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第二章
53話 亜神との出会い②
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僕は亜神に力の使い方を教えてもらう事になった。
「魔物は俺らと同じで黒魔力で魔法を使う事ができる。けどアイツらは俺らみたいに黒魔力を直接操ることは出来ない。けどまぁ、似てるし親戚みたいだろー?」
『?まぁ、うん』
「だから、お前も魔物の仲間だと思えば上手く行くぞ!」
『仲間…えっと、仲良くしようよ~みたいな?』
「あは、そうそう。あと、先ずは魔物の本能をもっと出せば良いぜ」
『魔物の本能?』
亜神の着ている黒い服から黒い触手のようなものがシュッと森の奥に伸びていく。
一瞬で猪型の魔物を捕まえて戻ってきた。うわ、どうやって!?強い…。
「ほらほら、コイツを良く見ろ兄弟。コイツはどんな感情を抱いている?」
『え?』
バウンドボアという猪そっくりの魔物。目は赤く充血し、亜神の黒魔力で縛られながら暴れている。
亜神に言われて良く見て見たけど…うーん。
「殺気、憤怒、憎悪、狂気だよ。感じるだろ」
うっ、物騒な…。やっぱり魔物って恐ろしい。
「こういう負の感情が、魔物の本能なんだぜ。これと同じことをお前ももっと感情を高ぶらせたら襲われないぞ!」
ニィッと笑う亜神に、苦笑いを返す。む、無理、そんな感情を生まれてこのかた抱いた事がないよ。
「は?」
亜神の目が見開く。鮮血のような朱の瞳に怯える黒猫の姿が映る。
亜神がずいっとさらに近くで僕を凝視する。
「なんつーか、別人格ってやつ?すげえな、流石俺の弟だわ」
こ、殺されるかと思った。
底知れない狂気に歪んだ瞳に、この人はやっぱり怖い人かも、と思った。
ドギマギしながらも亜神の言葉に首を傾げる。
「無意識で黒魔力操ってるなんてな!怖い怖い」
いやいや怖いのはこっちのセリフ!と思わず突っ込んだ。
「そうだなぁ。んなら魔物を黒魔力に似たものと思えば良いんじゃね?知力の高いの以外、変に怯える必要はねーよ」
黒魔力と似たものが魔物、なるほど…そういうつもりで魔物を意識すれば良いのか!
「そーそー。じゃあその豚を放すから、試してみろよ」
シュルッと離された瞬間、バウンドボアは勢いよく僕に向かって突進してくる。それをパッと避けると、後ろにあった木にバウンドボアはぶつかってボヨンと弾む。
「ほら、今から集中しろ」
亜神の言葉に従って、僕は黒魔力を操る事を意識する。意識すればするほど、森中に黒魔力は薄く広がっているのを感じた。亜神の身体は、僕の何倍、何万倍?の超濃縮された黒魔力で構成されている。もはや、ブラックホールだ(比喩が合っているか分からないけど)。
その中でも、バウンドボアは薄らと全身に黒魔力が付着しているように見えた。いや、それは浸透していると言うべきか。
そうか、似ている。僕と同じもので染まっているだけなんだ。
「はは、良いねぇその瞳。堪らないなぁ」
亜神が腕を抱え、狂気に満ちた顔で笑った。
バウンドボアは目の前にいるのに、ターゲットを見失ったようにキョロキョロして、去っていく。
出来た!そうかこの感覚!
