ーAUTUMNー

中村翔

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魔の13階段

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 ひまり「智夜ちゃん・・・?」

 気付いた時にはもういなくなっていた。

 放課後ー--保健室の方に探しに行った。

「1・・・2・・・3・・・。」

 女の子が階段を数えて登っている。

「13!あれー?13っておかしくない?」
 女教師「まだのこってたのか―?早く帰らないとかくれんぼで最後まで見つけてもらえずに行方不明になった・・・」
「女の子の幽霊が出るんでしょ?知ってる。それよりさー。あれ?いない・・・。」

 女の子の手には封筒が握られていた。

「ん?『能力代理人より』?なんじゃそりゃ?」

 がさがさ......

『YOUの能力の魔の13階段あれっ?一つ多くね?は両手に同じものを持った時それを一つ増やしまーすw』

「な、なにこの『遊戯ボーイ』とか言ってきそうな手紙は・・・?」

 両手のものを増やす??どゆこと??

「おおーい!小糸こいとー!」

 クラスメイトの燈子とうこだ。

 小糸「燈子!魔の13階段ホントだったよ!ほら・・・この階段もそうだけど学校の約半分がそうだったよ?」

 手元にある自作の歩く18禁・・・のノートの中に正の字が規則性正しく書き連ねてある。

 燈子「ふむ。それってもしかしてだけど一段目を数えなかったとかじゃないよね?」
 小糸「どういうこと?」
 燈子「まずここに階段があります。この階段を一つ登った時かもしくは上る前を一段目にするかだよ。」

 ???。どういうことだってばよ・・・。

 小糸「そうだ!そういえばこんなものがぽっけに入ってたよ?」

『能力代理人より』

 燈子「それって今噂のあれでしょ?刺された幻覚見た人が持ってるっていう・・・。」
 刺されて・・・刺されたっけか?
 小糸「燈子は持ってないの?説明書。」

 ポケットから一枚紙を取り出すと小糸に差し出した。

『我が能力の発現それを示すワームホールどこでもキッチンはキッチンを目の前の空間に出現させる能力!ふはははー』

 燈子「なんか隣のクラスの子から押し付けられちゃった。気味が悪いんで捨てといてくれませんか?って。」
 小糸「捨てたら渡した人が怒りそうではあるよね・・・?」
 私なら一周回ってシュン...ってなりそう。
 小糸「どうするの?手書きだし気味が悪いのは確かだよね・・・。」
 燈子「破り捨てたらいっそのことすっきりしそう。」

 ひどい・・・書いた人がかわいそう・・・。

 小糸「破り捨てるなら燃やそうか?焼却炉があったはず。清掃のおじさんにいったら燃やしてくれそう。」
 燈子「燃やす?じゃ、任せた!」

 強引に紙だけ押し付けると意気揚々と去っていった。

 小糸 (私が提案したけど......そうだ。私の能力ってあれっ?一つ多くね?だよね?)

 自分のともう一つのを両手に持って念じる。

 小糸 (むむむ...)

 ひら
 ぴとっ

 小糸「なんか降ってきた。なになに......」

『覚醒せしめんその能力リchickenター andンeggは物事の先に起きた出来事と後に起きた出来事の順番を入れ替える。※ただし入れ替えられるのは一個づつ』

 増えた・・・?でも元の紙に書いてあることと違うけど......?

 燈子「ふーん。これが小糸の能力。ふーん?」

 何か言いたげなのは小糸だけなの?ということか。
 ぴらっ
 手元の紙を差し出して言った。

 小糸「これあげる。私2個も能力もってても意味ないし。」
 燈子「ん?くれるの?いやーそんなツモリハナカッタンダケドネー。」

 デスヨネー。

 燈子「ってか知ってる?”私にとっては”隣のクラスの楠根さんが学校サボタージュしたって。」

 サボタージュ=サボる

 小糸「楠根さん?今朝はいたけど・・・途中からサボってるっていうこと?」
 燈子「そうそう!なんか煙のようにいなくなったんだって。」

 煙と言ったら

 小糸「ねえねえ。この紙燃やす?」

 さっき一枚増える前に二枚あった方の一枚。
 つまり燈子が持ってきたほうを指さして言った。

 燈子「燃やすしかないよ。だって......」

 びゅお―――!
 突然の突風が吹いた。

 小糸&燈子「きゃっ!!」

 手にした紙の一枚が風で飛ばされていってしまった・・・。

 燈子「小糸!大丈夫??」
 小糸「大丈・・・やばっ、私の持ってた紙片方飛んでった・・・」

 二階から小糸と燈子がわちゃわちゃ言ってるのが聞こえる。
 ちょうど同じ校舎の端っこ......保健室の方に飛んでいった紙はあった。

 ひまり「せんせー!智夜ちゃん知らない??」
 保険医「智夜ちゃんっていうのはひまりちゃんと同じクラスの?それなら熱があったから帰らせたわよ?担任の先生から聞いてない?」

『きゃははw』

 ベッドの方から豪快な笑い声が聞こえる。

『やばいよねー??』
『42°って言ったら風邪ってよりインフルじゃんよwww』
『きゃははw......』

 保険医「ごめんねー?騒がしくっても特に体調悪い娘がいないから具合が悪い娘は追い出せないんだ・・・。」
 ひまり「いえ、智夜ちゃんはそんなに悪かったんですか?心配です・・・。」
 保険医「ううん。なんか自分で計って熱あるって報告受けただけだからまだインフルだとは決まってはないね・・・?」
 ひまり「やっぱりお見舞いって控えた方がいいんでしょうか?」
 保険医「そうだねー。42って言ったら結構苦しいだろうから帰るのを手伝った方がよかったんだけどもう帰っちゃったからね。熱が下がって学校来るまでは放置してあげてね?どうしてもお見舞い行くのだったら大人数は病気的にも周り的にも迷惑だから行くなら一人でね?」

 ひまり「わかったー!」ハグッ
 保険医「はいはいハグハグ。」

 ハグして立ち去った。

「ねーねー?今のパグだよね。」
「ああー。ひまりちゃん?かわいいよね。パグかは知らんけど。」
「ひまっ......わぷっ!」

 ギャルAの目のあたりに『能力説明書』が飛んできた。

「ふっwwwざまあwww」
「なんなんこれ・・・ワームホールどこでもキッチン?中二病か!?」べしっ!

 ギャルAが地面に紙を叩きつけた。

 保険医『あんまり騒いでるなら元気だし追い出すよー?』

 がらがら!

「せんせーおなか減った!」
 保険医「先生はおやつではありません。波崖なみがけさんたち!ほら、具合悪い娘が来たから出ていく。ベッドは食蜂しょくほうさんに譲ってね。」

『はぁーい。』

 食蜂「おなか減った・・・布団って料理できないの......?」

 布団の隙間から説明書が出てくる。

『ワームホールどこでもキッチン』
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