさまに無理言って作った世界だったから」
ミエラはそう言っているようだけど、苦しそうだ。
永白庭、ミエラが頑張って守り抜いた世界なのに、消えてしまうのは僕も悲しい。
「大丈夫、お兄ちゃんは元居た世界に戻してあげるよ」
「えっ!?帰れるの?でも僕は『おじぃさま』の手伝いをする為に来たんじゃ…」
てっきり助っ人として何かしらさせられると思っていた僕は、ミエラの言葉に驚く。
「お兄ちゃんを助っ人として送ったって、おじぃさまから何の説明も受けてないから上手くいくか分からないし、…元々、いくら必要な助っ人さんとは言え、関係のない人を巻き込む形になるのは嫌だったの。んー、だから気にしないで!!」
ミエラはそう言ってくれた。
帰れるのは嬉しい。だけど、このまま何も出来ずに帰るのかと思うと、納得できない気持ちがあった。
ミエラは二つの大切な存在を天秤にかけて、そして決意した。でも彼女にとって、それはとても酷な判断だったと思う。
ミエラと居た時間は短かったけど、ミエラはもう僕にとって妹のような存在だし、もう無関係じゃない。
それに、『おじぃさま』が急いで僕を送ったのは、我ながらだけど、何か重要な意味があるんじゃないかって思う。
せっかくここまで連れてこられたんだ。僕に出来ることなら、やれるだけやりたい。
「僕、助っ人になるよ。ミエラ達の力になりたい」
ミエラは驚いて僕を見つめる。
「で、でも…私おじぃさまからあんまり詳しい手伝い内容教えてもらってないよ?
私はお兄ちゃんを指定された場所に飛ばして、お兄ちゃんはその後異世界に行って、最終的に世界を救うらしいんだけど…」
世界を救う!?そんな壮大な事を僕するの!?
「あ、お兄ちゃんが異世界に行くだけで何かしら影響があるっておじぃさまが仰ってたから、そこは気にしなくてもいいと思う。お兄ちゃんが異世界行ったら、おじぃさまがまたちょこちょこ会って計画を話すって行ってたし、その内会えると思うんだけど…
それでも良い?ここと違って、お兄ちゃん死んじゃったら元に戻らないよ?」
ミエラが心配そうに尋ねるのに対し、僕は大丈夫という意味を込めて大きく頷く。
死ぬのは勿論怖いけど、僕は助っ人になるって決心したしね。
それに、異世界ってどんな世界か興味をそそられる。そもそも世界を救う手伝いなんて、地球にいたら絶対できないだろうし。それに…何故か地球に帰りたく無い気もする。
「お兄ちゃん…うん、分かった!でもその代わり、絶対元気なままでいてね!!私お兄ちゃんに会いに行くから!!!」
ミエラはそう元気よく、目尻に涙を浮かべながら言ってくれた。
そして僕の両手を滑らかな小さな手でぎゅっと掴む。
すると、周りの景色が眩く輝き始めた。
「お兄ちゃん、手伝ってくれるって言ってくれてありがとう。お兄ちゃんとお話しできた時間、私は絶対忘れない」
周りはほぼ真っ白になり、眩しさで目を開けられなくなっていく中、ミエラの声だけ届いた。
ミエラの声があまりにも寂しそうだったから、このまま一生会えない気がして不安になった。
「最後に、私の《加護》を。(…あーでも私の加護だから大した事できないし、どうせならお兄ちゃんの魂源に直接私の作ったシステムプログラム組み込んでおこーっと。その方が役に立ちそう)」
ミエラがそう言うと、僕の両手が暖かく光り、やがて身体を包み込んて僕の中に吸収されるように入っていった。
ミエラの加護か…ミエラが見守ってくれているようで、なんだか力強い気持ちになった。加護の後、なんだか高速でボソボソ言ってるように聞こえたけど、良く聞き取れなかった。
「僕もミエラの事、絶対忘れない!短い時間だったけど、ありがとう」
不安を打ち消すように、僕は力強く言う。
