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第33話 そして、魔物はいなくなった
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「ジュンくんはね!おっ○い耐性が低すぎると思うんだよ!」
聞き慣れない造語で悪態をつく、セーラと手をつないで、まだ早い、朝のミルフィーユの街中を歩いていた。
ちょっとふくれているのか、セーラは、それきり口をきこうとしない。
黙っていると、セーラは、女神のように美しい。
とくに、今日は、金色の長い髪をツインテールにしてるので、かわいらしさが際立っていた。
しかも、チェック柄のリボンで髪を結び、星をかたどった小さな髪留めで飾っている。
もう、人間離れした愛らしさで、あふれていた。
すべて、イレーヌさん二十歳という、元聖女の手によるものである。
とにかく、この元聖女は、ちび女神をかまいたくて、うずうずしていた。
彼女は、もとより、犬好きであったが、ちいさい子も大好きだった。
小さいと云っても、セーラは、高学年か、見ようによっては、中一くらいだけど。
もっとも、そんなのは、見かけだけのこと。
実際の年齢など、それこそ、天文学的な数値になるのかもしれない。
まあ、知らないし、知りたくもないから、オレも、適当に云ってるだけだ。
というわけで。
むくれているお陰で、深窓の令嬢モードになったセーラと、手をつないで歩いていた。
いずれにせよ。こうして、異世界に同行してくれたのだ。
ちょっと、小学生っぽいけれど、手をつなぐていどのサービスくらい、何ということはない。
「ほんとうに、一匹もおらんのう…」
『第二城壁』から外に出ると、レギンさんが、しみじみとつぶやいた。
「あの魔物の大群は、どこに行ったのかしら?」
「まったくだぜ。城壁の外は、魔物に埋め尽くされてたってのに」
「すさまじいとしか、言いようがありませんね」
小鳥のさえずりさえ聞こえてくる、ミルフィーユの長閑さに、誰もが呆れていた。
ちなみに、ふつうの動物は、オレから逃げ出したりはしない。
オレを、恐れるのは、魔物だけらしい。
「森の奥で、息を潜めているんですニャ」
ライムが、森を、肉球で指して言った。
その森だって、ここから眺めている限りは、おだやかなものだ。
「王都からここまで来る間に、二匹しか魔物を見てないんっすよ」
そのことばに、ぴんと来たのか。
「まあっ!その二匹が、この子たちだったのね!」
そう言って銀狼の頭をなでなでしながら、イレーヌさんは、じっとオレを見た。
何か尋ねたいようだったが、我慢しているらしい。
彼女の豊かな胸を睨みつけているセーラに、気を使ったのだろう。
「それにしても、わざわざ、竜騎士を使って、城門を開けさせるとはな」
「もう、狂っているとしか、思えないっすよ」
「要するに、このミルフィーユを、我々から奪い取りたいのでしょう」
「そうじゃの。あのまま、我らが魔物に殺されていたら、この地は、王国の直轄となったろう。
そうなれば、あとは、宰相の思うがままになっておったろうな」
「自分のものになった時点で、大規模な戦力をつぎ込むつもりだったんだろうぜ。
今までは、わざと戦力を抑えて、採掘も採取もできねえようにしてたくせにな」
__なるほど
よくある話だった。
アニメとか、ラノベとかの話だけど。
「とにかく、ジュンがいるうちに、採掘と採取を再開したほうがいいな」
ケンイチさんの言葉で、みんなの視線が、オレに集まった。
「そうなると、しばらくは、ここに居てもらわねばならんが…」
どうやら、オレに気を遣ってるらしい。
図々しい人たちではないようだ。
短い沈黙の後、セーラが、セシリアを呼んだ。
「聖女セシリア。お前から、ジュンくんにお願いしなさい。
勇者ケンイチは、いずれ、日本に帰還するのです。
失敗したとはいえ、ジュンくんを召喚したのは、お前にほかなりません。
お前が、しっかりと縁を結びなさい」
セーラが、まるで、女神のようなことを言った。
何か、悪いモノにでも憑かれていないか、心配になった。
「は、はい」
聖女セシリアは、とにかく素直。
言われるままに、オレの前に駆けてきたが、なんと云えばいいのか。戸惑っている。
すると、また、セーラが口を開いた。
「今夜から、毎晩エッチなことをしてもいいから、お願いを聞いて…と言えばいいのです」
どうやら、憑き物は落ちたらしい。
ちょっと、ほっとした。
「わ、わかりました!」
__えっ
わかっちゃったの?
