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第一章
49話 勇者達一行との戦闘
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鮮血のように真紅に染まったナーシア瞳が、いつもの柔らかな薄紫色に色が戻る。ナーシアはすぐに目を閉じて静かな寝息を立て始めた。
【ナーシア・ミュラ・クローゼル 】の表記の隣に、【呪い】はもう無い。
痕一つ残らず消え去ったようだ。
…ホッと吐こうとした息を止めた。今はまだ安堵する時じゃない。早くゼフィルスさん達を見つけて、この国からの脱出が先だ。
眠っているナーシアは、一旦影裂界の中に取り込む事にした。自分以外の生き物を影裂界の中に入れるのは初めての事だけど、外と変わらない空間を影裂界の中に作っておけば…きっと大丈夫。作り終わった空間に繋がるように影裂界を開き、ナーシアを入れようとした。
猛烈に嫌な予感がして、後ろを振り返る。今まで感じた事がない、恐ろしい程それは膨大な、そして濃密な…真っ白の魔力の波。身の毛立つ代わりに黒い鱗はビリビリと震え始める。
僕が見つめていた先、宮殿内の中心が微かに発光する。
その瞬間、大量のマジックワードの羅列が輪を描いて浮かび上がる。空間が砂嵐のようにブレた。
そこに現れたのは四人の人間。杖を持つ白いローブの女、野党のような見た目の弓を背負う男、体格に合わない大きな斧を持つ兎耳の少女、そして白い剣を携えた金髪の男。
白いローブの人と金髪の人、この二人を目にした瞬間、その悍ましさに全身の鱗がザワッと逆立つ。この真っ白な魔力が…神聖魔力か。
ああもうッ次から次へと、もう沢山だ!
「…!!!うわっわわっ!凄いホントに真っ黒なドラゴンだ!あんな色見たことない!」
「うお、マジで居やがっか……おい、待て、マノン。周りを見ろ」
マノンと呼ばれた兎耳の幼い少女が周りを見渡す。
「あれ、れれ、大変!?りりちゃんの国の皆が、なんか黒いよぉ…死んじゃってる?全然優魔竜じゃないじゃーん!!」
「既に暴れていたか…ッ。やはりただのドラゴンじゃないようだ。皆、気を引き締めて」
金髪の若い男は険しい顔でそう言い放ち、武器を握り締めた。白ローブの女は表情の見えない顔で周りを見る。
この人達は、僕の事を知っているようだ。僕はこの人達の事を知らないし、まだ何もされていない。だけど、どう足掻いても戦いは避けられない。この状況を見れば、誰だって僕(黒竜)の事を敵だと思うだろう。
教会で感じたものとは比にならない、身も心も焼き尽くすような神聖さ。彼等を見ているだけで、力が入らなくなり、目が眩みそうになる。
触れれば消え、近寄っても消えてしまう。圧倒的な神聖魔力。
この人達に立ち向かっては駄目だ、…今すぐここから逃げなければ。魔物としての本能が限界まで警報を鳴らしていた。
それでも、此処に来た理由を放棄してまで逃げる訳には行かなかった。
影裂界は、黒魔力で構成された亜空間。影裂界を開かない限り、攻撃が届く事はない。
そんな影裂界へと避難させる為に、ナーシアを黒魔力で即座に包み込む。
「迷いなき導をここへ、【アクティナイリュー】」
ナーシアが完全に影裂界の中に沈む前に、白いローブの女が何かを唱えた。
(あ、)
彼女の身体から爆発的に放出されるのは、圧縮された神聖魔力の光線。
(死…)
その光に包まれば、身も魂も音すら残らない刹那の死。
圧倒的な死の予感を前に、身体が放電音と共にブレた。気が付いた時には、20メートル離れた大聖堂の壁に移動していた。
僕が居た場所に、黒竜を軽く凌駕する大きさの眩く白いレーザーが当たる。ナーシアと、ナーシアを取り込もうとする黒魔力が、その光の凝縮に包まれた。同時に感じるのは、身体の一部がゴッソリと削ぎ落とされたかのような喪失感。影裂界の黒魔力が三分の一消えた。
でも、そんなことより、ナーシア…が、。
反射的とは言え、自分だけ避けてしまった事に動揺した。
馬鹿だ、最低が…過ぎる…ありえない…。僕は、。
「ッうぉおおい!!お前、女の子がッ」
弓男が焦った表情を浮かべて、白ローブの女に詰め寄る。その男の様子に、ハッと僕は意識を向ける。
「分かってるわよッ!あの黒竜があの子に何かする前に攻撃したのよ!…はぁ、【アクティナイリュー】は光浄化魔法、魔物しか効かないわ。仕留め損なったけど」
魔物しか効かない…っ。
絶望から希望へ。レーザーが消えた場所に目を向けた時、暗く濁った瞳は碧く澄んだ光を取り戻す。そこには、瓦礫に囲まれ、静かに寝たままの無傷のナーシアがいた。
「もーぅ!ヴィグルったら焦り過ぎ~!あ~でもぉ、マノンも気付かなかったケドねぇ」
戯けたように言うナーシアと同じくらいの兎耳の少女マノン。
金髪の男が手を振ると、ナーシアや生き残っていた神官、教皇と枢機卿達の周りに【マジックシールド(魔法盾)】が現れる。