ミエラと手を握ってる感覚も分からなくなり、僕の意識も徐々に無くなっていった。
「お兄ちゃん意地悪だなぁ。そんなこと言われたら離れがたくなっちゃうよ」
ミエラが何か呟いた気がしたけど、その声を聞き取ることはできなかった。
*************************************************
「永白庭で過ごした記憶は、無かったことになるって言ったのに」
広大な世界に佇む大きな柱の上、残された少女は悲しそうに呟いた。
自分の頬をペシペシ叩いて、気持ちを切り替える。
「よーし、ここに引きこもってないでお兄ちゃんみたいに新しい一歩を進まなくちゃね。取り敢えず、せっかくお兄ちゃんと過ごした永白庭ちゃんを壊さない方法を試してみよう!」
永白庭を壊さずに外に出る為には、理を安定化させて、ちゃんとした世界にしなければならない。
「おじぃさま、お兄ちゃん、待っててねー!」
ミエラは気合の入った声で言うや否や、女神の力を惜しげもなく全力で使い、永白庭の理を改良し始めた。
背中からは輝く大きな羽が複数生え、ミエラを中心に幾つもの緻密な魔法陣が規則正しく周る。
その姿はまさに神々しく、女神と言うのに相応しい力だった。
彼女は、神として生まれたばかりで知らなかった。
既に崩壊した世界の理を作り直す、それはどの神も、「おじぃ様」さえも成功したことのない事だと言うことを。
…そして、安定した理の世界を管理していない神は、神力を持てない事も。
どうしよう、僕ずっと年下の女の子と話すような感じで喋ってたんだけど。
「すみません、神様の貴方に先程から軽率な態度を」
「うわわっお兄さん!?やめてやめて!!そんな変な言葉遣いにしないでっっ」
僕が畏まって謝罪の弁を述べるのを、女神ミエラは慌てて止めに入る。
「私、一応立派に名前は女神ってついてるけどけど全然偉くないよ!?つい最近生まれたばかりの新神で、おじいさまには見習いミエラって言われてるしー、他の神族の方にも認められてないしー」
女神ミエラは次第に声がか細くなっていく。
「一人前の神様は世界を作る権利が与えられてね、神族の方はみーんな私みたいな偽物じゃなくて本物の世界を作って管理して崇められて神生謳歌してるの。……そう、私だけ抜いて。私は神力が使いこなせないからって馬鹿にして。……私だけ神友もいないし、先輩方の世界に一度もお呼ばれしたこともない。
私だって……頑張ってるのにさ。……いっつも私だけ………私だけ」
サファイアのつぶらで大きな瞳に大粒の涙が浮かんでいる。
今にも泣いてしまいそうだ。
「えっと…僕でよければ、いくらでも聞くよ」
気付いたら極自然に女神ミエラの頭を撫でながらなんか呟いてた。
あ、やってしまった。女神様なのに、小さい女の子扱いが抜けられない…!
女神ミエラが目を大きくして僕を見上げる。
「おにーさん…?」
女神ミエラが瞬きすると、キラキラ光る雫が少女の頬を伝う。
ともかく目の前にいる女神ミエラ様は、純白のヒラヒラしたワンピースに、ほんのりと紅い頬、可愛らしい容姿、潤む大きなサファイアの瞳、どう見ても庇護欲を掻き立てる幼いめっちゃ可愛いお人形さんのような少女なのだ。
うっこれが僕の中の知られざるお兄さん本能なのか!?
ミエラの頭の上に置いてしまった極めて非礼な僕の左手をさりげなく下ろしたところ、なんとミエラに両手で掴まれた。
なんだか、握手会みたい。
じゃなくて、この状況なに?
ミエラは僕の左手はぎゅっと握りしめて
「ありがと、おにーさ…いや、お兄ちゃん!!!!じゃあお兄ちゃんに甘えて、私ぶっちゃけちゃう!!」
と、眩しい笑顔を向けて言った。
んん?
