殿方逢瀬(短編集)

九条 いち

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瀬崎さん~口下手な彼~

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「……。」

瀬崎さんは目を閉じ、深く息を吐く。

「瀬崎さん……?」

瀬崎さんはゆっくり私の顔に両手を添えてキスをする。
少し唇が離れて目を恐る恐る開けると彼と目が合う。切れ長の目に私が映っていて、その中の自分はとてもうるんだ瞳をしていた。
再び彼の顔が近づいてきてゆっくり、優しく、ついばむようなキスをする。
次第に彼の舌が私の口内に入ってくる。
瀬崎さんの舌は身体と同じで大きく、逞しい。私の口内はとても狭いというように隅から隅まで蹂躙する。

「んっ……」

彼の舌が上の歯の裏筋に舌が這い、体がゾクゾクする。
私の口内を犯す彼の体温は熱く、私の体も熱くなる。
私が何もできずにただ口内を犯されるままになっていると、私の舌を器用に取り出し、吸う。

「んっ……あぅっ……」

薄く目を開けると、瀬崎さんは眉間にしわを寄せ、いつもより険しい顔をしていた。険しいというよりは、むしろ苦しそう―ー

「……っ、瀬崎、さ、ん」

「んっ……悠衣……」

瀬崎さんが私の履いている黒のタイトスカートの上からお尻をさする。
いつも消防署で凛々しく勤務している彼が、私の体を撫で回していると思うと私のナカがきゅうっとなる。

彼の唇が私の耳元で動く。

「……悠衣」

低く少しかすれた声が私の耳から体中に響き、頭が溶けそうになる。

彼の唇が耳たぶから首筋をつたってうなじに移動しキスを落としていく。
少し荒くなった息がこそばゆく、逃げようとする体を逞しい腕で阻止される。
少しずつ降りてきた唇がお鎖骨に到達し、ニットの合間をくぐり、くぼみに沿って舌が這う。

「……んっ……せ、ざき、さん……」

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