アーサー王と100本の剣伝説

中村翔

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夢はあるかと聞かれたことがある。
ないと言うと
なんでもいい。いえ。と言われた
俺は花が好きだっただからそう花畑で咲いていたあの黄色の花
あれを超える笑顔をみせる嫁・・・
いや、違った
あんなもの比にならないほどの笑顔の花で飾られた護るべき存在を見つけたい
ーーーそんなの簡単でしょ?
あなたも騎士になればいい
私の騎士道に笑顔を、
誰も見たことのないような大輪のひまわりを咲かせてみせるってそう嘘ぶけばいい
だってあなたは正を額に貼り付けたような人だもの
どんな嘘だって本当にしてしまうでしょ?
だから、ね。ーーー

「アームドパルトはそんな人ではありません。
アームドパルトなら先に元王に会っておられると思いますが、彼ほど真面目な人間を見た事がありません。アーサー、聞き間違いではなく?」
アーサーは聖剣を鞘から出してしまいだしてからまたしまうという落ち着かない様子で上の空で話していた。
「そうは言うけれど私まだ一度しか会った事ないからねー?」
聖剣がチンっと金属音を鳴らしひと段落ついた、という感じでこちらを向いた。
「あの予言の夢ですか...。確かに元王に王と認められ国の誰もがアーサー王の名を知っているというのは現状です。ですが伝説と言うには程遠いかと。」
アーサーは聖剣を見て
「それはあれだよ?名剣の伝説は三日以内に完成するものだってパーシバルさん言ってました。」
「でもそれは夢の話ですよね?それに」
『聖剣を引き抜いてから1週間たってもなにもない』
二人の声が重なり先の見えない長い廊下に響き渡った。
「でもパーシバルはこうも言いました。
『剣は名前を付けてから三日以内に』って。」
ちなみにこの剣は銘が掘られてる様子もなく
元王も銘は覚えておらずただ
『聖剣は伝説の中に名を残すと云われる。ただ聖剣の前の持ち主については古すぎるのか、伝承、伝説の類いはあるが名がでてくる話はない』だそうだ。
だからアーサーは聖剣に名をつけず多分ないだろうが呼ぶ時は剣と。そう呼ぶことにしたそうだ。
「ね?名前を付けなければ伝説ははじまらないし終わらない。ただのアーサーって言う剣が切れる王様ってわけですよ。」
あたまは切れませんがねっ。と言いたそうな顔で諭してみせた。
アーサー曰く聖剣は聖剣であることに意味がある。
「つまり永遠に聖剣と添い遂げたい、と。」
アーサーはそうですよ?と笑ってみせた。
が、アーサーの顔が一瞬で強ばった。
「やはりアーサーでも王は怖いというわけですかやはり子供・・・」
「アームドパルトってどんな人なんだろう」
そうか。いま元王とはなしているのは・・・。
王様。アーサーさまとパーシバル殿がおいでになりました
メイドが王の間に招き入れ元王に耳打ちした。
これは国にもよるかも知れないが王の間の構造上の作りのせいか何を耳打ちしたかハッキリと聞き取れる。
アーサーはこういう場では決して笑ったりしないという心得を持っているが、最初にこの場面に遭遇してしばらくは食事のたびに吹き出していた。(元王と食事が一緒のため)
我々が膝をつき頭は伏せたままアームドパルトとの会話にこっそりと耳を傾ける。
『ではアームドパルトよ。そなたの故郷の村にも聖剣の伝説がありアーサーの抜いた剣とは違うものだというのか。』
「YES。王よ、それだけではなく任務を経て行く場所にも同じような伝説が。それも一つや二つではありません。この大陸中に少なくとも数十はあるかと。」
(!!!)
アーサーは思わず話に割って入ろうとした、が
王たる者民の話を最後まで聞いて判断せよ。
とメイドも言っていたのでパーシバル割って入れ!とテレパシーを送ってみたがアーサーにはまだその能力は備わってなかった。
何度か振り返るかとも考えたが元王の威厳はそれを許さない。元王が威圧しているのはパーシバルやアームドパルトそしてメイドたちにであり、アーサーではなかったがそれ程威厳猛々しいということなのだろう。
「アーサー。久しぶりの謁見で足がつってしまったか。足を崩すがよい。」
実際足がつってないといえば嘘になるが。
「いいえ。王よ、アーサーはアームドパルトとの会話に興味があるようです。私とアーサーも同じような話を知っております。」
パーシバルが助け舟を出した。
「ほお。その話は我も興味があるな。パーシバルはともかくアーサー王は城からでたのがつい一週間前が初めてだったとそうきいたが?」
「パーシバル話してくれるな?」
「はっ、我が王よ。私にも信じ難い事実なのですがアーサーには夢で予言をするという力があるかもしれません。会ったことのないアームドパルトの名を知っていましたなので、」
