後宮BL短編連作

木野葉ゆる

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趣味の悪い王様 挿絵あり

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 王様は趣味が悪い。
 この国では肌が白いほど美しいと言われるのに、異国の、それも褐色の肌の体格のいい青年ばかりを集めてハレムを作るほど。

 王様は思う。白い肌などつまらない。褐色の肌がキスだけで上気して、つかみがいのある胸の鼓動を高鳴らせ、大き目の乳輪の中にぽつりとつつましい褐色の、ほんのりと赤く色づいた乳首を優しく摘まむと、堪えきれずに「はぁん♡」と甘い吐息を零す。
 その艶めかしいさまは傾城の美女などと呼ばれた母など及びもつかない。

 金粉をまぶした様な美しい金髪を短く切りそろえながら、襟足だけ結べるほどに長くした髪型の、その青年の名はジュノー。ジュノーはこのハレムで王様の寵愛を受ける者だ。
 もとは奴隷であった。
 
「おい、お前、名は何という? 」
 壮年の男は、手枷と足枷をされて、鎖で繋がれていたジュノーをじっと睨みつけるようにしながら、名を問うた。
 ジュノーは面食らう。奴隷に名を尋ねる者など皆無だからだ。
「ジュノーだ」
 それでも、元来が勝気な性格なので、壮年の男を睨み返しながらしっかりとした声で答えた。
「ほう、気に入った。ジュノー、お前を買おう。私のものになるがよい」
 ジュノーは、まさかその男がこの国の王だとは露ほども思わなかった。しかも、労働奴隷として売られていた自分がハレムに入れられて、王の寵愛を受けることになるなど、考えるはずもない。

 ジュノーの初めての夜伽の日、同じような経緯で先にハレムに入れられていた青年達の手ほどきを受けて、後孔の準備をするのは、死ぬほど恥ずかしかったが、先人たちも同じ辱めを受けてきたのだと思うと、なんとか耐えられた。

 王はハレムへ来るとき、丸腰である。
しかも、大きな寝台の置かれたその部屋へは、ハレムの住人なら誰でも入れるようになっている。
 ハレムの住人は、体格のいい褐色肌の異国の青年たちなのだ。結託して王を弑することなど、たやすいことである。
 周りの心配する声にも、王は耳を貸さない。
 ハレムの住人に裏切られるならば、それは己がいたらないせいだ。いたらない王など国にいても仕方がない。そんな王ならば弑された方がいい。
 王はそう言って臣下を諭した。

 ジュノーも、銀髪の褐色肌の青年ルークも、茶髪な褐色肌の青年ブランも、黒髪で褐色肌の青年ライも、王は平等に愛した。

 ジュノーもルークも、ブランもライも、王は必ずその広い寝台に呼び寄せて、それぞれが満足するまで愛撫し、精を注いだ。
 特に、褐色の乳首に対する愛撫は熱心であった。

 王は絶倫で、愛情深く、すけべであった。

 彼は、年老いて後は、優秀な甥に王位を譲り、愛する男達とともに離宮で幸せに暮らしたという。


SF様(@SF3084166)に描いて頂きました!!ありがとうございます!
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