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13 お腹をすかせたアネモネ
しおりを挟む「アネモネお姉さま!」
別荘にかけこんだ私は目をみはった。
アネモネお姉さまがいて、ポメがいて、探検家ギルバートがじゅうたんでぐるぐる巻きにしてあった。ウインナーロールみたいに顔と足だけが出ている。
「いやぁ~これが年頃のフェアリーのフェロモンか~♡ いい匂いだなあ~♡」
ニヤけている。やっぱり悪い人だったんだ。でも良かった……お姉さまたちが無事で……!
「フェルおねえたま」
かけよってきたポメの顔をのぞきこむ。
「ポメ平気? ひどいことされなかった?」
「?」
ポメが首をかしげる。貝がミュートになっているのだ。私が手話でたずねると、
ポメはそろえた四本指で左むねをちょん、右むねをちょんした。平気、って意味だ。
「こんなスケベの心の声きかせるわけにいかないから、ミュートにしてあるの」
アネモネお姉さまが言った。
「コイツが忍びこんできた事にポメが気づいたから、待ち伏せして、一発お見舞いしてやったわ」
「一発どころじゃなかったぞ!♡」
アネモネお姉さまはさっきから何をしているんだろう、戸棚をあけては顔をつっこんでいる。
「フェル、食べ物どこにあるか知らない? コイツ殴ったらおなかすいちゃって」
「今日来たばっかりだからわかんない……」
「そうよね」
お姉さまはあきらめて、うすむらさき色の長い髪をはらった。
「みんなは?」
「あっ! あのねっ、大変なの!」
黒魔女グロリアの手下によってみんながつかまってしまったことを私は話した。
▶敵
黒魔女グロリア(ロッジにいる)
狩人ガードマン(チェルシーとプーをかかえてロッジへ)
狩人ギャバン(イノシシにやられて気絶)
狩人ゲルマン(イノシシにやられて気絶)
狩人ゴードン(サッカー対決で気絶)
探検家?ギルバート(別荘にてぐるぐる巻き)
▷人質
長女プリシラ
三女インライ
五女チェルシー
六女プー
「アジトがロッジってわけね」
「うん、たぶんそこにお姉さまたちが捕まってるんだ」
これからどうしよう。
「もしもーし」
とギルバートが話しかけてくる。
「くわしい事を知りたいなら、教えてさしあげましょうか?」
「あんたの言う事なんか信じるわけないでしょ」
「つれないなあ。なんなら小さなお姫様に、心の声をきいてもらってもいいんですぜ」
私たちの会話がきこえないポメは、リビングのはじっこで、ジョニーと遊んでいる。
「そうすりゃ敵のアジトがわかりますぜ」
「黙らないとベランダからミノムシみたいに吊るすわよ」
こんなうそつきの声、ポメにきかせたくない。私もアネモネお姉さまと全く同じ気持ちだった。
だけど、これからどうしたらいいんだろう。
アネモネお姉さまが戸棚から折りたたんだ地図をもってきて、ガラステーブルに大きく広げ始めた。
「助けを呼べるところがないか探してみよう」
「うんっ」
お姉さまとおでこをくっつけるようにして、私も地図をのぞきこんだ。
「今私たちがここにいるでしょ……。森がここまで広がってる……。ここに城がある」
「助けを呼びに行く?」
「と思ったんだけど、これ第十五代モンカエ~ス王の別邸だから古すぎるわ……。助けを求めて走ったところで、誰も住んでないわね…………でも待って、」
アネモネお姉さまは透き通った紫の瞳でジッと何かを考えた。
「そうだ、思い出した。モンカエ~ス王はホシカゲグマが好きだったの」
「ホシカゲグマ?」
「そう。クマのために冬眠用の巣を作ってあげるくらい好きだったらしいわ。だったらどこかに山小屋があるはず。きっとそれがロッジのことだわ」
地図に指を這わせていたお姉さまが、一点をつつく。
「ここだ。クマたちを観察できて、川も近い。この別荘からそう遠くないから、グロリアたちが拠点にするにはうってつけだったんだわ」
アネモネお姉さまがロッジの場所を見つけたみたいだけど、
私はちょっとちがうことを考えていた。
くまって、もうすぐ、冬眠から起きるよね……?
「あーおなかすいた。おなかすくと攻撃的になっちゃうのよね」
私はがばっと顔をあげて、目をまんまるくした。
「そうだ! 黒魔女をやっつける方法、思いついた!」
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