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12 助けに来たジョニー
しおりを挟む「噛みつきやがった!」
狩人ゲルマンの腕にジョニーがぶらさがっている。
「フェル走れ逃げろ!」
チェルシーが言う声がきこえる。
「このままじゃみんながつかまっちゃう! フェルが逃げてアーノルドさんに知らせるんだ!」
「このキツネ! 殺してやる!」
ゲルマンが狩猟小刀をとりだす。瞬間、私はゲルマンの膝にタックルしていた。
「いでッ!!」
ジョニーが危ないと思ったらキレちゃったんです。
足元をすくわれたゲルマンが、私の上に転ぶ。重たい体から這い出して、私は立ち上がって走り出した。
「何やってんだゲルマン! 逃げたぞつかまえろ!」
「ひ、膝を逆カックンしてきやがったんだよ!」
「おいガードマン、コイツ(プーのこと)持ってろ。俺が捕まえに行く」
もう一人の男、ギャバンの手がすぐに後ろに伸びてきた。
つかまっちゃう!!
ジョニーが振り返った。風がくるよって。森の奥から、ざあああっと葉鳴りが騒いできて、強風がぶつかってきた。
ブワッ
背中の翅が風につかまる。体が浮く。ギャバンはしげみに引っかかって足止めをくらった。
「クソッ!」
私はみるみる蘇って、風を切って走った。
「ジョニー!!」
ジョニーのあの背中、私に何かを教えようとしている背中だ。
やってきたのは、行き止まりの地形だった。
目の前が尾根になっていて、その斜面は壁のようだ。私には登れそうにない。
「ここに何かあるの?」
尾根の上には、アシ(ススキみたいな植物)が茂っている。そこへ、ジョニーがよじ登っていく。
パキッと枝を踏む音がして私は振り返った。
「とっとと捕まえて、グロリア様にお喜びいただこう」
「ああそうだな」
ギャバンとゲルマンが迫ってくる。私は尾根の方へ後ずさりした。
ぴぎぅ ぴぎぴぎぃ
可愛い声がきこえた。小さな動物たちがジョニーと駆け下りて来た。しましま模様のうりぼうである。まっすぐに走っていっていなくなり、男たちは鼻で笑おうとした、がその時、
フゴオオオオオッ!!!
大地が震動した。巨大な獣が私の真横を通りすぎて二人に激突した。二人は扇風機の前のティッシュみたいにふっとんだ。
――!
私はあぜんと、その動物を見あげた。
山のようなシルエットをしているフェアリーイノシシである。フェアリーってついてるけど、箱馬車より大きくて、毛深くて、目にはメヤニがたくさんついている。
ふごっ ふごっ
フェアリーイノシシが、どろんとした目つきで私をたしかめにくる。
「ありがとうございました」
お礼を言うと、フェアリーイノシシは子供たちを連れて尾根へ帰っていった。
「ジョニーもありがとう。あれ?」
ジョニーは遠く離れた木のところで、こっちをうかがっていた。うりぼうにちょっかいかけて、イノシシの怒りを買っちゃったから、距離をおいていたんだね。
「アネモネお姉さまとポメ、どうしてるかな。別荘へ戻ろう!」
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