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「森の奥に眠る秘密」
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「また森かよ……異世界に来てから、森率高すぎない?」
朝、ルファが広げた地図と魔力探知玉を見ながら、俺はため息をついた。
「でも、今回は“あの遺跡の奥”を調べるチャンスだよ!覚えてる?幻獣に案内された場所の先、まだちゃんと見てないでしょ?」
「いやいや、そうなんだけどな……最近、俺の“雑貨屋”としてのアイデンティティが迷子になりかけてるんだけど……」
「大丈夫、大丈夫!今回はちゃんと“未来の商品開発に役立ちそうなヒント”ってことで出発!」
「無理やりこじつけてきたな……」
そうして俺たちは、例の遺跡──森の奥に眠る、幻獣が案内してくれた石碑の場所へ再び足を踏み入れた。
静まり返った森の中。木漏れ日と風の音だけが俺たちを包む。
「あのときの護符、まだちゃんと保管してるよな?」
「もちろん。カウンターの“わりと大事なもの入れ”に入れてある」
「わりと、って何だよ。もうちょっと敬意を払ってくれ!」
やがてたどり着いた遺跡は、前回と変わらずそこにあった。けれど、どこか様子が違う。
「石碑の周り……草が綺麗に刈られてる?いや、自然に……いや、誰かが手入れしてる?」
「もしかして、幻獣が?」
「まさか……って、まさか、いるのか?」
目を凝らすと、やっぱりいた。森の守護者みたいな顔をした例の幻獣が、遺跡の上でこっちをじっと見ていた。
「お前、案内人兼管理人みたいな立場なのか?」
幻獣はすっと立ち上がると、遺跡の裏手へと歩き出した。
「うわ、これ完全に“ついてこい”のやつだ……」
「行くしかないね!」
「俺、店主なんだけどな……」
遺跡の奥に入ると、薄暗い通路が続いていた。壁には苔と古びた文様。歩くたびに、足元の石がカツンカツンと音を立てる。
「うわぁ……これ、本格的に“遺跡探検”じゃん。装備整えてくるべきだった……」
「でも見て、この壁!これ、古代文字だよ!少なくとも数百年前……いや、千年単位かも」
「……まさか、そんなに歴史あるとこだったのか?」
さらに進むと、小さな部屋のような空間に出た。そこには、奇妙な道具がいくつも並んでいた。
「これ、なんだ……?道具?祭具?」
ルファが慎重に一つ手に取る。
「すごい、これ、魔力反応ある。しかも、今でもほんの少しだけど生きてる」
「ってことは、これ、動くのか……?」
俺は目の前の箱のようなものに触れてみた。すると、かすかに光が走り、中から“音”が流れ出した。
「――ようこそ、この森へ。我らは、森と町をつなぐ者」
「……しゃべった!?」
「記憶装置だ!これ“音声記録式の案内魔具”だよ!伝承を残すためのもの!」
俺は背筋がぞくっとした。まさか、この森と町が――そんな深い関係で結ばれていたなんて。
「……我らは、森と町をつなぐ者」
その言葉を最後に、箱の光はゆっくりと消えた。
「ルファ……今の、どういう意味だと思う?」
「この場所、ただの遺跡じゃない。“語るため”の空間だったんだよ。記録を残し、誰かに伝えるための」
「ってことは、この森と町は……」
「うん、かつてはきっと、もっと深く関わり合っていた。生活の中で自然と共に在ることが、当たり前の時代だったんだろうね」
遺跡の壁に描かれた文様にも、森と町を結ぶ“橋”のような線が見える。その中心に描かれていたのは──丸い光と、それを囲む輪。
「……これ、もしかして精霊の力?」
「かもしれない。“森の加護”を受けた町だったって記録、今までなかったけど……本当は、こういう形で残ってたんだね」
「こんな大事なこと、なんで町には伝わってなかったんだ……?」
「長い年月の中で、記憶が風化していったんだろうね。護符も壊れていたし、記録装置も埋もれていた。けど、それがこうして今、見つかった」