「俺は一旦生存者を避難させる。シールドを貼ったから、二人は生存者を気にせずに戦ってくれて構わない」
どうやら、この四人の人間はナーシアを魔女だと思っていない…寧ろ黒竜から守るべき人だと思っているようだ。
僕だけが狙いなら、それなら良いんだ。
問題は僕が逃げ切れるかどうかだ…。今のうちに鑑定しよう。
***********************
【ヴィグル】
年齢:31
種族:人族(男)
ーーー【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】
称号: 弓使い。暗殺者。選ばれし者。
***********************
***********************
【マノン・メメ】
年齢:**
種族:兎族(女)
ーーー【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】
称号: 斧使い。族長の娘。選ばれし者。
***********************
***********************
【リリナ・ロネル・テュシコール】
神職 : 聖女
年齢:16
種族:人族(女)
神聖属性:火、水、氷、雷、土、風
ーーー【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】
称号: 神の愛し子。癒す者。救済者。魔法研究者。人類守護者。
***********************
***********************
【ルアド】
年齢:18
神職: 勇者
種族:人族(男)
神聖属性
称号:
ーーー【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】
称号: 神の愛し子。救済者。人類守護者。
***********************
鑑定は全て表示する事はできなかったけど…十分過ぎる情報だった。
神職…勇者、聖女。そして選ばれし者。
RPGゲームやこの世界の御伽噺の主人公達(勇者のパーティ)だ。それが、敵として、僕の目の前に居る。信じられないというか、あまり現実味を感じられない。
今まで戦ってきた魔物や人間よりもずっと強くて当然だ。しかも闇属性に対して圧倒的に猛威を振るう神聖属性。敵う筈がない。
それに…神の愛し子か。これが、物語の中だとしたら、僕は完全に当て馬じゃないか。はは。
絶望する僕に構う事なく、ローブを纏った女性、聖女は怒りに満ちた顔で次々と神聖魔法を放つ。
「私の国の民を…絶対に許さないわッ!」
聖女の言葉に納得する他ない。
聖女は神聖皇国のお姫様で、信仰対象でもある。自分の国が破壊されて、怒って当然だ。
一つでも直撃したら今度こそ確実に消滅してしまう矢が光線のように飛んでくる。
この国の騎士や神官がアーティファクトで使っていた神聖魔法とは規模が違う、桁外れの濃密な神聖魔力で作られた大量真っ白な矢。
その一本一本に死の予感を感じながら、先程の感覚を思い出しながら身体を紫電化させて躱す。
「コイツッなんなの!?」
驚いた聖女は攻撃を一旦やめると、入れ違いに兎耳の斧使いマノンが人間とは思えない脚力で飛び上がり、巨大な斧を空中に居る黒竜に向かって振り翳す。
くッ!!
身体を構成する黒魔力を再び電気のように変質させる。間一髪で移動した黒竜はその場から消え、斧は壁に勢いよく突き刺さった。
「ぬぅ、ズルいよ当たらないよぉ!」
悔しそうにそう言いながら片手を上げると、壁に刺さった斧は回転しながら少女の元へ戻り、パシッと受け止める。
その間に粗野な見た目の男が弓で矢を放つ。魔法が付与された矢は、飛んで回避しても追尾をしてきた。
壁獲得していた《紫電化》という黒神術を使って、壁に当たる瞬間に回避する。魔法で出来た矢は、壁に直撃して粉々に砕けた。
「おい、リーダー。あれ何か分かるか?」
「すまない、さっきから鑑定が上手く作用しないんだ」
勇者の答えに、ヴィグルが「まじかよ…」と怪訝な表情を浮かべる。
そうか、勇者も鑑定スキルを持っているのか。
僕は【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】と表示される。
この世界に生まれて半年も経っていない僕と違って、人類を代表する勇者や聖女達とは途方もつかない力の差があるのは当然だ。
勇者が黒竜を鑑定出来ない理由が分からないけど、出来たときても状況はあまり変わらないだろう。
「魔力が今回復したわ。手出ししないで。悪いけど私がアイツを仕留める」
空色に光る液体を飲み干した聖女が、詠唱を唱え始める。この国全体に行き渡る色のない膨大な魔力が、大地を駆け巡り彼女の元へ集っていく。
色のない魔力は、彼女の中に入ると、真っ白に輝く神聖魔力へと変化する。聖女自体がアーティファクトと同じ仕組みなのか、と現実逃避気味に思った。
