『闇属性黒猫の異世界救出物語』〜魔物転生!?いや人間になりたい!

藤村ゆんた

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第一章 

ある魔女の記憶

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ーーワタシの国は、血生臭く、薄暗い。

ーーだから、陽の光が届くあの地へ行きたかった。

ーー願いは形になり、ワタシは向こうに行く力を手に入れた。

ーー黒い髪。紫の渦巻き状の角。灰色の肌。真紅の瞳。

ーーワタシは美しい。

ーーだけど、明るいこの地では、ワタシは恐ろしい化け物。

ーー姿を変えると、人族は親しげに話してきた。

ーーワタシは、いつの間にか、この弱い生き物を愛おしく感じていた。

ーーこの国では、力の無い生き物でも、目に見えないケンリョクと言うものでヒトを従わせる事ができる

ーーケンリョクを1番持つのは、王という存在だった。

ーーこの国の王は、国民から奪い、殺し、肥え続ける、無能な生き物だった。

ーーワタシには、この国で愛するヒトができた。

ーーワタシの本当の姿を見せても、そのヒトは美しいと言った。

ーーある日、ワタシは王の側室として呼ばれた。

ーーあのヒトに相談した。

『王は最低な人間だ。それから王の側近もだ。あぁ、でも、ニ番目の姫と三番目の王子は心優しい子達だ』

ーーあのヒトはそう教えてくれた。

ーーだから、ワタシは、この国に住む愛しいモノたちを守るために、無能の王を殺した。

ーーその次に王の側近。

ーー強いワタシが女王となり、この国を守る。

ーー安心して。

ーーワタシは、ケンリョクなど無くても、強い。

ーー大丈夫、貴方達を守るだけだから。

ーー。

ーーなぜ?

ーーどうして怖がる?

ーー王は沢山殺した。

ーーワタシは王と、貴方達を苦しめる権力達を殺した。

ーー貴方達の為よ?

ーー貴方達は弱い。

ーーワタシに従っていれば、問題ない。

ーーワタシは貴方達から奪わない。

『魔女めッ』『悍しい魔女だッ』『魂を食べる悪魔め』

ーー私は女王になったのに、ヒトはワタシを化け物と呼んだ。

ーーワタシは強い。

ーー殺されるつもりはない。

ーーこの国にいるあのヒトを守るから、死ぬ訳には行かない。

ーー仕方がなかった。

ーーワタシは強い。数でも負けない。

ーーだから、ワタシを殺しに向かってくるヒトは殺した。

ーーでも、あのヒトがワタシの前に現れた。

『この魔女め。始めからこの国を乗っ取ろうとしていたんだな』

ーー貴方は教えてくれたのに

ーーワタシが魔族と知ってて、悪いヒトを教えたのに

ーーワタシは強いのに、あのヒトの言葉が痛くて。

『そうよ、負けないで貴方!』

ーーあのヒトには既に愛しいヒトが居て。

ーー守ろうとしただけなのに。

ーーどうして?


ーーワタシは貴方に敗れ、この国の人間に捕まって、柱に縛られた。

ーー最後に貴方がワタシに言った言葉は忘れられない。

ーー忘れられる筈がない。

『第三王子がこれで王になる。君のお陰だ。これで君さえ居なくなれば、この国は平和だ』

ーーワタシを悍しいものを見るような目で見る貴方と、貴方の女と、弱い人間達。

ーーあぁ、悍しい。

ーーワタシは貴方に騙された。

ーー許さない。

ーーワタシの想いは利用された。

ーーワタシを美しいと言ったのは、嘘だった。

ーー全てが嘘だった。

ーーワタシは魔女。

ーー怪物と決めつけたのはお前達。

ーーワタシは最後の力で、見物していたニンゲンどもを殺していく。

ーーでも貴方だけは殺さない。

ーー貴方だけは、ワタシと同じ、絶望を味わえば良い。

ーー嘘吐きな貴方。貴方の周りにいるヒトみんなが不幸になってしまえ。

ーー貴方がワタシの心臓を剣で貫く。

ーーワタシの心臓の血は剣を伝って、貴方の中に入っていく。

『ユ、許サない、貴方が死ンでモ、貴方の愛すル者はケッしテ、幸せ二などナラなイ』

ーーワタシは独り。ワタシの守るヒトはワタシを殺すヒト。

ーー愛おしさは憎しみに、深い怒りと悲しみは渦巻く。


ーー貴方は私に火をつける。


ーー炎が燃え上がる中、貴方を見つめていた。


ーーこの心臓が燃え尽きても、ワタシは。


ーーワタシは。

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