「アームドパルトってその人じゃないよね?
私が見たアームドパルトはもう少し若かったけど。」
「アームドパルトは家名だ。我の身にもしものことがあったなら息子に継がせることになるだろう。もしもはないと信じたいが。」
「うむ。つまりアーサーは予言の夢を持ちその夢には未来で家名を継いだアームドパルトの息子がいたと。ふむ、それで?」
「未来の私にこう言われたそうです。
『名剣で伝説を作らなければ世界が滅ぶ』と。
そして名剣は世界に数十、数百存在するとも。
そして名剣はアーサーにしか抜けずアーサーにしか浄化できず。とも。」
アームドパルトが笑ってみせた。
「なら何故今まで何も無かったのか?とうぜんの疑問だよなあ?」
「それは」
アーサーが遮った。
「それは私の推測ですが、今まで大丈夫だった。ではなく今までだったから大丈夫だったということです。ひとつ。今までどの剣も抜かれなかったそれで均衡がたもてていた、ふたつ。今まで少なくとも100年。それほど長い時間異質な力があったということはいつ耐えられなくなるかわからない、ということです。つまり私が剣を抜いたことにより均衡が崩れ、溜まりに溜まっていた力の波が押し寄せてきた。というのが正しいと思います。」
『アーサーよ。おまえはどうするべきだと?』
「私は、」
アーサーの顔から陰りが見えた。
パーシバルが助け舟をだそうかとも考えたが、アーサーの顔を見て辞めた。
「城以外知らずに死ぬならそれもいいかと思います。ですが王は民を守る者。民は城には居ません。ならば民の声を聞きに行くのも王の務め。私は旅をすることを望みます。」
アームドパルトは最後のひと噛みと言わんばかりに
「民の声ならば我々騎士が聞いて参ります。
アーサーは王として玉座についていただきたく。」
「民の声すら人伝で聞いたのでは王として下の下。王の顔が見えないなら民も不安になります。なので私は自ら出向き民を救いたいのです。」
元王は軽く咳払いをした。
『ならばアーサーに王の試練を与えよう。
これをクリアできたら真の王と認めよう。
たった今アームドパルトの村に出向いていた調査兵から伝令があった。
「この地にも聖剣あり。兵士にも抜けず。」
だそうだ。アーサーよ。この剣を無事抜いてくるといい。それをもって試練とする。
期間は村について3日。アームドパルト、パーシバル。証人としてこの二人をつれていくことだ。いいな?』
「はっ。我が王よ。早速馬車を用意いたします。いくぞ。パーシバル。」
アームドパルトにつづきパーシバルが退出した。
アーサーはいつのまにか居なくなっていた。
アームドパルトの故郷は城下町の門から徒歩で3日馬車で一日半、つまりいそげば1週間で帰ってこられるということ。
されど1週間。用意に一日かかります。
つまり明日から一週間アーサーたちはいないということ。それに気づいたのは次の日のことだった。だがアーサーは違った。
「アーサーよ...その格好でゆくのですか!?」
アーサーはいつもの格好。それに鎧を足して2で割ったような格好。
「パーシバル、アーサーはふざけているのか?
騎士なら騎士らしく、王なら王の格好というものがあるだろう。」
アーサーはフードを被りこう言った。
「でも騎士筆頭のパーシバルとアームドパルトが徒歩3日もかかる場所に行ったってわかったら攻め込んでくれっていってるようなものでしょ?だからあえてファッションで鎧を着ている令嬢になるってわけ。」
「お金持ちの令嬢に騎士の護衛がつくことは珍しくない・・・。さらにフードで人相を誤魔化す、と。」
アーサーは何も言わず馬車に近寄り
「そういうことだから。おじさんもそういうことでよろしくお願いしますね!」
馬車の御者に気さくに話しかけて荷物を積み込んでいた。
馬車が御者の合図で走り出し、アーサー達は一日半ほぼ無言で乗り切った。
というのも道が酷くて喋ると舌を噛み死にます。と、御者とパーシバルがいったのでガクガクと揺られながら馬車の旅にでたのである。
一日半も何も喋ってなかったアーサーはアームドパルトとパーシバルを質問責めにしていた。
まずアームドパルトに直撃した。
するとパーシバルの方が詳しいというので
次にパーシバルに突撃して
困り顔でアームドパルトの故郷だからアームドパルトにきいてくれといわれ
結局その日は宿をとりアーサーの弾丸口撃を2人でいなしていたらしい。
次の日の昼アームドパルトはついに糸がプツーンと切れ
「アーサー!!!!何が聞きたいんだ!!全部答えてやるからひとつづつはなせ!!!!」
パーシバル曰く、ここまで大声を出したアームドパルトは最初で最後だったらしい。
だがアーサーも負けてなかった。
アームドパルトに対する質問責め、いや拷問は夜遅くまで続いたという。
アーサーは朝が弱かった。しかしその日の朝は一番早起きのパーシバルの一時間前に起きれた