それから暫く、僕はミエラの愚痴大会を聞くことになった。
さっきまで涙を流すようなか弱い様子だったのに、今ではお酒の席で愚痴を言う後輩みたいになっている。
「分かりにくいから、いちいち皮肉で言わないではっきり悪口言えばいいのに って私思うの!!お陰で褒められたってずっと勘違いしてたんだよーー!!」とか、「聞いて聞いておにーちゃーん、それでね、あまつさえ私の可愛い永白庭をオモチャ呼ばわりしてさーー」とか。
「酷いんだよ!!私のことが気に入らないからって外部から集団で干渉して私の永白庭を本気で潰しにかかってねー。おかげでね~時空間と次元の完全隔離に加えて過去最高難密度の理を組み込んでさ、外部からは完全隠蔽と鉄壁要塞並みの世界になったけど、理の条件が厳し過ぎて生命が宿る隙が無くなるわ、なんか色々歪むわで……。
でも何より、私すら簡単に入れない世界になっちゃったことがショックなのーー!!」など、延々と続いた。
僕が思うに、ミエラは割とお強いのでは??
一人前じゃない神が、集団の神から世界を守りきったって…いやいや十分神力発揮できてるじゃないですか。
「あーーもう!!いくら先輩神様だからって許せない!!…あ、えっとえっと、つ、ま、り、私は半神で、ただの女の子だから!!畏まられると、話しにくいからやなの!!あと、私はお兄ちゃんを頼ってるから、立場はお兄ちゃんの方が上なの!!それに…」
ミエラは顔を赤くして手をいじいじし始める。
あの…半神抜きにしても、ただの女の子じゃない気がするのだけれど。
「お兄ちゃん怒らないし、優しいし、私の話をしっかり聞いてくれるし…。私ずっと、お兄ちゃんみたいな優しくしてくれる人に憧れてたの。それに、お兄ちゃんと居るとなんだか心地良いし。だから…私のお兄ちゃんと思って接して欲しいなーって」
うっ、『おにーちゃん』か…なんて響きだ!僕の中で魂が鼓動し電流のようなものが駆け巡る。
「分かったよ、ミエラ。これでいい?」
僕はミエラ様改、ミエラの頭をもう一度撫でる。
「うん!!お兄ちゃん」
ミエラは嬉しそうに頷いた。
偽世界で、僕には女神の妹が出来たらしい。
ラノベのタイトルみたい。
「ところで、僕に手伝って欲しいこと、まだ聞いてないけど、教えてくれる?」
「あ…。あーーーーそれね~~えっとねー~、私お兄ちゃんに説明してなかったっけ~」
ミエラは分かりやすく誤魔化す。
「聞いてないよ」
「うっ」
ミエラはうーんと唸り、観念したように口を開く。
「実はね、凄く今更になっちゃうけど…なんか話しているうちに、お兄ちゃんが本当に助っ人さんなのかよく分からなくなっちゃったの」
え?どゆこと?
僕は目が点になる。
「えっとね、助っ人さんはここに来るまでに、おじぃさまに直接会って段階的に色んな事を教えてもらって、事前に前置き情報知ってる状態で私に会うことになってたの。あとは私が助っ人さんをおじぃさまの仰った場所にポーンって送るだけ。でもお兄ちゃん何にも知らなそうだし…」
「この世界が偽世界だから、ここに入る時に僕が『おじぃさま』から言われた事を忘れちゃったとか」
「んーん、おじぃさまが記憶を弄らない限り、記憶が魂にまで刻まれるから忘れるわけないの…。
でも私の自慢の永白庭ちゃんは、私やおじぃさま…あとは亜神ちゃんくらいしか干渉できないし~。私は他の世界からここに人を引っ張り出すことなんて出来ないし、亜神ちゃんが他の世界に行けるようにでもなったらそれこそお終いだし~。あれー??そう考えると、やっぱりおじぃさまがお兄ちゃんを私の元に送ったんだ!!」
亜神ちゃんって、ミエラが僕と間違えて警戒してた人物?かな。警戒する人にちゃん付けって…。
ともかく、結局僕は助っ人だったらしいのは分かった。
「…だとしたらちょっと悪い状況かもしれない」
ミエラの顔が真剣な表情になって、僕を見る。
「悪い状況?」
僕の言葉に、ミエラは頷く。
「お兄ちゃん、おじぃさまのこと知らないんだったよね」
全く知らないので、二度頷いとく。
「おじぃさまは神様の中で一番偉い神様で、一番強い神様なんだよ。
おじぃさまなら、世界を一瞬で消したり、作ったり、なんでも出来ちゃう。でも今回、そんなおじぃさまさえどうにも出来ない凄い事件が起こったの。
代わりになんとしてもらうため、おじぃさまは必死に助っ人さんを探してたっていう訳なの」
凄い事件って何だろう?
