甘々悪魔と恋に堕ちたら罪!? 〜天使の監視つきです〜

巴藍

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第三章 ウワサの悪魔を調査せよ

22話 どこかで見た事があるような?

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 低くて、でも耳心地がいい声。
 でも私は恐怖から、その場を動けないでいた。
 息をひそめていると、ガタッと教卓が揺れた。
 どうやら教卓の上に座ったらしい。
 
 もう一度、呼びかけられる。

「そこで何をしている、と聞いているが?」

 敵意はなさそう……?
 得体の知れないナニカだったとしても、ずっとここにいるわけにもいかない。
 私はそろりと、教卓の下から顔を出した。

「っ!」

 教卓の上に座っている人を見て、私は息をのむ。
 信じられないくらいに、顔が整っていたからだ。

 さらさらと艶のある黒髪の片側を耳にかけていて、薄暗い中でも赤く光っている瞳。 
 黒いロングコートが、この人を闇に紛れさせていた。

 ……とても顔が整っている男の人が、私を見下ろしている。歳は二十代くらいに見えた。
 あれ? でもなんだか、どこかで見たことがあるような……?

「……あっ、あなたは?」
「ほう。質問に、質問で返すとは」

 男の人は組んでいた足を変える。    
 その仕草は、すごく大人っぽくて色っぽい。
 ……けれど鋭い瞳が怖かった。
 でも今はそれに、怯むわけにもいかないのだ。
 居なくなったみんなのことが心配だから。

「あ、あのっ! 界李かいりくんっ、髪を一つに結んでいる男の子を見ませんでしたかっ!?」

 私の強がりが伝わったのか、男の人は呆れたようにため息をついた。
 そして、ふむ、とあごのあたりに手をそえる。

「いや、見てはいないが……」
「(そんなっ……!)」

 界李くんはどこにいったの? 
 それに、魔央くん達だって……。

「おい娘」
「はっ、はい」
「いまどきの子供は……こんな夜中に、学校へ忍び込むのが流行はやっているのか?」

 ──俺の息子もそうなのだろうか?
 と、もらす男の人。

「いえ、流行ってはない……と思います」

 男の人は、顔は無表情だけれど「なるほど……」と何かを考えこんでいる。
 それにしてもこの男の人は、誰かに似ている気がしてならない。
 誰だろう? よく知っている人のような気もするし……。
 私の視線に気づいたのか、男の人は不思議そうに私を見る。

「……なんだ?」
「あ、いえ! 誰かに似てるなぁと思って……」

 あはは……、と誤魔化すように笑えば、今度は男の人が私の顔を見つめる。

「──娘、お前の歳と名前は?」
「えっと、か、神城一華《いちか》。十二歳……です」
「……なるほど。だから、あいつの匂いがするのか」
「(あいつ? 匂い?)」

 なんのことだろう?
 ここに来る前にお風呂も入ったし、臭い匂い……ではないと思いたい。

「さて……俺はもう帰る。ここを覗いたのも、変な気配・・・・がしたからだしな。それももう、解決した」

 ひょいっと軽い動きで、教卓から降りる男の人。
 
「あのっ! よかったら、はぐれてしまった友達を一緒に探してほしいのですが……」
「すまないが、俺も暇ではないのでな。……それに、お前のことを待っているヤツがいるようだぞ?」
「え? 私のことを? それっていったい……」
 
 男の人は、私の顔に手をかざす。
 するとだんだん、眠たくなってきた。

 あれ、なんで……。
 だめっ、こんなところで寝ちゃ……!
 界李くんたちを探さなきゃいけないのに!

「少し眠っていろ。顔色があまり優れないようだ」

 ──私の意識は、深い闇の底へと沈んでいく。
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