「サイコー」
ワシワシと僕の頭を撫でる亜神。
「そういやお前、クロとかエヴィーって呼ばれてたな。呼びやすいからクロって呼ぶわ」
ゴロゴロ鳴っていた喉がひくっと止まる。何故その事を知っているの?え、この人どこから僕を見ていたんだ…とゾワッと毛が逆立っだった。す、ストーk
「あはは、クロは見てて飽きないよな!」
そう言って僕を膝に抱えてぽんぽんと撫でる。
ま、まぁ、逆らっても勝てない相手だし…悪い印象を抱かれている訳じゃなさそうだから、まぁ良いか。
いつのまにか日が沈む。死の恐怖のフラッシュバックは、亜神と会った時から一度も起きていない。同じ黒魔力で出来ているからか、亜神の膝の上はとても懐かしくて、心地良く感じた。
ふと気になって亜神に聞いてみる。
『亜神って、もしかして勇者や聖女より強い?』
その質問に亜神がアハッと笑う。
「さぁ?笑。クロが現れるまで気にした事も無かったけど…まぁ、玩具かな」
口が裂けるようにニタァァっと笑う姿にゾクリとした。次に亜神の目を見た事を後悔する。
その目は底知れない狂気を感じた。この人はやっぱり怖い人だ。人を殺すこと愚か甚振ることすら全く抵抗が湧かない人。
それでも、何故か、彼が僕に弟だと親しげに接するのか…僕には分からない。ただ、僕を撫でる手だけは、クローゼル家の…あの人達みたいに優しかった。
***
「ん?」
亜神は自分の膝の上でスゥスゥと寝息を立てる黒猫に気付いた。
「あは、寝る必要なんてないのに。まぁ勇者にボコられたから精神が疲れてんのか、かぁいそー」
クスクスと笑いながら黒猫の体をムニムニと摘む。そして柔らかな黒魔力で、黒猫の全身をすっぽり包んだ。
「なぁ、もしあそこで俺が助けなかったら…クロ、ホントはどうなってたかな」
亜神と瞳が好奇心に似た狂気に光る。
神炎に包まれる直前の少女を助けたのは、亜神の気紛れだった。始めは助けないつもりだった。
クロが大事にしていた少女が死ぬ事で、本能を曝け出したクロが力を開花させる様子を見たかった。
クロの力は開花した。だけどクロの怒りはクロ自身にも向かっていた。自滅する可能性を多少感じ取った亜神は、結局ギリギリの所で少女を助けた。
「まだ足りないなー。お前の持つ全ての闇が見たい」
危うい均衡でありながら、絶妙に成り立っている精神状態。干渉の仕方によっては、どう転ぶか分からない不確定な存在。だからこそ面白い。
早く自分の域まで届け。
そうして、一緒に世界を壊そう。
空を見上げながら、亜神は楽しげな未来を想像するように笑った。
「魔物は俺らと同じで黒魔力で魔法を使う事ができる。けどアイツらは俺らみたいに黒魔力を直接操ることは出来ない。けどまぁ、似てるし親戚みたいだろー?」
『?まぁ、うん』
「だから、お前も魔物の仲間だと思えば上手く行くぞ!」
『仲間…えっと、仲良くしようよ~みたいな?』
「あは、そうそう。あと、先ずは魔物の本能をもっと出せば良いぜ」
『魔物の本能?』
亜神の着ている黒い服から黒い触手のようなものがシュッと森の奥に伸びていく。
一瞬で猪型の魔物を捕まえて戻ってきた。うわ、どうやって!?強い…。
「ほらほら、コイツを良く見ろ兄弟。コイツはどんな感情を抱いている?」
『え?』
バウンドボアという猪そっくりの魔物。目は赤く充血し、亜神の黒魔力で縛られながら暴れている。
亜神に言われて良く見て見たけど…うーん。
「殺気、憤怒、憎悪、狂気だよ。感じるだろ」
うっ、物騒な…。やっぱり魔物って恐ろしい。
「こういう負の感情が、魔物の本能なんだぜ。これと同じことをお前ももっと感情を高ぶらせたら襲われないぞ!」
ニィッと笑う亜神に、苦笑いを返す。む、無理、そんな感情を生まれてこのかた抱いた事がないよ。
「は?」
亜神の目が見開く。鮮血のような朱の瞳に怯える黒猫の姿が映る。
亜神がずいっとさらに近くで僕を凝視する。
「なんつーか、別人格ってやつ?すげえな、流石俺の弟だわ」
こ、殺されるかと思った。
底知れない狂気に歪んだ瞳に、この人はやっぱり怖い人かも、と思った。
ドギマギしながらも亜神の言葉に首を傾げる。
「無意識で黒魔力操ってるなんてな!怖い怖い」
いやいや怖いのはこっちのセリフ!と思わず突っ込んだ。
「そうだなぁ。んなら魔物を黒魔力に似たものと思えば良いんじゃね?知力の高いの以外、変に怯える必要はねーよ」
黒魔力と似たものが魔物、なるほど…そういうつもりで魔物を意識すれば良いのか!
