ーAUTUMNー

中村翔

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大雀蜂は3度刺す

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ひまり「クロエ・・・?」

 クロエの視界をハイジャックする。
 ぱらぱら......。
 国語の教科書が見える。

 クロエの聴覚を奪い取る。
 びゅおー--......。
 屋上の風の音がする。

 クロエの・・・痛覚を肩代わりする。
 じくり......。
 クロエの胸のあたりに痛みが走る。

 ひまり「ク、クロエ・・・??」

 胸に刺さった”鍵”がひまりの手からこぼれ落ちた。


 クロエは・・・クロエは死んだんだ。


 ひまり「ひぐ......あんまりだよぅ......ひぐっ...ひぐっ......」

 ぎゅっ

 ひまりの背中から手が伸びてきた。

 クロエ「ひまねえ?なに泣いてんの・・・?」
 ひまり「だって・・・だってクロエが・・・。」

 背中の手を上に伸ばして伸びをした。

 クロエ「ん~~~!よく寝た~・・・。」
 ひまり「だいじょうぶ・・・なの?」

 伸びをした手をそのままひまりのあたまにおいた。

 クロエ「ん?大丈夫みたい。なんかとてつもなく痛かった気がするけど......」

 鍵の刺さっていた場所をさぐる。
 傷は無くなっていた。
 そもそもそこに傷があったかすらわからない。

 ざざー......『大雀蜂は3度刺す』......ざーー-......

 そういえばクロエの能力は・・・。

 ひまり「なんかおなか空きましたね。帰ろうか?クロエ。」
 クロエ「私はおなかなんて空いてないんだけどなー?ひまねえは超絶美少女なのによく食べるよね?」

 人差し指をたてて横にふった。

 ひまり「ちっちっちっ!食べた分はエネルギーなので!」

 3つある特技の一つ・・・カロリーのエネルギーを大気中に発散できる。
 大気に与えたエネルギーは酸素に返還される、秘儀!人間光合成。

 クロエ「・・・HEY!SIRI!ひまねえの妄想癖の治し方を検索!」
 SIRI「3798件ヒットしました。一番トレンドな検索は・・・ひまりの妹日記☆クロエを観察!のサイトよりひまりが妄想する理由から......。」
 クロエ「・・・もういいです......。」
 ひまり「ひまりが妄想する理由はね......。」
 クロエ「だからいいって......。」

 西側の校庭から上を見上げる女の子。
 手には血の付いた鍵が握られていた。
 ぎゅっ・・・!

「その能力で生き残ったのね。」
「ええ。三回限定で生き返ることのできる能力。何より恐ろしいのは三度見られただけでも死んでしまうというもう一つの能力。」

 女の子の後ろ・・・影から別の女の子が顔を出した。
 手に握られた紙にはそれぞれ

『折れてる剣は自分の分身を生み出す能力。※ただし常に一体存在する状態分身へのダメージは半分に折られて自分に返る』

『影の都は他の人、または物の影に入ることのできる能力。ただし人→もの もの→人へは直接渡れないので一旦陰から出てね☆』
 と書かれている。

「先生のかたき・・・。」

 クロエに敵意を向けて立ち尽くしていた。

 ひまり「クロエは宿題は終わりましたか?」

 時刻は午後8時。勉強が残っていたとしたら私なら迷わず明日に回す。

 クロエ「終わったよ?ひまねえは?」

 すたすた......ぺらっ!

 ひまり「ほほう。お姉ちゃんとしてはこれが全部正解なのか確かめる必要がありますね......写させてください!」

 クロエ「ひまねえのそういう素直な所はいいと思う。写していいよ。」

 ノートの端から端まで写させてもらった。
 あってる・・・あってる・・・うん、あってる。

 ひまり「クロエ全問正解です!さすがとしか言いようがありません!おかげで宿題をしなくて済みましたぁ~・・・」

 クロエの答えがあってなかったことはない。念のためというか・・・計算式を見てたら脳味噌さんが勝手に解いてしまう。
 3つある特技の一つ。計算式だけでも見たら暗算できてしまう。自動的に。
 この特技は買い物をしていたら自然と身につく便利な特技。

「ひまり!お風呂にはいっちゃいなさい。」

 母親の大声が響く。

 ひまり「クーロエ!一緒に入りましょう!」

 クロエはイヤホンでYouTubeを見ながら人差し指でバツマークをつくっている。
 むー。考えるに姉妹で風呂に入ったのは小学生の頃が最後だった気がする。
 がらがら。

 ざぱーん!
 風呂桶からお湯を汲み取って頭にかける。
 ボディーソープを背中を擦る”あれ”に含ませわしゃわしゃと泡立てる。
 わしゃわしゃ・・・わしゃわしゃ・・・
 クロエの視界をハイジャックする。

 !!!。

 クロエもそういうお年頃っていうことですか・・・。
 頭を洗いながらその光景に注視する。
 わしゃわしゃ。
 やめよう・・・変な気分になってきた。
 ざぱーん!

 ひまり「きもちよかったー......。」
 クロエ「じゃ、私も入ってこようかな?」

 がちゃり。

 そういえば能力説明書の文体ってちょっと特殊だったかな?クロエの能力説明書はどうなんだろう・・・?
 クロエの机の引き出しを開いた。

 ひまり「ふむむ......文体もだけど筆跡も微妙に違う......」
 ぺらっ。
 ?。封筒と紙の間から何か出てきた。
『拝啓。クロエさま。あなたのことをずっと見ていました。』

 おっと、こいつぁ見ちゃいけないやつですね・・・。
 ひまりはそっとクロエの引き出しに手紙を戻しておいた。

 キィキィ......
『ここにはふたり・・・。』
 クロエ&ひまり宅の目の前の公園のブランコで少女がつぶやいた。


 ちゅんちゅん・・・
 朝―――ひまりとクロエが登校してきた。

 ???「ひーまり!」
 ひまり「智夜ちよちゃん!おひさしぶりです!その後病状などはいかがでしたか?」
 智夜「あいかわらずだね!まあなんというか・・・」

 手を突き出してテテーン!と言いながら手を開いた。
『祝!完治記念!』と書かれたくす玉が出てきた。

 ひまり「わぁ・・・すごいですね!くす玉さんかわいいです。」
 智夜「そそ。徹夜したよ。まあ完治したってことで。」

 下駄箱から3階に上がると一つの席の上に花が供えられていた。
 その席の少女は蟋蟀 星霜せいそう。委員長をやっていた人だった。
 この名前で女の子という・・・なんとも恵まれない娘だった。
 しかし・・・しかしまって。この娘が亡くなったとか、実は虐められていたとかいう話は聞いてない。

 ひまり(智夜ちゃん、蟋蟀くん死んじゃったの?)
 星霜のことを呼ぶときはくんで、苗字呼びなのだ。(ひまり限定)
 智夜(知らないけど・・・私病気してたし)


「星霜ねー?飛び降りたってホント?」
「あ~ねー?学校じゃ高さ足りないからってわざわざ校外のビルまで行って飛び降りたらしいよー?」


 蟋蟀くんに悪い噂は聞かなかった・・・。ただ兄と名前を入れ替えたかったとは言っていたけど・・・。
 目の前の席に飾られた一輪の花を見ながら一日を過ごした。

 智夜 (?)
 カバンの中に何かある。


『能力代理人より』
 授業が終わるころ、智夜の姿は教室にはなかった。

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