「まるで“伝えてくれ”って言われてるみたいだな……」
そう呟いた俺の背後で、幻獣が小さく鳴いた。まるで「そうだ」と言っているかのように。
数日後。
俺たちは遺跡で発見した道具や記録を整理し、町の広場で小さな“報告展示会”を開くことになった。
「へぇ~、こんな深い歴史があったとはなぁ!」
「幻獣様が町の守り神だったってことなのかしら?」
「おじいちゃん、昔こんな模様の石を持ってたような……」
集まった町の人たちは、目を輝かせて展示品や資料に見入っていた。
子どもたちは“しゃべる箱”に夢中になり、何度も再生を繰り返しては「我らは~つなぐ者~♪」と歌い出す始末。
「覚え方が軽すぎないか!?」
ルファは笑いながら言う。
「でも、それでいいと思うよ。忘れてた記憶を、今の形で楽しく伝えられたら、それが“未来につなぐ”ってことじゃない?」
「……そうだな。たぶん俺たち、橋を見つけたんじゃなくて“かけ直した”んだな」
「かっこいいこと言った~!」
「おい、からかうな!」
展示の最後には、町の有志が描いた“森と町をつなぐ橋の絵”が飾られた。中央には、幻獣と俺たちの店が並んで描かれていた。
「……ちょっと照れるな、これ」
「店主として、誇っていいと思うよ?」
夕暮れ時、展示会の片付けを終えたあと、幻獣がまた、広場の外れに姿を見せていた。
俺は静かに近づいて、そっと声をかけた。
「お前が教えてくれた秘密、ちゃんとみんなに伝えたぞ」
幻獣は、一歩近づいてきて、俺の手の甲に鼻先を当てた。それはまるで「ありがとう」と言っているようで。
「……いやいや、今度こそ泣きそうになっちまうだろ」
ルファが笑いながら背中を叩く。
「じゃあ山田“森と町の記録雑貨シリーズ”って作ってみようよ!」
「いやいや、それもう完全にテーマパークグッズだろ!」
けれど、きっと作るんだろうな――そう思えるほど、心が満たされていた。
森の奥に眠っていた秘密は、過去だけじゃなく、俺たちの未来も照らしてくれていた。
朝、ルファが広げた地図と魔力探知玉を見ながら、俺はため息をついた。
「でも、今回は“あの遺跡の奥”を調べるチャンスだよ!覚えてる?幻獣に案内された場所の先、まだちゃんと見てないでしょ?」
「いやいや、そうなんだけどな……最近、俺の“雑貨屋”としてのアイデンティティが迷子になりかけてるんだけど……」
「大丈夫、大丈夫!今回はちゃんと“未来の商品開発に役立ちそうなヒント”ってことで出発!」
「無理やりこじつけてきたな……」
そうして俺たちは、例の遺跡──森の奥に眠る、幻獣が案内してくれた石碑の場所へ再び足を踏み入れた。
静まり返った森の中。木漏れ日と風の音だけが俺たちを包む。
「あのときの護符、まだちゃんと保管してるよな?」
「もちろん。カウンターの“わりと大事なもの入れ”に入れてある」
「わりと、って何だよ。もうちょっと敬意を払ってくれ!」
やがてたどり着いた遺跡は、前回と変わらずそこにあった。けれど、どこか様子が違う。
「石碑の周り……草が綺麗に刈られてる?いや、自然に……いや、誰かが手入れしてる?」
「もしかして、幻獣が?」
「まさか……って、まさか、いるのか?」
目を凝らすと、やっぱりいた。森の守護者みたいな顔をした例の幻獣が、遺跡の上でこっちをじっと見ていた。
「お前、案内人兼管理人みたいな立場なのか?」
幻獣はすっと立ち上がると、遺跡の裏手へと歩き出した。
「うわ、これ完全に“ついてこい”のやつだ……」
「行くしかないね!」
「俺、店主なんだけどな……」
遺跡の奥に入ると、薄暗い通路が続いていた。壁には苔と古びた文様。歩くたびに、足元の石がカツンカツンと音を立てる。
「うわぁ……これ、本格的に“遺跡探検”じゃん。装備整えてくるべきだった……」
「でも見て、この壁!これ、古代文字だよ!少なくとも数百年前……いや、千年単位かも」
