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プロロ~グにゃ
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くっくっく、我の名前は雪姫。我は猫ーーつまり魔王である。
我は今年2歳になる漢。身長は30cmに届かぬくらい。太り過ぎではないが丸っとした全身を真っ白い毛で覆い、クリッとしたブルーの瞳をしておる。
まことに完全完璧な魔王である。ちなみに我は唯一無二の存在だ。
んっ? 別に自分で完全完璧と言った訳では無いぞ? 我が下僕が我をそう称するのである。
他にも世界一可愛いと言ったかと思えば、世界一男前だとか言ったり、ふっ! 当たり前の事を言っても、褒め言葉にはならぬぞ、下僕めが!
おっと、話がそれたな。まずお前らに最初に教えておいてやる。
我はこの世界の魔王なり!
んっ、何だと。猫の癖に生意気だと? 甘い、甘いな。甘すぎるぞ、この小童め!
なら特別に見せてやろう。この我の凄さをな!
ほれ、ここに扉があるであろう? 良く見ておくがいい。
いくぞ!
「にゃ~ん」
ーースタスタスタ。
ーーキィ~。
……ほれみろ、扉が開いたぞ? さっきまでパソコンに向かっていた下僕が、やって来て開けおったわ。わざわざ、扉を開ける為だけにやって来て開けおったわ!
どうだ? これぞ魔王の証よ!
せっかく開けさせてやったのだから、ちょっとぐらい向こうを覗いてやってもいいぞ。
ただし、
本当に覗くだけだがな!
扉を開けさせといて。
覗くだけ。
向こうには、決して行かない。まさに魔王であろう?
下僕の顔を見てみろ? 無駄な事をしたにも関わらず、あの満更でも無さそうな顔を。実に滑稽である。うむ、今は実に気分が良い。特別に下僕に褒美をやろうではないか?
ほれ、いくぞ?
「にゃん♪」
……メロメロになりおったわ。顔がとろけておるわ。我を抱き上げてスリスリしてきおる…。
…おい、こら、止めろ! それ以上、顔を寄せるな! 我が手をつっぱっているのに何を嬉しそうにしておるのだ! 顔を覗くでない! 顔を覗くでない! 絶対に目は合わせぬぞ! 絶対に目は合わせぬぞ! そこまで褒美はくれてやるものか!
「にゃー!」
……やれやれ、たまに暴走するのが下僕の性よ。まあ良い、許してやるわ。魔王としての寛大さも見せてやらんと。夕食もまだだしな。
それにしても、やれやれ。どうして下僕は我と目を合わせようとするのだ? 遠くからなら別にかまわぬぞ? 遠くからなら。ただ、近づくでない、近い! 近い! 近すぎるのだ!
全く下僕という奴はしょうがない奴よ。我の嫌がる事を嬉々としてしおってからに。
罰として我の体を撫でるが良い。許可してやる。ほれ、背中を撫でよ。頭を撫でよ。ほれ、お腹だぞ? 存分に撫でるが良い!
ーーゴロゴロゴロ♪
いかんいかん、下僕がおると話もできんわ。
さて、話を戻す。
賢明な諸君らの中には既に気付いていた者もおるかも知れん。我の名前は、雪姫。漢。そう、雪姫なのに漢なのだ。
何故だか分かるか? 分からんであろう?
これには我の出生が関わっておる。特別に教えてやろう。
我の小さい頃の話だ。
我は拾われ子であった。公園の倉庫の軒先におったのだ。
なに? 公園に倉庫など無いだと? 公園に掃除道具やら整備道具やらが入っている倉庫があるだろう! 知らぬのなら良い、それが無い公園もあるだろう。そういうのがあったとしろ!
んんっ! それでそこに我は一人でおったのだ。親? 兄弟? そんな者など知らぬ。気付いたら一人だったのだ。
あまり覚えてはおらぬが、我はそこで「ニャーニャー」泣いておったらしい。情けない事だ、我が「ニャーニャー」泣くなど、今なら「にや~にゃ~♪」鳴いてやるわ!
いかん、話がずれるとこだったな。まあ、我はその時ひどい状態だった。目ヤニが酷くて目も開いておらぬ。体も虚弱でまともに歩く事も出来んかった。
そこを下僕に拾われたのだ。いや、違うな。下僕に我を拾わせてやったのだ!