長い詠唱。特大の…範囲魔法を扱う気だ。
【ナーシア・ミュラ・クローゼル 】の表記の隣に、【呪い】はもう無い。
痕一つ残らず消え去ったようだ。
…ホッと吐こうとした息を止めた。今はまだ安堵する時じゃない。早くゼフィルスさん達を見つけて、この国からの脱出が先だ。
眠っているナーシアは、一旦影裂界の中に取り込む事にした。自分以外の生き物を影裂界の中に入れるのは初めての事だけど、外と変わらない空間を影裂界の中に作っておけば…きっと大丈夫。作り終わった空間に繋がるように影裂界を開き、ナーシアを入れようとした。
猛烈に嫌な予感がして、後ろを振り返る。今まで感じた事がない、恐ろしい程それは膨大な、そして濃密な…真っ白の魔力の波。身の毛立つ代わりに黒い鱗はビリビリと震え始める。
僕が見つめていた先、宮殿内の中心が微かに発光する。
その瞬間、大量のマジックワードの羅列が輪を描いて浮かび上がる。空間が砂嵐のようにブレた。
そこに現れたのは四人の人間。杖を持つ白いローブの女、野党のような見た目の弓を背負う男、体格に合わない大きな斧を持つ兎耳の少女、そして白い剣を携えた金髪の男。
白いローブの人と金髪の人、この二人を目にした瞬間、その悍ましさに全身の鱗がザワッと逆立つ。この真っ白な魔力が…神聖魔力か。
ああもうッ次から次へと、もう沢山だ!
「…!!!うわっわわっ!凄いホントに真っ黒なドラゴンだ!あんな色見たことない!」
「うお、マジで居やがっか……おい、待て、マノン。周りを見ろ」
マノンと呼ばれた兎耳の幼い少女が周りを見渡す。
「あれ、れれ、大変!?りりちゃんの国の皆が、なんか黒いよぉ…死んじゃってる?全然優魔竜じゃないじゃーん!!」
「既に暴れていたか…ッ。やはりただのドラゴンじゃないようだ。皆、気を引き締めて」
金髪の若い男は険しい顔でそう言い放ち、武器を握り締めた。白ローブの女は表情の見えない顔で周りを見る。
この人達は、僕の事を知っているようだ。僕はこの人達の事を知らないし、まだ何もされていない。だけど、どう足掻いても戦いは避けられない。この状況を見れば、誰だって僕(黒竜)の事を敵だと思うだろう。
教会で感じたものとは比にならない、身も心も焼き尽くすような神聖さ。彼等を見ているだけで、力が入らなくなり、目が眩みそうになる。
触れれば消え、近寄っても消えてしまう。圧倒的な神聖魔力。
この人達に立ち向かっては駄目だ、…今すぐここから逃げなければ。魔物としての本能が限界まで警報を鳴らしていた。
それでも、此処に来た理由を放棄してまで逃げる訳には行かなかった。
影裂界は、黒魔力で構成された亜空間。影裂界を開かない限り、攻撃が届く事はない。
そんな影裂界へと避難させる為に、ナーシアを黒魔力で即座に包み込む。
「迷いなき導をここへ、【アクティナイリュー】」
ナーシアが完全に影裂界の中に沈む前に、白いローブの女が何かを唱えた。
(あ、)
彼女の身体から爆発的に放出されるのは、圧縮された神聖魔力の光線。
(死…)
その光に包まれば、身も魂も音すら残らない刹那の死。
圧倒的な死の予感を前に、身体が放電音と共にブレた。気が付いた時には、20メートル離れた大聖堂の壁に移動していた。
僕が居た場所に、黒竜を軽く凌駕する大きさの眩く白いレーザーが当たる。ナーシアと、ナーシアを取り込もうとする黒魔力が、その光の凝縮に包まれた。同時に感じるのは、身体の一部がゴッソリと削ぎ落とされたかのような喪失感。影裂界の黒魔力が三分の一消えた。
でも、そんなことより、ナーシア…が、。
反射的とは言え、自分だけ避けてしまった事に動揺した。
馬鹿だ、最低が…過ぎる…ありえない…。僕は、。
「ッうぉおおい!!お前、女の子がッ」
弓男が焦った表情を浮かべて、白ローブの女に詰め寄る。その男の様子に、ハッと僕は意識を向ける。
「分かってるわよッ!あの黒竜があの子に何かする前に攻撃したのよ!…はぁ、【アクティナイリュー】は光浄化魔法、魔物しか効かないわ。仕留め損なったけど」
魔物しか効かない…っ。
絶望から希望へ。レーザーが消えた場所に目を向けた時、暗く濁った瞳は碧く澄んだ光を取り戻す。そこには、瓦礫に囲まれ、静かに寝たままの無傷のナーシアがいた。
「もーぅ!ヴィグルったら焦り過ぎ~!あ~でもぉ、マノンも気付かなかったケドねぇ」
戯けたように言うナーシアと同じくらいの兎耳の少女マノン。
金髪の男が手を振ると、ナーシアや生き残っていた神官、教皇と枢機卿達の周りに【マジックシールド(魔法盾)】が現れる。
「俺は一旦生存者を避難させる。シールドを貼ったから、二人は生存者を気にせずに戦ってくれて構わない」
どうやら、この四人の人間はナーシアを魔女だと思っていない…寧ろ黒竜から守るべき人だと思っているようだ。
僕だけが狙いなら、それなら良いんだ。