「……まさか、そんなに歴史あるとこだったのか?」
さらに進むと、小さな部屋のような空間に出た。そこには、奇妙な道具がいくつも並んでいた。
「これ、なんだ……?道具?祭具?」
ルファが慎重に一つ手に取る。
「すごい、これ、魔力反応ある。しかも、今でもほんの少しだけど生きてる」
「ってことは、これ、動くのか……?」
俺は目の前の箱のようなものに触れてみた。すると、かすかに光が走り、中から“音”が流れ出した。
「――ようこそ、この森へ。我らは、森と町をつなぐ者」
「……しゃべった!?」
「記憶装置だ!これ“音声記録式の案内魔具”だよ!伝承を残すためのもの!」
俺は背筋がぞくっとした。まさか、この森と町が――そんな深い関係で結ばれていたなんて。
「……我らは、森と町をつなぐ者」
その言葉を最後に、箱の光はゆっくりと消えた。
「ルファ……今の、どういう意味だと思う?」
「この場所、ただの遺跡じゃない。“語るため”の空間だったんだよ。記録を残し、誰かに伝えるための」
「ってことは、この森と町は……」
「うん、かつてはきっと、もっと深く関わり合っていた。生活の中で自然と共に在ることが、当たり前の時代だったんだろうね」
遺跡の壁に描かれた文様にも、森と町を結ぶ“橋”のような線が見える。その中心に描かれていたのは──丸い光と、それを囲む輪。
「……これ、もしかして精霊の力?」
「かもしれない。“森の加護”を受けた町だったって記録、今までなかったけど……本当は、こういう形で残ってたんだね」
「こんな大事なこと、なんで町には伝わってなかったんだ……?」
「長い年月の中で、記憶が風化していったんだろうね。護符も壊れていたし、記録装置も埋もれていた。けど、それがこうして今、見つかった」
「まるで“伝えてくれ”って言われてるみたいだな……」
そう呟いた俺の背後で、幻獣が小さく鳴いた。まるで「そうだ」と言っているかのように。
数日後。
俺たちは遺跡で発見した道具や記録を整理し、町の広場で小さな“報告展示会”を開くことになった。
「へぇ~、こんな深い歴史があったとはなぁ!」
「幻獣様が町の守り神だったってことなのかしら?」
「おじいちゃん、昔こんな模様の石を持ってたような……」
集まった町の人たちは、目を輝かせて展示品や資料に見入っていた。
子どもたちは“しゃべる箱”に夢中になり、何度も再生を繰り返しては「我らは~つなぐ者~♪」と歌い出す始末。
「覚え方が軽すぎないか!?」
ルファは笑いながら言う。
「でも、それでいいと思うよ。忘れてた記憶を、今の形で楽しく伝えられたら、それが“未来につなぐ”ってことじゃない?」
「……そうだな。たぶん俺たち、橋を見つけたんじゃなくて“かけ直した”んだな」
「かっこいいこと言った~!」
「おい、からかうな!」
展示の最後には、町の有志が描いた“森と町をつなぐ橋の絵”が飾られた。中央には、幻獣と俺たちの店が並んで描かれていた。
「……ちょっと照れるな、これ」
「店主として、誇っていいと思うよ?」
夕暮れ時、展示会の片付けを終えたあと、幻獣がまた、広場の外れに姿を見せていた。
俺は静かに近づいて、そっと声をかけた。
「お前が教えてくれた秘密、ちゃんとみんなに伝えたぞ」
幻獣は、一歩近づいてきて、俺の手の甲に鼻先を当てた。それはまるで「ありがとう」と言っているようで。
「……いやいや、今度こそ泣きそうになっちまうだろ」
ルファが笑いながら背中を叩く。
「じゃあ山田“森と町の記録雑貨シリーズ”って作ってみようよ!」
「いやいや、それもう完全にテーマパークグッズだろ!」
けれど、きっと作るんだろうな――そう思えるほど、心が満たされていた。
森の奥に眠っていた秘密は、過去だけじゃなく、俺たちの未来も照らしてくれていた。
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