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幸せな未来を生きる
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諸々の騒動から4年後。
はしゃぐ甲高い声を聞きながら、私は庭園にある長椅子に腰かけている。
「皇后陛下、毛布をお持ち致しました」
「ありがとう、ポピー。……でも、いいのに」
「なりません! 御身に何かあっては大変でしょう? それに、お一人のお身体ではないのですから」
そうね、と返事して、毛布をお腹にかける。私のお腹には、今、新たな命が宿っている。やっと膨らみが目立ち始めたばかりだが。
普段なら横で口うるさく言うフィンリーは、外せない公務のために今は城外だ。
3日前、出発のときにはこの世の終わりのように悲壮感漂う顔をしていた彼は、予定通りであれば今日帰ってくるはず。
「「おかあさまああああああああああ!」」
2つの黒い頭が弾丸のように走ってくる。
2年前に授かった、可愛い双子の子どもたちだ。両方とも男の子で、瓜二つの顔をしている。名前はフレディとアルフィー。
ああでも、まだ走れるようになったばかりなのに、そんなに走ったら。
そう思ったまさにその時、アルフィーの体が宙に浮く。地面に叩きつけられた衝撃にただ驚いていた彼のぱっちりとした目にみるみるうちに涙が溜まっていく。
溜まった涙が限界を迎えて頬を流れる。大きく口が開いた。ああ、これはダメだ。
やはり次の瞬間、泣き声が城中にこだました。
これは抱っこしに行ってあげるべきかと悩んでいる私の肩を誰かが叩いた。
「アイリス? 私たちの可愛いアルフィーに何があったのです?」
後ろからの声。聞かなくても、私の肩を叩くのなんて、彼くらいのものだけれど。
「おかえりなさい、フィンリー。見ての通りよ、転んだの」
「おとうさま!」
元気なフレディは、フィンリーに飛びつく。フィンリーは息子を抱き上げると両頬にキスを落とす。
「フレディ、元気にしていましたか?」
「うん! ……あのね、アルフィーがね」
大好きなお父様との再会を済ませた彼は、急に兄弟のことが気になったらしい。フィンリーの腕を引いて、アルフィーの方に走っていく。
泣いているアルフィーをフィンリーが抱き上げて、こちらに連れて来る。
穏やかな時間だ。もちろん、こんなにのんびりと過ごせる日はごくわずかで、大半は公務に追われてばかりなのだけれど。
こんな時間を過ごしていると、幸せすぎて死んでしまいたくなる。そう口にするたびにフィンリーは厳しい顔をする。そう、まさにこんな風に……。
「こーら、アイリス。またロクでもないことを考えていましたね?」
「ロクでもないって……。幸せだな、って思ってただけですー」
「もっともっと幸せにする予定なので、覚悟していてもらわないと困ります」
フィンリーは私の頬をムニとつまんで、引っ張る。
「いひゃいえふ」
「あなたがいなくなったら生きていけませんからね? 長生きしてください」
「わかってますよ、旦那さま」
頬をさすりながら、微笑む。
そう、ちゃんとわかっている。
あなたの、意外とお子さまなところも、甘えん坊なところも、情けないところも。カッコいいところも、真面目なところも、やさしいところも。
あなたにちゃんと愛されていることも、愛し愛されることが幸せなことだということも。
過去の想像を軽く超えていって、それも底が見えないほどの幸せを感じている。
だから、昔の私に言ってあげよう。
心配しなくていいよ。疑わなくていいよ。怖がらなくていいよ。
私は、4年先のあなたは、誰より幸せな未来を生きています、と。
はしゃぐ甲高い声を聞きながら、私は庭園にある長椅子に腰かけている。
「皇后陛下、毛布をお持ち致しました」
「ありがとう、ポピー。……でも、いいのに」
「なりません! 御身に何かあっては大変でしょう? それに、お一人のお身体ではないのですから」
そうね、と返事して、毛布をお腹にかける。私のお腹には、今、新たな命が宿っている。やっと膨らみが目立ち始めたばかりだが。
普段なら横で口うるさく言うフィンリーは、外せない公務のために今は城外だ。
3日前、出発のときにはこの世の終わりのように悲壮感漂う顔をしていた彼は、予定通りであれば今日帰ってくるはず。
「「おかあさまああああああああああ!」」
2つの黒い頭が弾丸のように走ってくる。
2年前に授かった、可愛い双子の子どもたちだ。両方とも男の子で、瓜二つの顔をしている。名前はフレディとアルフィー。
ああでも、まだ走れるようになったばかりなのに、そんなに走ったら。
そう思ったまさにその時、アルフィーの体が宙に浮く。地面に叩きつけられた衝撃にただ驚いていた彼のぱっちりとした目にみるみるうちに涙が溜まっていく。
溜まった涙が限界を迎えて頬を流れる。大きく口が開いた。ああ、これはダメだ。
やはり次の瞬間、泣き声が城中にこだました。
これは抱っこしに行ってあげるべきかと悩んでいる私の肩を誰かが叩いた。
「アイリス? 私たちの可愛いアルフィーに何があったのです?」
後ろからの声。聞かなくても、私の肩を叩くのなんて、彼くらいのものだけれど。
「おかえりなさい、フィンリー。見ての通りよ、転んだの」
「おとうさま!」
元気なフレディは、フィンリーに飛びつく。フィンリーは息子を抱き上げると両頬にキスを落とす。
「フレディ、元気にしていましたか?」
「うん! ……あのね、アルフィーがね」
大好きなお父様との再会を済ませた彼は、急に兄弟のことが気になったらしい。フィンリーの腕を引いて、アルフィーの方に走っていく。
泣いているアルフィーをフィンリーが抱き上げて、こちらに連れて来る。
穏やかな時間だ。もちろん、こんなにのんびりと過ごせる日はごくわずかで、大半は公務に追われてばかりなのだけれど。
こんな時間を過ごしていると、幸せすぎて死んでしまいたくなる。そう口にするたびにフィンリーは厳しい顔をする。そう、まさにこんな風に……。
「こーら、アイリス。またロクでもないことを考えていましたね?」
「ロクでもないって……。幸せだな、って思ってただけですー」
「もっともっと幸せにする予定なので、覚悟していてもらわないと困ります」
フィンリーは私の頬をムニとつまんで、引っ張る。
「いひゃいえふ」
「あなたがいなくなったら生きていけませんからね? 長生きしてください」
「わかってますよ、旦那さま」
頬をさすりながら、微笑む。
そう、ちゃんとわかっている。
あなたの、意外とお子さまなところも、甘えん坊なところも、情けないところも。カッコいいところも、真面目なところも、やさしいところも。
あなたにちゃんと愛されていることも、愛し愛されることが幸せなことだということも。
過去の想像を軽く超えていって、それも底が見えないほどの幸せを感じている。
だから、昔の私に言ってあげよう。
心配しなくていいよ。疑わなくていいよ。怖がらなくていいよ。
私は、4年先のあなたは、誰より幸せな未来を生きています、と。
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