しかし、このまま、さっきのセリフを言わせると、オレの人格が疑われかねない。
律儀なセシリアが、復唱する前に、オレから話した。
「今のオレには、行くところもないし、やることもない。
それに、セシリアが、王都を追放されたのは、オレのせいでもある…」
実際には、オレ…というより、『庭付きの一戸建て住宅』のせいだが。
「…もし、よければ、ここで世話になりたいと思ってる。
世話になるからには、ちゃんと働くつもりだ」
__ふっ
いちおう、まっとうなセリフを吐けたようだ。
ここは、清らかに、握手を交わすシーンに違いない。
しかし、差し出した手をすり抜けて、聖女セシリアが抱きついてきた。
そして、感極まったかのように、声を上げた。
「…ジュンくん。ありがとう!」
「「「「「「「!!!!!」」」」」」」」
周囲に、緊張が走った。
いったい、オレを何だと思っているのだろう。
たしかに、多少の脆弱さがある事実は、否定すまい。
しかし、オレの大脳には、元聖女のイレーヌさんのゴージャスな弾力が、刻印されているのだ。
今更、セシリアサイズで、魂の侵食を許すことはないのだ。
なにはともあれ。
こうして、オレは、ミルフィーユという街で、しばらく厄介になることが決まった。
聞き慣れない造語で悪態をつく、セーラと手をつないで、まだ早い、朝のミルフィーユの街中を歩いていた。
ちょっとふくれているのか、セーラは、それきり口をきこうとしない。
黙っていると、セーラは、女神のように美しい。
とくに、今日は、金色の長い髪をツインテールにしてるので、かわいらしさが際立っていた。
しかも、チェック柄のリボンで髪を結び、星をかたどった小さな髪留めで飾っている。
もう、人間離れした愛らしさで、あふれていた。
すべて、イレーヌさん二十歳という、元聖女の手によるものである。
とにかく、この元聖女は、ちび女神をかまいたくて、うずうずしていた。
彼女は、もとより、犬好きであったが、ちいさい子も大好きだった。
小さいと云っても、セーラは、高学年か、見ようによっては、中一くらいだけど。
もっとも、そんなのは、見かけだけのこと。
実際の年齢など、それこそ、天文学的な数値になるのかもしれない。
まあ、知らないし、知りたくもないから、オレも、適当に云ってるだけだ。
というわけで。
むくれているお陰で、深窓の令嬢モードになったセーラと、手をつないで歩いていた。
いずれにせよ。こうして、異世界に同行してくれたのだ。
ちょっと、小学生っぽいけれど、手をつなぐていどのサービスくらい、何ということはない。
「ほんとうに、一匹もおらんのう…」
『第二城壁』から外に出ると、レギンさんが、しみじみとつぶやいた。
「あの魔物の大群は、どこに行ったのかしら?」
「まったくだぜ。城壁の外は、魔物に埋め尽くされてたってのに」
「すさまじいとしか、言いようがありませんね」
小鳥のさえずりさえ聞こえてくる、ミルフィーユの長閑さに、誰もが呆れていた。
ちなみに、ふつうの動物は、オレから逃げ出したりはしない。
オレを、恐れるのは、魔物だけらしい。
「森の奥で、息を潜めているんですニャ」
ライムが、森を、肉球で指して言った。
その森だって、ここから眺めている限りは、おだやかなものだ。
「王都からここまで来る間に、二匹しか魔物を見てないんっすよ」
そのことばに、ぴんと来たのか。
「まあっ!その二匹が、この子たちだったのね!」
そう言って銀狼の頭をなでなでしながら、イレーヌさんは、じっとオレを見た。
何か尋ねたいようだったが、我慢しているらしい。
彼女の豊かな胸を睨みつけているセーラに、気を使ったのだろう。
「それにしても、わざわざ、竜騎士を使って、城門を開けさせるとはな」
「もう、狂っているとしか、思えないっすよ」
「要するに、このミルフィーユを、我々から奪い取りたいのでしょう」
「そうじゃの。あのまま、我らが魔物に殺されていたら、この地は、王国の直轄となったろう。
そうなれば、あとは、宰相の思うがままになっておったろうな」
「自分のものになった時点で、大規模な戦力をつぎ込むつもりだったんだろうぜ。
今までは、わざと戦力を抑えて、採掘も採取もできねえようにしてたくせにな」
__なるほど
よくある話だった。
アニメとか、ラノベとかの話だけど。
「とにかく、ジュンがいるうちに、採掘と採取を再開したほうがいいな」
ケンイチさんの言葉で、みんなの視線が、オレに集まった。
「そうなると、しばらくは、ここに居てもらわねばならんが…」
どうやら、オレに気を遣ってるらしい。
図々しい人たちではないようだ。
短い沈黙の後、セーラが、セシリアを呼んだ。
「聖女セシリア。お前から、ジュンくんにお願いしなさい。
勇者ケンイチは、いずれ、日本に帰還するのです。
失敗したとはいえ、ジュンくんを召喚したのは、お前にほかなりません。
お前が、しっかりと縁を結びなさい」
セーラが、まるで、女神のようなことを言った。
何か、悪いモノにでも憑かれていないか、心配になった。
「は、はい」
聖女セシリアは、とにかく素直。
言われるままに、オレの前に駆けてきたが、なんと云えばいいのか。戸惑っている。
すると、また、セーラが口を開いた。
「今夜から、毎晩エッチなことをしてもいいから、お願いを聞いて…と言えばいいのです」
どうやら、憑き物は落ちたらしい。
ちょっと、ほっとした。
「わ、わかりました!」
__えっ
わかっちゃったの?
しかし、このまま、さっきのセリフを言わせると、オレの人格が疑われかねない。
律儀なセシリアが、復唱する前に、オレから話した。
「今のオレには、行くところもないし、やることもない。
それに、セシリアが、王都を追放されたのは、オレのせいでもある…」
実際には、オレ…というより、『庭付きの一戸建て住宅』のせいだが。
「…もし、よければ、ここで世話になりたいと思ってる。
世話になるからには、ちゃんと働くつもりだ」
__ふっ
いちおう、まっとうなセリフを吐けたようだ。
ここは、清らかに、握手を交わすシーンに違いない。
しかし、差し出した手をすり抜けて、聖女セシリアが抱きついてきた。
そして、感極まったかのように、声を上げた。
「…ジュンくん。ありがとう!」
「「「「「「「!!!!!」」」」」」」」
周囲に、緊張が走った。
いったい、オレを何だと思っているのだろう。
たしかに、多少の脆弱さがある事実は、否定すまい。
しかし、オレの大脳には、元聖女のイレーヌさんのゴージャスな弾力が、刻印されているのだ。
今更、セシリアサイズで、魂の侵食を許すことはないのだ。
なにはともあれ。
こうして、オレは、ミルフィーユという街で、しばらく厄介になることが決まった。
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