…まあ我はそんな有様だったから、下僕は我を病院に連れていった。そこで診察した医師がこう言ったのだ。
「この猫、雌ですねぇ~」
……もう一度、しっかり言うぞ。ちゃんと免許を持って開業している獣医師がこう言ったのだ。
「この猫、雌ですねぇ~」
そして我は下僕によって雪姫と名付けられたのである。
我は本当は漢であるのに、だ。
しかし、この医師の言葉を信じた下僕を責めるのは、流石に我も気が引ける。
ちなみにこの医師が我が大きくなり、ハッキリ漢だと分かった時に下僕に言った台詞が、
「子猫は結構分かりにくいんですよ~、ははっ」
と笑っておった。いや、下僕が言うには嗤っておったそうな!
これがネットではそこそこ評判が良い病院だから恐ろしい。これ以来、この病院には行っておらぬ。
確かに体が弱かった我がちゃんと大人になれたのは、この病院、この医師のお陰かも知れぬ。
だが一言、本音を言わせて貰いたい。
解せぬ!
まあ、何はともあれ我が大きくなるにつれ、体も丈夫になり今に至る。そこには下僕の助けも大いにあった。素直に感謝しといてやるわ。
今もパソコンに向かってカタカタやっておる。感謝の証にじっと見つめてやろう。たまに目を、しぱしぱさせてやろうではないか!
「……」
……気付いておらぬか。下僕の分際で失礼な奴め。だんだん腹が立ってきたわ。
されど我は魔王である。自分の心を制御することも容易いのである。
見ておれ?
「クワ~~」
どうだ、欠伸をしてやったぞ?
我は欠伸一つでスッキリ気分を変える事が出来るのだ。愚かな下僕と違って悶々と悩んだりなどしないのである。凄いであろう? くっくっくっ、我ながら自分が恐ろしい。
むっ、何やら腹が減ってきおった。うむ、苦しゅうない。下僕よ、我に夕食をよこすのだ!
さあ、晩餐の間に一緒に来るのだ!
ーーとてとてとて。
……あの下僕め。せっかく我が晩餐の間にまで来てやったと云うのに気づかぬとは。下僕なら何も合図を送らなくても、我の事を察するべきである。愚か者め!
まあいい。我は魔王なのだ。
来ないのなら、こちらから召喚してやるのみよ!
さあ! 下僕よ! 我の偉大なる詠唱に耳を傾け、今すぐここに召喚されるのだ!
「にゃ~ん♪」
我は今年2歳になる漢。身長は30cmに届かぬくらい。太り過ぎではないが丸っとした全身を真っ白い毛で覆い、クリッとしたブルーの瞳をしておる。
まことに完全完璧な魔王である。ちなみに我は唯一無二の存在だ。
んっ? 別に自分で完全完璧と言った訳では無いぞ? 我が下僕が我をそう称するのである。
他にも世界一可愛いと言ったかと思えば、世界一男前だとか言ったり、ふっ! 当たり前の事を言っても、褒め言葉にはならぬぞ、下僕めが!
おっと、話がそれたな。まずお前らに最初に教えておいてやる。
我はこの世界の魔王なり!
んっ、何だと。猫の癖に生意気だと? 甘い、甘いな。甘すぎるぞ、この小童め!
なら特別に見せてやろう。この我の凄さをな!
ほれ、ここに扉があるであろう? 良く見ておくがいい。
いくぞ!
「にゃ~ん」
ーースタスタスタ。
ーーキィ~。
……ほれみろ、扉が開いたぞ? さっきまでパソコンに向かっていた下僕が、やって来て開けおったわ。わざわざ、扉を開ける為だけにやって来て開けおったわ!
どうだ? これぞ魔王の証よ!
せっかく開けさせてやったのだから、ちょっとぐらい向こうを覗いてやってもいいぞ。
ただし、
本当に覗くだけだがな!
扉を開けさせといて。
覗くだけ。
向こうには、決して行かない。まさに魔王であろう?
下僕の顔を見てみろ? 無駄な事をしたにも関わらず、あの満更でも無さそうな顔を。実に滑稽である。うむ、今は実に気分が良い。特別に下僕に褒美をやろうではないか?
ほれ、いくぞ?
「にゃん♪」
……メロメロになりおったわ。顔がとろけておるわ。我を抱き上げてスリスリしてきおる…。
…おい、こら、止めろ! それ以上、顔を寄せるな! 我が手をつっぱっているのに何を嬉しそうにしておるのだ! 顔を覗くでない! 顔を覗くでない! 絶対に目は合わせぬぞ! 絶対に目は合わせぬぞ! そこまで褒美はくれてやるものか!
