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令嬢の本性と幕引き(後編)
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どうやら、グレース様に嫉妬する必要はなかったらしい。不思議な言い回しはされるものの、私とフィンリーの仲を応援してくれているのは十分に伝わった。
そういえば、フィンリーと一緒にいるときの私は、そんなに幸せそうな顔をしているのだろうか。何だか恥ずかしくなってきた。
熱くなってきた頬に手を当てる。冷たい指先にじんわりと熱が伝わってくる。
グレース様にお礼を言わなくては。彼女のおかげで、久しぶりにフィンリーと過ごせそうだし。
「お気遣いありがとうございます、グレース様」
「ああ、やっぱり尊いですわ、私の推しは最高ですわ! 照れ顔をこんな間近で拝めるだなんて……。神様、ありがとうございますわ!」
グレース様が叫んだ。
もはや存在を忘れかけていた周りの令嬢方も完全に引いてしまっている。
「ぐ、グレース様?」
「グレースは前からああだ」
「えっ」
グレース様は頬を赤らめて、恥ずかしそうに微笑んだ。その笑顔はどんな男性でも恋に落ちてしまうのではないかと思われるほど愛らしい。
無礼なフリさえやめてしまえば完璧な令嬢だと思ったのに……。斜め上に飛び抜けた変わり者ぶりに、私は愛想笑いをするしかなかった。
「ご苦労だった。各自部屋に戻るように」
とまどっているようだった令嬢方は、フィンリーの命令で一区切りついたのを察したらしい。各々カーテシーをして応えた。
「最後に、アイリスに手を出すとどうなるか、自らの胸に刻んでおけ」
そう口にしたフィンリーの目は、氷のように冷たかった。
令嬢たちとその侍女がいなくなったのを確認して力を抜く。
「アイリス、お疲れ様でした。怖い思いをさせてしまいましたね」
「大丈夫です。でも……驚きました」
フィンリーは、ああ、と笑った。
「色々と秘密にしてしまいましたからね……。ひとまずはこれで一区切りです」
「ひとまず、なのですか?」
気になる単語が聞こえた気がして、フィンリーの方を見る。一区切り、と言った割に、彼の顔は暗い。
「ええ……結局一番欲しかった証拠は手に入れられないままです」
独り言のような言葉の意味はわからない。フィンリーもこの場で説明するつもりはないらしい。ただ、私が知らないところで何かが起こっていることだけは、何となくわかった。
「でも、大丈夫ですよ。あなたのことは必ず守ります。……ついでにこの国も」
ついで、という言葉に小さくふき出す。何だかんだ彼がこの国のことを大切に思っていることは知っている。変なところで強がって、不思議な人だ。
「じゃあ、フィンリーのことは私が守ってもいいですか?」
「……もちろんです」
返事までの間に少し間があったのは、多分照れているせいだ。前よりもフィンリーのことを理解できているような気がして、面はゆい。
こうやって、少しずつあなたのことを知っていけたらいいな。密かにそう思う。この願いはきっと叶うことだろう。だって、これからずっと一緒にいられるのだから。
【おまけ】
「ちなみに陛下、そちらの側仕えの君をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「エドか? 許す、好きにしろ」
「へ! なんで自分なんすか!?」
「兄よ、陛下とアイリス様が愛を育むお時間を確保するためにせいぜい頑張りなさい」
「ポピー……お前、兄ちゃんに対して冷たすぎるっすよ」
「ついでにグレース様にアタックかけてきてはいかがですか? 兄ごときにそんな度胸があれば、ですが」
「ポピー!? 自分、何か悪いことしたっすかぁぁぁ!?」
「ふむ、アタック……できる暇があれば良いですわね? 書類が全て捌けたらお茶しながら聞いて差し上げますわ」
「えっ!? あ!? えっっ!?!?」
「ふん……可愛い孫娘に手を出したら……国法変えてでも八つ裂きにしてやるからな……!」
そういえば、フィンリーと一緒にいるときの私は、そんなに幸せそうな顔をしているのだろうか。何だか恥ずかしくなってきた。
熱くなってきた頬に手を当てる。冷たい指先にじんわりと熱が伝わってくる。
グレース様にお礼を言わなくては。彼女のおかげで、久しぶりにフィンリーと過ごせそうだし。
「お気遣いありがとうございます、グレース様」
「ああ、やっぱり尊いですわ、私の推しは最高ですわ! 照れ顔をこんな間近で拝めるだなんて……。神様、ありがとうございますわ!」
グレース様が叫んだ。
もはや存在を忘れかけていた周りの令嬢方も完全に引いてしまっている。
「ぐ、グレース様?」
「グレースは前からああだ」
「えっ」
グレース様は頬を赤らめて、恥ずかしそうに微笑んだ。その笑顔はどんな男性でも恋に落ちてしまうのではないかと思われるほど愛らしい。
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「ご苦労だった。各自部屋に戻るように」
とまどっているようだった令嬢方は、フィンリーの命令で一区切りついたのを察したらしい。各々カーテシーをして応えた。
「最後に、アイリスに手を出すとどうなるか、自らの胸に刻んでおけ」
そう口にしたフィンリーの目は、氷のように冷たかった。
令嬢たちとその侍女がいなくなったのを確認して力を抜く。
「アイリス、お疲れ様でした。怖い思いをさせてしまいましたね」
「大丈夫です。でも……驚きました」
フィンリーは、ああ、と笑った。
「色々と秘密にしてしまいましたからね……。ひとまずはこれで一区切りです」
「ひとまず、なのですか?」
気になる単語が聞こえた気がして、フィンリーの方を見る。一区切り、と言った割に、彼の顔は暗い。
「ええ……結局一番欲しかった証拠は手に入れられないままです」
独り言のような言葉の意味はわからない。フィンリーもこの場で説明するつもりはないらしい。ただ、私が知らないところで何かが起こっていることだけは、何となくわかった。
「でも、大丈夫ですよ。あなたのことは必ず守ります。……ついでにこの国も」
ついで、という言葉に小さくふき出す。何だかんだ彼がこの国のことを大切に思っていることは知っている。変なところで強がって、不思議な人だ。
「じゃあ、フィンリーのことは私が守ってもいいですか?」
「……もちろんです」
返事までの間に少し間があったのは、多分照れているせいだ。前よりもフィンリーのことを理解できているような気がして、面はゆい。
こうやって、少しずつあなたのことを知っていけたらいいな。密かにそう思う。この願いはきっと叶うことだろう。だって、これからずっと一緒にいられるのだから。
【おまけ】
「ちなみに陛下、そちらの側仕えの君をお借りしてもよろしいでしょうか?」
「エドか? 許す、好きにしろ」
「へ! なんで自分なんすか!?」
「兄よ、陛下とアイリス様が愛を育むお時間を確保するためにせいぜい頑張りなさい」
「ポピー……お前、兄ちゃんに対して冷たすぎるっすよ」
「ついでにグレース様にアタックかけてきてはいかがですか? 兄ごときにそんな度胸があれば、ですが」
「ポピー!? 自分、何か悪いことしたっすかぁぁぁ!?」
「ふむ、アタック……できる暇があれば良いですわね? 書類が全て捌けたらお茶しながら聞いて差し上げますわ」
「えっ!? あ!? えっっ!?!?」
「ふん……可愛い孫娘に手を出したら……国法変えてでも八つ裂きにしてやるからな……!」
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