というか、
「『おじぃさま』が出来ないことを出来る人ってそうそう見つからなさそうだね」
思わず、思ったことをそのまま口に出してしまった。
人っていうか、神様が助っ人になるべきでは…と思うが、偉い神様だからなんらかの事情があってそう判断してるのだろう。
取り敢えず、ミエラのためにも、早くその助っ人が見つかるといいなと思う。
「いやいや見つけたんだよ!おじぃさまが意地で無理矢理急いで見つけた助っ人さんがお兄ちゃんという訳だよ~!!」
あ、そうだった。僕は一応そのおじぃさまに助っ人として連れてこられたってことになってたんだった。
けど意地で無理矢理って……
「僕は仕方なく連れてこられたんだね…」
「え!?そ、そんなことないとも思うよ~?」
僕の悲愴漂う声に、ミエラは慌てる。
大体、ミエラを直接助ける手伝いじゃないこと自体ショックなのに、お偉い神様の代行…というより強制連行で拒否権無しの手伝いって…。
正直、自分には荷が重すぎるし、なんか危険な匂いしかしない。
…不安だ。
「見つけられたってことは、可能性が0じゃないってことなんだよ。おじぃさまが見つからないかもしれないって言ってたから凄いことなんだ思うの!だから見つけるまでがものすごーーーく大変だったらしいから、おじぃさまはちゃんと任務を果たしたってことになるんだよ!!」
ミエラは僕の様子を見て、必死に元気付けてくれた。可能性とか、そもそもあるかなんて分からないけど、ミエラが凄いと言うのなら凄いことなのかな。
「…でも、おじぃさまに何かあったかもしれないの」
ミエラの表情が強張る。
「お兄ちゃんはおじぃさまに会ってもないし、説明もされてない。つまり、おじぃさまの身に何かがあったってことだと思う…。それにそもそも、助っ人を見つけ出すのに後何千年くらい掛かる予定だったのに。きっとおじぃさまの身に何かあって、それで急いでお兄ちゃんだけを私の元に送ったんだ…」
本当に無理矢理早く見つけ出されたことに驚きつつ、事態の深刻さを何となく受け取る。
「ここは時空間から外れているから、他とは時間の流れや概念が違うけど、おじぃさまはそんなの関係無しに動ける方なのに…」
ミエラが悲しそうに俯く。
「おじぃさまを探しに行きたいけど、私が今永白庭から離れたら、この世界は失くなっちゃう…」
そっか、ミエラはここの世界を管理をしているから離れる事が出来ないんだ。
ミエラはしばらく考え込んだ後、決心したように僕に向き直った。
「私、おじぃさまを探しに行く!!」
「そしたら、君の永白庭は…」
「永白庭は…なんとか理を調整してなんとかしてみる!それに元々私は世界を管理する力なんてなかったのに、おじぃさまに無理言って作った世界だったから」
ミエラはそう言っているようだけど、苦しそうだ。
永白庭、ミエラが頑張って守り抜いた世界なのに、消えてしまうのは僕も悲しい。
「大丈夫、お兄ちゃんは元居た世界に戻してあげるよ」
「えっ!?帰れるの?でも僕は『おじぃさま』の手伝いをする為に来たんじゃ…」
てっきり助っ人として何かしらさせられると思っていた僕は、ミエラの言葉に驚く。
「お兄ちゃんを助っ人として送ったって、おじぃさまから何の説明も受けてないから上手くいくか分からないし、…元々、いくら必要な助っ人さんとは言え、関係のない人を巻き込む形になるのは嫌だったの。んー、だから気にしないで!!」
ミエラはそう言ってくれた。
帰れるのは嬉しい。だけど、このまま何も出来ずに帰るのかと思うと、納得できない気持ちがあった。
ミエラは二つの大切な存在を天秤にかけて、そして決意した。でも彼女にとって、それはとても酷な判断だったと思う。
ミエラと居た時間は短かったけど、ミエラはもう僕にとって妹のような存在だし、もう無関係じゃない。
それに、『おじぃさま』が急いで僕を送ったのは、我ながらだけど、何か重要な意味があるんじゃないかって思う。
せっかくここまで連れてこられたんだ。僕に出来ることなら、やれるだけやりたい。
「僕、助っ人になるよ。ミエラ達の力になりたい」
ミエラは驚いて僕を見つめる。
「で、でも…私おじぃさまからあんまり詳しい手伝い内容教えてもらってないよ?
