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瀬崎さん~口下手な彼~
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しおりを挟む私が勢いよく抱きついても彼はビクともせず私を受け止めて優しく抱きしめ返してくれる。
「ああ」
瀬崎さんは相変わらずぶっきらぼうな返事だけど大丈夫。
彼の腕や胸の音から、彼の気持ちは伝わってきた。
「もー瀬崎さんは言葉が足りません」
「すまん」
「好きです!」
「ああ」
「『ああ』じゃなくてー。もっとこう!なにか言葉を!」
「……」
瀬崎さんは私の耳元に顔を寄せる。
「好きや」
ゾクゾクゾクッと首から全身へあったかい気持ちが流れていく。
しばらく抱き合っていると、だんだん力が抜けてきた。
彼は私をそっとベッドに横たえさせる。
「ほら、疲れたやろ。寝るで。照明のスイッチはどこや?」
「そこにリモコンがあります」
瀬崎さんは立ち上がり、テーブルの上にあったリモコンを手に取り、消灯のスイッチを押す。
彼も布団に入ってくるだろうと思って、ベッドの端に寄る。
彼が近づいてきたのがなんとなく見えて、彼の入りやすいように掛布団を上げて、入るよう促す。
私が広げた腕と布団に瀬崎さんが入ってきてくれるのはいつもの逆みたいで顔が綻ぶ。
「どうしても出ちゃいますね。瀬崎さんの体」
私をいつも包み込んでくれる寝具たちは、彼が入るのには役不足みたいだった。
彼は仰向けで寝るのは諦めて、私の方に横向きになる。
「慣れとる。悠衣は入ってるか?」
「はい」
「ならええ」
彼はゆっくりと目を閉じる。
閉じていても仏頂面なのが少し面白くて微笑ましかった。
「瀬崎さん、大変ですね」
「今更気づいたんか」
片目を開けて私の方を見る。
「筋肉ついててカッコいいだけかと思ってました」
「なんやそれ」
瀬崎さんが笑い、私もつられて笑う。
「ほら、もうええ時間や。はよ寝え」
「はーい」
彼の閉じられた目を見て、私も目を閉じた。
瀬崎さんといると温かくて、優しい、ふわふわとした気持ちになれる。
彼の硬くて大きい身体に抱きつきながら眠りについた。
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