問題は僕が逃げ切れるかどうかだ…。今のうちに鑑定しよう。
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【ヴィグル】
年齢:31
種族:人族(男)
ーーー【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】
称号: 弓使い。暗殺者。選ばれし者。
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【マノン・メメ】
年齢:**
種族:兎族(女)
ーーー【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】
称号: 斧使い。族長の娘。選ばれし者。
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【リリナ・ロネル・テュシコール】
神職 : 聖女
年齢:16
種族:人族(女)
神聖属性:火、水、氷、雷、土、風
ーーー【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】
称号: 神の愛し子。癒す者。救済者。魔法研究者。人類守護者。
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【ルアド】
年齢:18
神職: 勇者
種族:人族(男)
神聖属性
称号:
ーーー【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】
称号: 神の愛し子。救済者。人類守護者。
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鑑定は全て表示する事はできなかったけど…十分過ぎる情報だった。
神職…勇者、聖女。そして選ばれし者。
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今まで戦ってきた魔物や人間よりもずっと強くて当然だ。しかも闇属性に対して圧倒的に猛威を振るう神聖属性。敵う筈がない。
それに…神の愛し子か。これが、物語の中だとしたら、僕は完全に当て馬じゃないか。はは。
絶望する僕に構う事なく、ローブを纏った女性、聖女は怒りに満ちた顔で次々と神聖魔法を放つ。
「私の国の民を…絶対に許さないわッ!」
聖女の言葉に納得する他ない。
聖女は神聖皇国のお姫様で、信仰対象でもある。自分の国が破壊されて、怒って当然だ。
一つでも直撃したら今度こそ確実に消滅してしまう矢が光線のように飛んでくる。
この国の騎士や神官がアーティファクトで使っていた神聖魔法とは規模が違う、桁外れの濃密な神聖魔力で作られた大量真っ白な矢。
その一本一本に死の予感を感じながら、先程の感覚を思い出しながら身体を紫電化させて躱す。
「コイツッなんなの!?」
驚いた聖女は攻撃を一旦やめると、入れ違いに兎耳の斧使いマノンが人間とは思えない脚力で飛び上がり、巨大な斧を空中に居る黒竜に向かって振り翳す。
くッ!!
身体を構成する黒魔力を再び電気のように変質させる。間一髪で移動した黒竜はその場から消え、斧は壁に勢いよく突き刺さった。
「ぬぅ、ズルいよ当たらないよぉ!」
悔しそうにそう言いながら片手を上げると、壁に刺さった斧は回転しながら少女の元へ戻り、パシッと受け止める。
その間に粗野な見た目の男が弓で矢を放つ。魔法が付与された矢は、飛んで回避しても追尾をしてきた。
壁獲得していた《紫電化》という黒神術を使って、壁に当たる瞬間に回避する。魔法で出来た矢は、壁に直撃して粉々に砕けた。
「おい、リーダー。あれ何か分かるか?」
「すまない、さっきから鑑定が上手く作用しないんだ」
勇者の答えに、ヴィグルが「まじかよ…」と怪訝な表情を浮かべる。
そうか、勇者も鑑定スキルを持っているのか。
僕は【対象者のレベル差が規定値を越えているため、表示出来ません】と表示される。
この世界に生まれて半年も経っていない僕と違って、人類を代表する勇者や聖女達とは途方もつかない力の差があるのは当然だ。
勇者が黒竜を鑑定出来ない理由が分からないけど、出来たときても状況はあまり変わらないだろう。
「魔力が今回復したわ。手出ししないで。悪いけど私がアイツを仕留める」
空色に光る液体を飲み干した聖女が、詠唱を唱え始める。この国全体に行き渡る色のない膨大な魔力が、大地を駆け巡り彼女の元へ集っていく。
色のない魔力は、彼女の中に入ると、真っ白に輝く神聖魔力へと変化する。聖女自体がアーティファクトと同じ仕組みなのか、と現実逃避気味に思った。
長い詠唱。特大の…範囲魔法を扱う気だ。
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