アームドパルトから得られた情報は
王都と村を比べておかしな点は特になかったが敢えて言うなら剣が刺さってる木があるのは森の中だということ
次にアームドパルトの奥さんの名前はマーレルワ。ルワと呼ぶことが多いということ。
ちなみに得意料理はグラタンらしい。アームドパルトも舌を巻く旨さだとか。さらにーーー
そんなこんなでパーシバルが起きてくる少し前までアームドパルトの言っていたことを整理していた。それも終わり朝ご飯に取り掛かっていた。もちろん2人の分まで。アームドパルトが朝食は軽い物がいい、パンなんかいいな。といっていたので焼いたベーコンにスクランブルエッグ、そしてパンを用意した。
焼き上がると同時に2人が起きてきた。
昨晩のうちに村に到着して宿を取っていたので宿の2階から降りてきたことになる。
「・・・・・」
「・・・・・」
昨夜も夜遅かったこともありふたりは特にアーサーに触れずに朝食を平らげた。
「ごちそうさま。しかし朝食付きで1人銅貨2枚は安いですね。アームドパルトは家に帰るとして今日明日も泊まっていいかもしれません」
「そうですね。明日の朝ご飯はたのしみにしてます。パーシバル。」
アームドパルトは村に詳しいという老人の所に案内して一旦家に戻っていった。
「で、御老人。森にある剣について知っていることは?」
おじいさんは椅子に座り
「その前に貴方は騎士のように見えます。もちろん剣について知っている事は話しましょう。ですがこちらもおねがいがあります。聞いてくれるならなんでも話しましょう。」
「できることはします。無理な事なら他を当たります。聞かせてください。」
「実はその剣のある場所で相引きをするのが若者の間で流行っているのですが、困ったことに帰って来る時どちらかが先に帰ってしまい、片方が探し回るハメになるということが起きているのです。その原因を調査していただけませんか?」
「分かりました。では早速いってきますので。」
アームドパルトの話によると森は村の奥にあるらしい。そこまでの道のりをアーサーが案内した。
「アーサー?この村にきたことが?」
「アームドパルトの話から推測しただけです。アームドパルトの家から近いらしいので。」
アーサーが質問責めをしていたのは無駄ではなかったらしい。
森の中に入った後もまるでいつもここを通っていたかのように案内してみせた。
「ありました。多分この木のどこかに刺さってるはず。」
アーサーの言う通りその大木の根に一振りの剣が刺さっていた。
「かなり大きな剣ですね。待ってくださいアーサー。元王からアーサーは最後に抜くようにと言われています。抜くなら私のあとで。」
パーシバルが剣に手をかけると思いっきり力強く引き抜こうとした。
しかしパーシバルがいくら力をいれても、左右に動かして抜こうとしても、どうやっても抜けなかった。
その横でアーサーは周りを見渡したり座って休んでいたが、やがてパーシバルが音を上げた。
「パーシバルは休んでいてください。つぎは私が抜きます。」
アーサーは剣に手をかけ目を閉じた。
アーサーが手を掛けて何分たったかはわからない。もしかすると1分もたっていなかったかもしれない。アーサーはふと呟いた。
「貴方の名前は、ファルへネス!我が名はアーサー!若き王アーサー!」
そう言うとアーサーは剣を触れる手に力を入れた。パーシバルはその時の事をこう話す。
まるで地面が揺れているように感じた。アーサーに周りの空気が集まっているような感じがした。と。
アーサーが力を入れると剣はその姿を表した。
アーサーの肩まであるその剣をアーサーは軽々と引き抜いたのだ。
と、同時にアーサーはその剣を投げた。
その先に何かあったらしくガシャン!と大きな音を立てた。
「これは、鏡?」
そこには大きな鏡があり、砕けて割れていた。
アーサーはやっぱりと言う顔でそれを見つめていた。
「つまりこういう事ですよ。」
ここで相引きしてるカップルを狙って片方に鏡を向けて相手が側にいると錯覚させて森の出口近くまで誘導した。
で、森からでたらいつの間にか居なくなり相手が帰ったと思わせる。
でもう片方はいつの間にか相手が居なくなって探すハメになる。
「でもすぐにばれませんか?鏡は自分を映してるだけですし。そもそもなにが目的なのかが分かりません」
それは霧のせいでしょう。霧と夜の闇に紛れて実行していた。目的は人攫いでしょうね。いままでは暗闇でどっちが女か分からなかったから男が森に残って攫えなかったってことです。
そうですよね!人攫いさん!
アーサーが指を差した先に男が茂みに隠れていた。
男は錯乱してアーサーに飛びかかってきた。
がそこにあったのは鏡に映ったアーサー。鏡にぶつかった男にトドメの剣戟。
「アーサー王とよばれる私を侮りましたね?」