私はお兄ちゃんを指定された場所に飛ばして、お兄ちゃんはその後異世界に行って、最終的に世界を救うらしいんだけど…」
世界を救う!?そんな壮大な事を僕するの!?
「あ、お兄ちゃんが異世界に行くだけで何かしら影響があるっておじぃさまが仰ってたから、そこは気にしなくてもいいと思う。お兄ちゃんが異世界行ったら、おじぃさまがまたちょこちょこ会って計画を話すって行ってたし、その内会えると思うんだけど…
それでも良い?ここと違って、お兄ちゃん死んじゃったら元に戻らないよ?」
ミエラが心配そうに尋ねるのに対し、僕は大丈夫という意味を込めて大きく頷く。
死ぬのは勿論怖いけど、僕は助っ人になるって決心したしね。
それに、異世界ってどんな世界か興味をそそられる。そもそも世界を救う手伝いなんて、地球にいたら絶対できないだろうし。それに…何故か地球に帰りたく無い気もする。
「お兄ちゃん…うん、分かった!でもその代わり、絶対元気なままでいてね!!私お兄ちゃんに会いに行くから!!!」
ミエラはそう元気よく、目尻に涙を浮かべながら言ってくれた。
そして僕の両手を滑らかな小さな手でぎゅっと掴む。
すると、周りの景色が眩く輝き始めた。
「お兄ちゃん、手伝ってくれるって言ってくれてありがとう。お兄ちゃんとお話しできた時間、私は絶対忘れない」
周りはほぼ真っ白になり、眩しさで目を開けられなくなっていく中、ミエラの声だけ届いた。
ミエラの声があまりにも寂しそうだったから、このまま一生会えない気がして不安になった。
「最後に、私の《加護》を。(…あーでも私の加護だから大した事できないし、どうせならお兄ちゃんの魂源に直接私の作ったシステムプログラム組み込んでおこーっと。その方が役に立ちそう)」
ミエラがそう言うと、僕の両手が暖かく光り、やがて身体を包み込んて僕の中に吸収されるように入っていった。
ミエラの加護か…ミエラが見守ってくれているようで、なんだか力強い気持ちになった。加護の後、なんだか高速でボソボソ言ってるように聞こえたけど、良く聞き取れなかった。
「僕もミエラの事、絶対忘れない!短い時間だったけど、ありがとう」
不安を打ち消すように、僕は力強く言う。
ミエラと手を握ってる感覚も分からなくなり、僕の意識も徐々に無くなっていった。
「お兄ちゃん意地悪だなぁ。そんなこと言われたら離れがたくなっちゃうよ」
ミエラが何か呟いた気がしたけど、その声を聞き取ることはできなかった。
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「永白庭で過ごした記憶は、無かったことになるって言ったのに」
広大な世界に佇む大きな柱の上、残された少女は悲しそうに呟いた。
自分の頬をペシペシ叩いて、気持ちを切り替える。
「よーし、ここに引きこもってないでお兄ちゃんみたいに新しい一歩を進まなくちゃね。取り敢えず、せっかくお兄ちゃんと過ごした永白庭ちゃんを壊さない方法を試してみよう!」
永白庭を壊さずに外に出る為には、理を安定化させて、ちゃんとした世界にしなければならない。
「おじぃさま、お兄ちゃん、待っててねー!」
ミエラは気合の入った声で言うや否や、女神の力を惜しげもなく全力で使い、永白庭の理を改良し始めた。
背中からは輝く大きな羽が複数生え、ミエラを中心に幾つもの緻密な魔法陣が規則正しく周る。
その姿はまさに神々しく、女神と言うのに相応しい力だった。
彼女は、神として生まれたばかりで知らなかった。
既に崩壊した世界の理を作り直す、それはどの神も、「おじぃ様」さえも成功したことのない事だと言うことを。
…そして、安定した理の世界を管理していない神は、神力を持てない事も。
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