「にゃー!」
……やれやれ、たまに暴走するのが下僕の性よ。まあ良い、許してやるわ。魔王としての寛大さも見せてやらんと。夕食もまだだしな。
それにしても、やれやれ。どうして下僕は我と目を合わせようとするのだ? 遠くからなら別にかまわぬぞ? 遠くからなら。ただ、近づくでない、近い! 近い! 近すぎるのだ!
全く下僕という奴はしょうがない奴よ。我の嫌がる事を嬉々としてしおってからに。
罰として我の体を撫でるが良い。許可してやる。ほれ、背中を撫でよ。頭を撫でよ。ほれ、お腹だぞ? 存分に撫でるが良い!
ーーゴロゴロゴロ♪
いかんいかん、下僕がおると話もできんわ。
さて、話を戻す。
賢明な諸君らの中には既に気付いていた者もおるかも知れん。我の名前は、雪姫。漢。そう、雪姫なのに漢なのだ。
何故だか分かるか? 分からんであろう?
これには我の出生が関わっておる。特別に教えてやろう。
我の小さい頃の話だ。
我は拾われ子であった。公園の倉庫の軒先におったのだ。
なに? 公園に倉庫など無いだと? 公園に掃除道具やら整備道具やらが入っている倉庫があるだろう! 知らぬのなら良い、それが無い公園もあるだろう。そういうのがあったとしろ!
んんっ! それでそこに我は一人でおったのだ。親? 兄弟? そんな者など知らぬ。気付いたら一人だったのだ。
あまり覚えてはおらぬが、我はそこで「ニャーニャー」泣いておったらしい。情けない事だ、我が「ニャーニャー」泣くなど、今なら「にや~にゃ~♪」鳴いてやるわ!
いかん、話がずれるとこだったな。まあ、我はその時ひどい状態だった。目ヤニが酷くて目も開いておらぬ。体も虚弱でまともに歩く事も出来んかった。
そこを下僕に拾われたのだ。いや、違うな。下僕に我を拾わせてやったのだ!
…まあ我はそんな有様だったから、下僕は我を病院に連れていった。そこで診察した医師がこう言ったのだ。
「この猫、雌ですねぇ~」
……もう一度、しっかり言うぞ。ちゃんと免許を持って開業している獣医師がこう言ったのだ。
「この猫、雌ですねぇ~」
そして我は下僕によって雪姫と名付けられたのである。
我は本当は漢であるのに、だ。
しかし、この医師の言葉を信じた下僕を責めるのは、流石に我も気が引ける。
ちなみにこの医師が我が大きくなり、ハッキリ漢だと分かった時に下僕に言った台詞が、
「子猫は結構分かりにくいんですよ~、ははっ」
と笑っておった。いや、下僕が言うには嗤っておったそうな!
これがネットではそこそこ評判が良い病院だから恐ろしい。これ以来、この病院には行っておらぬ。
確かに体が弱かった我がちゃんと大人になれたのは、この病院、この医師のお陰かも知れぬ。
だが一言、本音を言わせて貰いたい。
解せぬ!
まあ、何はともあれ我が大きくなるにつれ、体も丈夫になり今に至る。そこには下僕の助けも大いにあった。素直に感謝しといてやるわ。
今もパソコンに向かってカタカタやっておる。感謝の証にじっと見つめてやろう。たまに目を、しぱしぱさせてやろうではないか!
「……」
……気付いておらぬか。下僕の分際で失礼な奴め。だんだん腹が立ってきたわ。
されど我は魔王である。自分の心を制御することも容易いのである。
見ておれ?
「クワ~~」
どうだ、欠伸をしてやったぞ?
我は欠伸一つでスッキリ気分を変える事が出来るのだ。愚かな下僕と違って悶々と悩んだりなどしないのである。凄いであろう? くっくっくっ、我ながら自分が恐ろしい。
むっ、何やら腹が減ってきおった。うむ、苦しゅうない。下僕よ、我に夕食をよこすのだ!
さあ、晩餐の間に一緒に来るのだ!
ーーとてとてとて。
……あの下僕め。せっかく我が晩餐の間にまで来てやったと云うのに気づかぬとは。下僕なら何も合図を送らなくても、我の事を察するべきである。愚か者め!
まあいい。我は魔王なのだ。
来ないのなら、こちらから召喚してやるのみよ!
さあ! 下僕よ! 我の偉大なる詠唱に耳を傾け、今すぐここに召喚されるのだ!
「にゃ~ん♪」
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