ーーーとこれがことの顛末です。
そのあとアジトかと思われる場所でアーサーが全員叩きのめしました。私は縛り上げている間にアーサーが全員動けなくしました。
村に戻り衛兵に人攫いたちを引き渡し全て話した。村では噂が広まり『12歳とはおもえないほどの巨女』と言われていたという。
アームドパルトはアーサーの偽物がいるらしい!と騒いでいたがパーシバルがそれアーサーです。といわれ話を聞くと嘘だろ...と呟き黙ってしまった。
本来3日では終わらないと思われた任務が1日も経たずに終わってしまった。
アームドパルトには悪い事をしたが、早く終わるのはいい事だと思ってもらえるしかない。
お祭り騒ぎの村を出て馬車に乗り込むと
「アーサー、剣が」
アーサーが手に持っている剣を見ると光を放ち先端から崩れ落ちていた。
完全に崩れて消えた剣を見ながらアームドパルトは昔のことを思い出していた。

まだアームドパルトが子供のころよく森で会う少女がいた。その少女とは仲が良くあるひ森で手を繋ぎ帰っていた時の話だ。その少女と話していると安心するので、少女の面白がりそうな話を考えて話すのが楽しかった。だが森をでると後ろには誰もおらず、それから一度もその少女に会う事はなかった。あれは人攫いの仕業なのか?それとも・・・。

2本目の剣読了。
Thi・3本目の剣を始めますよろしいですか?















魔眼名:認識阻害の魔眼
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