「そーそー。じゃあその豚を放すから、試してみろよ」
シュルッと離された瞬間、バウンドボアは勢いよく僕に向かって突進してくる。それをパッと避けると、後ろにあった木にバウンドボアはぶつかってボヨンと弾む。
「ほら、今から集中しろ」
亜神の言葉に従って、僕は黒魔力を操る事を意識する。意識すればするほど、森中に黒魔力は薄く広がっているのを感じた。亜神の身体は、僕の何倍、何万倍?の超濃縮された黒魔力で構成されている。もはや、ブラックホールだ(比喩が合っているか分からないけど)。
その中でも、バウンドボアは薄らと全身に黒魔力が付着しているように見えた。いや、それは浸透していると言うべきか。
そうか、似ている。僕と同じもので染まっているだけなんだ。
「はは、良いねぇその瞳。堪らないなぁ」
亜神が腕を抱え、狂気に満ちた顔で笑った。
バウンドボアは目の前にいるのに、ターゲットを見失ったようにキョロキョロして、去っていく。
出来た!そうかこの感覚!
「サイコー」
ワシワシと僕の頭を撫でる亜神。
「そういやお前、クロとかエヴィーって呼ばれてたな。呼びやすいからクロって呼ぶわ」
ゴロゴロ鳴っていた喉がひくっと止まる。何故その事を知っているの?え、この人どこから僕を見ていたんだ…とゾワッと毛が逆立っだった。す、ストーk
「あはは、クロは見てて飽きないよな!」
そう言って僕を膝に抱えてぽんぽんと撫でる。
ま、まぁ、逆らっても勝てない相手だし…悪い印象を抱かれている訳じゃなさそうだから、まぁ良いか。
いつのまにか日が沈む。死の恐怖のフラッシュバックは、亜神と会った時から一度も起きていない。同じ黒魔力で出来ているからか、亜神の膝の上はとても懐かしくて、心地良く感じた。
ふと気になって亜神に聞いてみる。
『亜神って、もしかして勇者や聖女より強い?』
その質問に亜神がアハッと笑う。
「さぁ?笑。クロが現れるまで気にした事も無かったけど…まぁ、玩具かな」
口が裂けるようにニタァァっと笑う姿にゾクリとした。次に亜神の目を見た事を後悔する。
その目は底知れない狂気を感じた。この人はやっぱり怖い人だ。人を殺すこと愚か甚振ることすら全く抵抗が湧かない人。
それでも、何故か、彼が僕に弟だと親しげに接するのか…僕には分からない。ただ、僕を撫でる手だけは、クローゼル家の…あの人達みたいに優しかった。
***
「ん?」
亜神は自分の膝の上でスゥスゥと寝息を立てる黒猫に気付いた。
「あは、寝る必要なんてないのに。まぁ勇者にボコられたから精神が疲れてんのか、かぁいそー」
クスクスと笑いながら黒猫の体をムニムニと摘む。そして柔らかな黒魔力で、黒猫の全身をすっぽり包んだ。
「なぁ、もしあそこで俺が助けなかったら…クロ、ホントはどうなってたかな」
亜神と瞳が好奇心に似た狂気に光る。
神炎に包まれる直前の少女を助けたのは、亜神の気紛れだった。始めは助けないつもりだった。
クロが大事にしていた少女が死ぬ事で、本能を曝け出したクロが力を開花させる様子を見たかった。
クロの力は開花した。だけどクロの怒りはクロ自身にも向かっていた。自滅する可能性を多少感じ取った亜神は、結局ギリギリの所で少女を助けた。
「まだ足りないなー。お前の持つ全ての闇が見たい」
危うい均衡でありながら、絶妙に成り立っている精神状態。干渉の仕方によっては、どう転ぶか分からない不確定な存在。だからこそ面白い。
早く自分の域まで届け。
そうして、一緒に世界を壊そう。
空を見上げながら、亜神は楽しげな未来を想像するように笑った。
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